共同通信の世論調査で、野田内閣の不支持率が初めて50%を超えました。
主要な理由は、いうまでもなく消費税増税。「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)45.6%にたいして「反対」(「どちらかといえば反対」を含む)52.9%を占めただけでなく、野田首相は「十分説明していると思うか」の問いに、「説明している」(「十分説明している」「ある程度説明している」)23.9%にたいし「説明していない」(「あまり説明していない」「全く説明していない」)74.4%にのぼっています。
内閣不支持 初の50%超 世論調査 増税74%「説明不足」:東京新聞
女性宮家 6割超支持 世論調査 ほぼ全世代で前向き:東京新聞
消費税増税の「賛成理由」「反対理由」は、そもそもメディアが取り上げているものが選択肢として並んでいるのだから、新しい結果が出るはずもありません。ただ、「反対理由」のトップが「国の経費の削減や国会議員の定数削減の努力が不十分だから」(54.6%)というのは要注意。予算のムダにメスを入れるのは当然ですが、国会議員定数削減についてもこれだけ高い関心が集まっていることにかみ合った論戦が必要でしょう。
内閣不支持 初の50%超 世論調査 増税74%「説明不足」
[東京新聞 2012年1月9日 朝刊]
共同通信は7、8両日、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革大綱素案の決定を受け全国電話世論調査を実施した。野田内閣の支持率は35.7%と昨年十二月の前回調査より8.9ポイント減少。不支持率は10.2ポイント増の50.5%となり、政権発足以来、初めて半数を超え支持率と逆転した。
大綱素案に関しては、野田佳彦首相が国民に十分「説明していない」との回答が計74.4%に上る一方、一体改革の与野党協議に野党が応じるべきだとの回答も74.6%。
民主党の政党支持率は20.7%。22.4%に伸ばした自民党に、野田政権になって初めて抜かれた。次期衆院選比例代表の投票先でも自民党が27.5%と、民主党の20.5%に7ポイント差をつけた。内閣支持率と合わせ増税をめぐる民主党議員離党の動きなどがマイナスに働いたとみられる。
野田政権がマニフェストに反し、八ッ場(やんば)ダム(群馬県)建設再開を決定したことに58.7%が「納得できない」と答えた。
女性宮家 6割超支持 世論調査 ほぼ全世代で前向き
[東京新聞 2012年1月9日 朝刊]
共同通信の電話世論調査で、女性皇族が結婚後も皇室にとどまって皇族の身分を維持できる「女性宮家」創設について「つくる方がよい」との前向きな回答が男性で65.1%、女性で65.8%に達した。年代別でも若年層の66.9%、中年層の68.4%、高年層の61.9%が同様に回答。性別、年代で意識に差がないことが分かった。
性別と年代の組み合わせをさらに詳しく見ると、20代男性だけ前向きな回答が47.7%と過半数を割り込んだ。20代女性では80.1%、20代男性では77.4%と高い数字を示した。
政党別では、民主党支持層の60.4%、自民党支持層の72.4%が「つくる方がよい」と答えた。「支持政党なし」の無党派層でも65.7%が前向きだった。共産党支持層は「つくらなくともよい」が44.0%で、「つくる方がよい」の40.8%を上回った。
政府は「女性宮家」創設の是非について、2月から有識者へのヒアリングを月に1、2回実施。結果を受け、皇室典範改正の素案を取りまとめる方針となっている。
世論調査の詳報
[東京新聞 2012年1月9日]
(数字は%、カッコ内は前回昨年12月3、4両日調査)
問1 あなたは野田内閣を支持しますか、支持しませんか。 支持する 35.7 (44.6) 支持しない 50.5 (40.3) 分からない・無回答 13.8 (15.1) 問2 (問1で「支持する」と答えた人に聞く)支持する最も大きな理由を一つだけお答えください。 首相を信頼する 15.6 (20.4) 民主党、国民新党の連立内閣だから 5.1 (5.7) 首相に指導力がある 1.9 (2.5) 経済政策に期待できる 8.0 (4.4) 外交に期待できる 1.6 (1.5) 政治改革に期待できる 6.0 (5.4) 税制改革に期待できる 9.4 (5.2) 行政改革に期待できる 2.8 (1.4) ほかに適当な人がいない 47.1 (50.2) その他 1.6 (2.3) 分からない・無回答 0.9 (1.0) 問3 (問1で「支持しない」と答えた人に聞く)支持しない最も大きな理由を一つだけお答えください。 首相が信頼できない 9.8 (9.1) 民主党、国民新党の連立内閣だから 15.2 (12.1) 首相に指導力がない 13.2 (16.0) 経済政策に期待が持てない 24.3 (21.0) 外交に期待が持てない 4.8 (9.0) 政治改革に期待が持てない 9.2 (12.5) 税制改革に期待が持てない 9.6 (7.4) 行政改革に期待が持てない 4.8 (4.6) 首相の人柄が好きになれない 2.9 (1.9) その他 5.2 (5.5) 分からない・無回答 1.0 (0.9) 問4 あなたは、どの政党を支持しますか。 