東京電力の福島原発事故を踏まえて、原子力安全委員会が、原発事故の防災重点地域を30km圏に拡大する方向を決めたそうです。
実際、今回の事故では、20km圏内は避難、30km圏内は屋内退避になったのですから、30km圏を対象に原発事故を想定した防災計画をすすめていくことは当然でしょう。
しかし、そうなると、たとえば茨城県水戸市は東海原発から30km圏内に含まれ、県庁さえ避難しなければいけないことになります。さらに東海原発30km圏内には100万人が暮らしています。はたしてこれだけの人が無事に避難できるのか? あるいは、そんな避難計画が立てられるのか? 課題は山積です。
原発事故の防災重点区域、30キロ圏に拡大案 安全委:朝日新聞
原発防災対策“30キロ圏内”に:NHKニュース
原発事故の防災重点区域、30キロ圏に拡大案 安全委
[asahi.com 2011年10月20日13時17分]
国の原子力防災指針の見直しを進めている原子力安全委員会の作業部会は20日、事故時に原発から半径8〜10キロを目安として設定されている避難などの防災対策の重点区域を、半径30キロ圏に拡大する見直し案を示した。今後、新たな目安が固まれば、原発周辺の道府県が地域防災計画で実際の設定の作業に入ることになる。
東京電力福島第一原発事故では、半径20キロの範囲が立ち入り禁止の警戒区域になるなど、当初の目安を大幅に超えて住民が避難を強いられたことから、事故後、自治体から範囲の拡大を求める声が出ていた。
作業部会では、月内に見直し案の結論を出す方針。現在の対象市町村の数は44だが、範囲が30キロ圏に広がれば、水戸市、福井市、京都市、鹿児島市の各府県庁所在地を含め、大幅に増える。電力事業者と原子力安全協定を結ぶ自治体の数が増え、停止している原発の再稼働にも影響する可能性がある。
作業部会で示された見直し案によると、半径30キロ圏内は、測定された放射線量があらかじめ決めた数値を超えたら住民を避難や屋内退避させる地域とした。さらに、このうち半径5キロ圏内は、重大事故が発生したら無条件に住民を避難させる地域とした。
原発防災対策“30キロ圏内”に
[NHKニュース 10月20日 12時17分]
原子力事故に備えて防災対策を重点的に整備する地域について、国の原子力安全委員会の作業部会は、20日、原発から最大で10キロ圏内としてきた目安をおおむね30キロ圏内まで広げる案を示しました。30キロまで広がった場合、対象となる市町村は、これまでの44からおよそ3倍に増えるとみられ、今後、防災計画の見直しを求められることになります。
東京電力福島第一原発の事故では、これまで原発の8キロから10キロ圏内とされてきた防災対策を整備する地域であるEPZを大幅に超えて、初期の避難や屋内退避の指示は30キロまで及びました。これを受けて防災対策の見直しを進めている原子力安全委員会の作業部会は、20日、事務局案をまとめました。
それによりますと、IAEA=国際原子力機関の緊急時の対応の基準などを踏まえ、新たに避難などの防護対策を整備する区域として、「UPZ=緊急防護措置計画範囲」という考え方を導入し、おおむね30キロまで広げるとしています。また、原発事故が起きた際に、予防として直ちに避難を実施するPAZという範囲を定め、その目安をおおむね5キロとするとしています。さらに甲状腺被ばくを避けるためにヨウ素剤の服用などの対策を実施する範囲として「PPZ」という新たな範囲をおおむね50キロに設定するとしています。
原子力安全委員会は、今後、自治体や専門家の意見を踏まえて検討を続けるとしていますが、30キロまで広がった場合、対象となる市町村は、これまでの44からおよそ3倍の130余りに増えるとみられ、今後、防災計画の見直しを求められることになります。