日本共産党が発行する『議会と自治体』2012年1月号。引き続き、東日本大震災と福島原発災害 ((原発事故ではなく原発災害としているところが大事。事故そのものはいまだに全貌は明らかにならないし、これからも想像をこえる様々な困難が予測される。しかし、原発事故による災害は、ただちに取り組まなければならないし、取り組むことができる。政治の責任として、この災害にどう取り組むかが問われている、というふうに僕は読んだ。))の特集が充実している。とくに、
宮入興一「復旧・復興の課題と災害復興制度の抜本転換」
除本理史「賠償問題になにが問われているか」
の2本は、理念の問題と、現実に復旧・復興をどうするか、賠償をどうするかという具体的な問題と、両面から問題にせまっていて読まされる内容だった。
宮入氏は、復旧・復興の問題として、「被災者の生活・生業・就労・コミュニティの一体的再生」を提起する。関東大震災のときに、福田徳三が「生活・営業・労働機会の復興」という「人間復興」を唱えていたというのは知らなかったが、戦前でも「人間復興」が必要だったのであれば、憲法に幸福追求権、生存権がうたわれる現在、ますますもって「人間復興」がめざされなければならない。そうなれば、応急的な仮設住宅の提供などで終わらずに、農漁業者、商工業者の生業再建支援が求められる。まして、上からの「創造的復興」など論外だ。同論文では、さらに第三次補正予算の問題や「復興特区」の問題も具体的に論じられている。
坂庭国晴「住宅復興・居住支援・まちづくりをどうすすめるか」は、被災者の生活再建の土台は住まいの確保からという立場で、仮設住宅の改善・居住支援の問題から、借り上げ仮設住宅の改善、復興公営住宅、マンション・持ち家の再建支援まで、幅広く問題を明らかにして、その先に復興まちづくりを展望している。
原発災害の補償問題をとりあげた除本理史氏へのインタビューも、非常に勉強になった。「全面賠償」の意味、意義を明らかにしながら、「暮らしを丸ごと回復する」ことの大切さが強調されている。「中間指針」の問題点を指摘しつつ、同時に、「中間指針」はあくまで現時点で少なくともここまでは賠償すべきという最低ラインを示したものであり、したがって「中間指針」で漏れたものは賠償されないと考える必要ではないと指摘する。さらに、加害者である東電が賠償範囲や被害を決めるのは異常だとも述べて、「その書式でなければ請求できないというわけではない」「泣き寝入りする必要はまったくない」ことを強調されている。被害を受けた人たちが、自分たちで「これこれの被害を受けた。それだけ補償せよ」と要求していくことが大事だとあらためて感じた。
その点では、中小業者の取り組みを紹介した藤田信好「中小業者の被害実態と完全賠償実現めざすとりくみ」と農民の取り組みを紹介した斎藤敏之「たたかいで突破口開く 農民の損害賠償請求運動」が非常にすぐれている。
その他、前号の岩手に続いて、宮城、福島の震災延期選挙のたたかいについての2本の報告も読み応えあり。
『議会と自治体』は、日本共産党中央委員会が発行する月刊誌。一般書店でも注文可。1部760円
日本共産党:議会と自治体