インキネン×日フィル×マーラー交響曲第3番

日フィル第633回定期演奏会(2011年9月2日)

金曜日、日フィルの、2011/12シーズン最初の定期演奏会を聞いてきました。指揮は、日フィル主席客演指揮者のピエタリ・インキネン。

  • マーラー:交響曲第3番 ニ短調

インキネンのマーラーは、前回 ((4月には第6番が予定されていましたが、インキネンが来日をキャンセルしたため、今回がインキネンの「マーラー撰集」第2回となりました。))第1番がいまいちもやっとして少々心配していたのですが、この日は、管も弦もインキネンの追求する透明感のある音を響かせて、なかなかお見事な演奏でした。個人的には、もう少し派手さと艶やかさがあった方がマーラーらしくて好みなんですが、それはそれとして、日フィルの透明度の高い音が印象的でした。

第1楽章冒頭のホルンから、おっと思わせる見事な演奏。ただし、途中から緊張が続かなくなったか、ユニゾンの音程が揃わないなど少し残念なところもありました。トランペットも難しい弱音も大奮闘していたものの、まだ少し不安定なところも残りました(主席客演奏者のオッタビアーノ・クリストーフォリ君の姿が見えないと思ったら、彼はバンダのポストホルン役でした)。そんななか、この日大健闘したのはトロンボーン。演奏終了後、インキネンが立たせると、会場からも大きな拍手が送られていました。

合唱もよかったですが、とくによかったのは独唱のアンネリー・ペーボ(メゾ・ソプラノ)。だいたい、この曲、各楽章はどちらかといえばバラバラな感じ。第4楽章ではいきなりニーチェの「ツァラトゥストラ」が出てきて、しかもオケは伴奏程度で、この楽章全体をほとんど歌で聴かせるという感じで、何をどう歌えばいいのか難しいと思いますが、そこをどすのきいた?声で見事に聴かせたと思います。

最終楽章も、それまでの雰囲気から一転して、安らぎや救済といったイメージが伝わってくる演奏でした。

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会場には、新日本フィルの指揮者アルミンク氏の姿も見えていました。(インキネンとお友だちなのかな?)

ところで、この日、プログラムなどといっしょに配られていた「日本フィル『被災地の音楽を』訪問コンサート レポート」第4号(8月20日付)には、トランペット奏者のオッタビアーノ・クリストーフォリ君が、7月に宮城県南三陸町志津川を訪ずれたときの、かなり長文のレポートが載っていました。外国人ならではの驚きの目をもって、現地の様子を紹介されています。会場で配られたのは邦訳だけでしたが、日フィルのブログでは英文も紹介されていますので、ご一読を。

【演奏会情報】 日本フィルハーモニー交響楽団第633回定期演奏会
指揮:ピエタリ・インキネン/メゾ・ソプラノ:アンネリー・ペーボ/女声合唱:栗友会合唱団/児童合唱:杉並児童合唱団/コンサートミストレス:江口有香/会場:サントリーホール/開演:2011年9月2日午後7時

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