今日の「しんぶん赤旗」外信面にのっていた、ちょっとおもしろい記事。
全米第2位の銀行バンカメが、デビッドカードから月5ドル(392円)の手数料を取ろうとして、消費者団体の抗議を受けて、手数料導入を撤回したというのです。
全米第2の大銀行バンカメ/手数料(デビットカード)導入撤回/消費者の運動実る “ウォール街を押し返した”:しんぶん赤旗
日本でも、銀行の手数料は高すぎます。自分の口座からカネを引き出すのに、時間外だと105円の手数料。しかし、預金に105円の利息なんてついたためしがない!! 利息は普通預金で0.020%、3年ものの期日指定預金でもせいぜい0.030%。50万円以上のお金を1年間ずっと口座に寝かせておいても、1回時間外に預金を下ろせばそれで終わり、というのはあんまりです。
送金する場合だって、ATMあるいはネットバンキングで顧客が自分で全部の手続きをやるのに、他行宛だと3万円以上で420円。ATMから現金で振り込もうとしたら630円も取られます。
しかも最近は、振り込め詐欺防止とか言っちゃって、銀行の本支店外の無人ATMコーナーだと、現金で振り込みができません。自分の銀行は東京三菱だけど、みずほの口座に振り込まなきゃいけないからと思っても、その辺のATMじゃ受け付けてくれません。きょうび、都心でも銀行の支店はめっきり減っていて、たとえば代々木には銀行の有人店舗は1つもありません(みんな無人のATMコーナーだけ)。だから、現金で振り込みたいと思ったら新宿か渋谷までいかないといけない。でなきゃ、手数料が高くても、自分の口座のある銀行のATMから振り込むしかなくて、そうなると3万円以上だったら420円も手数料を取られるわけです。
しかし、安い利率や高い手数料は、ほとんど横並び。だから、庶民には選択の余地がありません。いまや給与の振り込み、年金の受け取り、公共料金の支払いまで、銀行口座なしには1日足りとてくらしてゆけません。
日本でも、残高10万円以下の口座からは「口座維持手数料」をとろうなんていうぶっそうな話もあります。
ということで、なりふり構わぬバンカメを懲らしめたアメリカの消費者運動に座布団1枚です。(^_^;)
全米第2の大銀行バンカメ 手数料(デビットカード)導入撤回
[しんぶん赤旗 2011年11月3日(木)]
消費者の運動実る “ウォール街を押し返した”
【ワシントン=小林俊哉】米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は1日、同行発行のデビットカードに月額5ドル(392円)の手数料を導入する計画を撤回すると発表しました。1カ月前の計画発表当初から反対運動を強めていた消費者にとって、全米第2の規模を誇る大銀行相手の大きな勝利となりました。
デビットカードは、小切手と同じ機能を持つ銀行発行のカード。自分の口座で即時に決済され、米国では現金、クレジットカードと同様に、買い物の際には必須のアイテムです。そのカードに新たな手数料を導入しようとしたバンカメに消費者の怒りが燃え上がりました。
計画発表からわずか1カ月で、さまざまな消費者団体が反対の署名活動を展開。一部グループは、手数料を導入して庶民の懐から収益を搾り取ろうというやり方に抗議して、大銀行に開設した個人口座を今月5日に統一して閉鎖し、地域銀行に移す行動を提唱していました。
バンカメの手数料導入計画は、米金融界の利益第一の姿勢に抗議する反ウォール街運動でも批判の的に。オバマ大統領も、利潤を求めて消費者を「虐待」すべきでないと発言していました。
バンカメ側は1日、「われわれは、顧客の声によく耳を傾けた結果、計画に対する懸念を認識した」との声明を発表。「顧客の声こそ、もっとも大事なものであり、手数料導入の計画はこれ以上すすめない」としました。
オバマ政権は、金融規制強化の一環として消費者保護策を強化しています。その結果、バンカメなどの大銀行にとっては、消費者にさまざまな名目で課していた料金が規制されたことから、収益面で“打撃”となりました。今回の手数料は、その巻き返し策として計画されたもので、他行も追随する様相をみせていました。
しかし、消費者の強い批判を前に、バンカメ以外でも、ウェル・ファーゴ、JPモルガンといった大手が計画の撤回を相次いで表明。「庶民がたたかうなら、ウォール街を押しかえせるということを示した」との声が、消費者運動団体から上がっています。
同時に、口座維持手数料や明細発行手数料など、庶民への手数料請求は依然として残っており、消費者グループは銀行の横暴への注意を呼びかけています。