民主党 20.7 (24.3) 自民党 22.4 (21.2) 公明党 3.7 (3.2) 共産党 3.1 (2.6) 新党きづな – 社民党 0.9 (1.3) みんなの党 6.0 (7.0) 国民新党 0.4 (0.4) 新党大地・真民主 0.4 たちあがれ臼本 1.0 (0.8) 新党日本 0.1 (0.1) 新党改革 0.2 (0.4) その他の政党・政治団体 0.6 (0.7) 支持政党なし 38.5 (37.0) 分からない・無回答 2.0 (1.0) 問5 政府・与党は消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%と2段階で引き上げる社会保障と税の一体改革大綱素案を決めました。あなたは、この素案に基づいて消費税率を引き上げることに賛成ですか、反対ですか。 賛成 14.1 どちらかといえば賛成 31.5 どちらかといえば反対 25.2 反対 27.7 分からない・無回答 1.5 問6(問5で「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人に聞く)賛成する理由は何ですか。二つまでお答えください。 社会保障水準を維持するため財源を確保するべきだから 48.2 子や孫の世代に国の大きな借金を背負わせないよう財政再建が必要だから 58.4 先進各国に比べ日本の消費税率は低いから 17.0 消費税は薄く広く集めるため公平だから 17.3 欧州のような危機にならないよう国の財政破綻を防ぐ必要があるから 22.5 事業仕分けなどで歳出削減が実施され、これ以上の削減は難しいから 4.6 その他 0.8 分からない・無回答 0.6 問7 (問5で「反対」「どちらかといえば反対」ど答えた人に聞く)反対する理由は何ですか。二つまでお答えください。 所得の低い人をはじめ、負担がさらに大きくなるから 43.8 国の経費の削減や国会議員の定数削減の努力が不十分だから 54.6 高額所得者の所得税率を引き上げるべきだから 12.8 社会保障制度を効率的にするなどの改革が不十分だから 15.5 景気が悪く増税する時期でないから 30.5 民主党が09年の衆院選マニフェスト(政権公約)で増税を明記していない公約違反だから 15.6 その他 3.0 分からない・無回答 1.7 問8 野田佳彦首相は消費税率を引き上げる社会保障と税の一体改革について国民に十分説明していると思いますか。 十分説明している 2.2 ある程度説明している 21.7 あまり説明していない 50.4 全く説明していない 24.0 分からない・無回答 1.7 問9 野田首相は社会保障と税の一体改革大綱素案について野党に協議を呼び掛けましたが、自民党などは協議に応じない構えです。あなたはどう思いますか。 協議に応じた方がよい 74.6 協議に応じなくともよい 19.0 分からない・無回答 6.4 問10 昨年の臨時国会で一川保夫防衛相と山岡賢次消費者行政担当相の問責決議が参院で可決されました。野田首相は2人について続投させる考えを示していますが、あなたは2人の閣僚についてどう思いますか。 交代させた方がよい 57.2 交代させなくともよい 31.0 分からない・無回答 11.8 問11 民主党が09年の衆院選マニフェストで無駄な公共工事として中止を掲げてきた群馬県の八ッ場ダムについて、野田政権は凍結していた本体工事の建設再開を決めました。あなたは納得できますか、できませんか。 納得できる 32.3 得できない 58.7 分からない・無回答 9.0 問12 政府は、女性皇族が結婚,後も皇室にとどまうて皇族の身分を維持できる「女性宮家」の創設を検討しています。あなたは女性宮家をつくる方がよいと思いますか、思いませんか。 つくる方がよい 65.5 つくらなくともよい 26.3 分からない・無回答 8,2 問13 あなたは、次の衆院選の比例代表ではどの政党に投票するつもりですか。 民主党 20.5 自民党 27.5 公明党 4.2 共産党 3.5 新党きづな – 社民党 0.7 みんなの党 8.3 国民新党 0.5 新党大地・真民主 0.4 たちあがれ日本 0.9 新党日本 0.1 新党改革 0.1 その他の政党・政治団体 0.7 分からない・無回答 32.6 問14 あなたは衆院解散・総選挙はいつがよいと思いますか。 今年前半までのできるだけ早い時期 28.1 今年後半以降 21.5 任期満了に近い来年夏の衆参ダブル選挙 42.7 分からない。無回答 7.7 【注】新党きづな、新党大地・真民主は前回値なし。複数回答では、比率の合計は100%を超える。
▽調査の方法=全国の有権者を対象に7、8両日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。ただし、東京電力福島第一原発事故で警戒区域などに指定された福島県の一部地域を調査対象から除いた。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1459件、うち1016人から回答を得た。
意外だったのは、女性宮家の創設問題。「つくる方がよい」が65.5%とほぼ3分の2を占めたこと。詳しい数字が発表されてないので分かりませんが、女性のなかでの支持の高さが反映しているのでしょうか(20代の女性の支持80.1%)。よく分からない問題について世論調査をすると、「分からない・無回答」が3割近くになることが多いのですが、今回の調査では、わずか8.2%。ということは、ほぼ世論は決まりつつあるのかも知れません。