「女性宮家」創設話の続き

「女性宮家」を立てるという話の続きです。

女系の皇位継承を認める場合、1つ厄介な問題が生じます。それは、直系の女系の孫(男子)と、弟あるいはその息子と、どちらを優先するかという問題です。

直系を重視するなら象徴の地位は孫へ、男系を重視するなら弟あるいはその息子へ、ということになります。さらに、その息子に女の子しか生まれず、女系の男のお孫さんに男の子がいる場合はどうするか。悩みはつきません。

また、女性天皇を認める場合には、宮中祭祀をどうするかという問題はさておくにしても、長子優先でいくのか、男子優先で男子がいない場合に限って女性の即位を認めるのかという問題が生じます。で、どちらの場合でもは、継承者が一人も生まれないというのはかんがえにくいので、今回の宮家を増やすという話とはあべこべに、そんなにたくさん宮家を立てなくてもよいということになります。せいぜい兄弟姉妹とその子どもぐらいで十分。はとこ、あるいはさらにその先まで宮家を広げると、逆に数が増えすぎて大変になります。

こんなややこしいことになるのも、もともと特定の家系だけが国民統合の象徴の地位につけるという人為的な制度のせいです。

ところで、今回の議論で早くも、戦後廃絶された旧宮家を再興してどうかという議論がでています。

しかし、いまの三笠宮家の息子さんでも4親等。旧宮家はさらに遠縁。しかも60年以上前に「臣籍降下」をして、そこからさらに2代、3代と代を重ねている訳で、そんな人が、ある日突然皇族になって、さらに象徴の地位を継承するなんていうことになって、はたして国民は総意をもってその地位を認めることができるでしょうか?

また、テレビで旧宮家の直系という男性が、女性宮家を認めると、もし野望を持った男性が女性皇族と結婚したら大変だみたいなことを言って、反対論を述べていましたが、それ以前に、もはやどこの誰ともわからない旧宮家の子孫が野望をもって、「旧宮家の復活を」と言って皇族になろうとすることの方が危険だと思うんですけどね。

いずれにしても、国民統合の象徴の地位は国民の総意にもとづくもの。それが日本国憲法の伝統であって、それ以外の伝統を持ち出す反憲法勢力のアナクロニズムは許されません。

ちなみに、日本の歴史を遡ると、男性皇族の「臣籍降下」はたくさんあります。したがって、「神武以来のY染色体」は意外とそこらじゅうにあるかもしれないのです。神武天皇は実在しなかったという問題は別にしても、「神武以来のY染色体」などというエセ科学的言説にはくれぐれもご注意を。

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