日本共産党の赤嶺政賢議員が、今日午前、衆院予算委員会で暴露した、沖縄防衛局の「ぐるみ選挙」メール。
日本経済新聞の報道によれば、局長が実際に「講話」したことは確認されたもよう。内容は「市長選で棄権しないよう促すとともに、市長選の意義を説くものだった」というけれど、防衛局長にとって市長選がどういう意義をもつかを考えれば、特定候補へのテコ入れであることは明らかです。
沖縄防衛局長、選挙議題に「講話」 宜野湾市長選巡り:日本経済新聞
沖縄防衛局長:「有権者リスト」作成 公職選挙法抵触か:毎日新聞
赤嶺議員がとりあげたメールは、ニコ動で公開されています↓。
http://info.nicovideo.jp/niconews/pdf/20120131okinawa.pdf
そもそも、本省から課長が現地に派遣されるということ自体が、今回の事件の重大性を示しています。藤村官房長官が「事実確認をしなければいけない重大な事案だ」と述べて、赤嶺議員の指摘を否定しなかった時点で、メールを送ったことや、宜野湾市在住職員や宜野湾市に親族がいる職員のリストが作成されたこと、講話をおこなったことなどはすでに確認されていたと考えるべきでしょう。
沖縄防衛局長、選挙議題に「講話」 宜野湾市長選巡り
[日本経済新聞 2012/1/31 21:14]
沖縄県の宜野湾市長選(2月12日投開票)を巡り、沖縄防衛局の真部朗局長が1月下旬に職員を対象に講話していたことが31日、分かった。防衛省幹部によると、講話は投票を促すとともに、市長選の意義を説く内容だった。特定候補への投票を呼びかけた場合、国家公務員の地位を利用した選挙運動を禁じた公職選挙法などに抵触する可能性がある。
共産党の赤嶺政賢氏は31日の衆院予算委員会で、沖縄防衛局が発信したとする2通のメールを公表した。1月4日付のメールは、米軍普天間基地を抱える宜野湾市の市長選に向け、職員に同市内に有権者の親族がいるか調査を依頼する内容。1月18日付メールでは、真部局長が23、24両日に対象者を集めて講話すると伝えた。赤嶺氏は「国家権力による選挙への不当介入だ」と批判した。
田中直紀防衛相は「そういう事実はあってはならない」と調査を約束。鎌田昭良官房長が真部局長に電話で事実関係を聞いた。槌道明宏秘書課長らを沖縄へ派遣し、槌道氏が真部局長らから事情を聴取した。防衛省の調査では、真部局長が職員を対象に講話したことを確認。講話の内容は「市長選で棄権しないよう促すとともに、市長選の意義を説くものだった」という。
問題は「市長選の意義」が特定候補への投票を呼びかけるものだったかどうか。公選法だけでなく、防衛省職員は特別職の国家公務員で、自衛隊法施行令で「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること」を禁じられている。
宜野湾市長選は、普天間基地の移設問題を巡り、海外移設を訴える候補と、「(海外は)あり得ない。基本的に県外がベスト」と主張する候補による保革一騎打ちとなる公算が大きい。海外移設を訴える候補が勝てば、普天間問題はさらに袋小路に陥るとの見方は多いが、真部局長が講話で肩入れしていれば問題になる。
親族がいるかどうかの調査を指示するメールについて、防衛省関係者は「送信した可能性がある」としている。総務省内には「有権者に関する調査をしただけでは、公職選挙法で公務員に禁じている『選挙活動』にあたらない」との見方もある。ただ、講話を前提とした親族調査とみられ、野党の追及材料になるのは必至だ。
防衛省は2月1日の衆院予算委員会理事会で調査結果を説明する。自民党筆頭理事の石破茂氏は「特定候補の支援ならあるまじきことだ」と指摘。藤村修官房長官は記者会見で「事実確認をしなければいけない重大な事案だ。確認したうえで厳正に対処していく」と述べた。
事実なら野田政権に打撃を与えるのは必至で、与党はメールが本物かどうかも慎重に判断したい考えだ。民主党の城島光力国会対策委員長は記者団に、真部局長の講話の日程をメールで「1月24日(木)」と記していることを指摘。24日は実際は火曜日で「曜日を間違えている。訳が分からない話だ」と、事実確認を待つ姿勢を示した。
民主党・城島国対委員長が唯一の“頼みの綱”にしている「1月24日(木)」の誤記は、当初は23日と26日におこなう予定だったのが最後の段階で24日に変更されたために起きたミスでしょう。メールで会議通知を出したことのある人なら、すぐ気づく「あるある」ネタです。
名簿をつくるだけなら「選挙活動」にあたらないというは、あまりに苦しい言い逃れ。「選挙活動」に使う以外、いったい何のために、宜野湾市在住の親族等がいる職員のリストをつくるように指示を出したんでしょうか? 赤嶺議員が暴露しなかったら、職員にたいして「票を読め!」と指示が飛んでいたことは明らかです。
沖縄防衛局長:「有権者リスト」作成 公職選挙法抵触か
[毎日新聞 2012年1月31日 21時15分(最終更新 1月31日 21時52分)]
米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選(2月5日告示、12日投開票)を巡り、防衛省沖縄防衛局が同市在住の職員とその親族の「有権者リスト」を作成していた疑いが31日の衆院予算委員会で発覚した。国家公務員の地位を利用した選挙運動を禁じる公職選挙法などに抵触する恐れがあり、防衛省は同日、現地に槌道明宏秘書課長ら職員を派遣し調査した。藤村修官房長官は同日の記者会見で「重大な事案だ。確認したうえで厳正に対処していく」と述べ、真部朗局長ら関係者の処分も含む厳しい対応を検討する考えを示した。
赤嶺政賢氏(共産)が衆院予算委で、有権者リストを作成したことを示す電子メール2通の存在を明らかにした。赤嶺氏の公表したメールのコピーによると、いずれも同局の総務部総務課人事係から午後の業務時間内に各部庶務担当者あてに送られている。
1月4日付のメールは「宜野湾市在住の職員」と「宜野湾市に選挙権を有する親族(家族、いとこ、親戚)」を調査して人事係に提出するよう指示。さらに同18日付のメールでは、調査の対象者に「局長からの講話」を同23日午後4時と24日午前10時からの2回に分けて実施することを知らせ、「指定された日に必ず聴講するよう、別添『聴講者リスト』の職員に通知願います」と指示している。
防衛省の鎌田昭良官房長は31日の衆院予算委員会の理事懇談会で、真部氏と電話で連絡を取り合ったと説明。出席者によると、鎌田氏は真部局長が「講話」を行ったことは認めたが、職員による聞き取り調査を待ち、2月1日の同委理事会で詳細を報告することになった。槌道課長らは31日夜、嘉手納町の沖縄防衛局に約2時間入った。
関連する法令は公選法のほか、国家公務員法は102条で「職員は、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない」と規定。人事院規則は「政治的目的のために職名、職権またはその他の公私の影響力を利用すること」が政治的行為にあたるとしている。
赤嶺氏は「沖縄防衛局が職権を使って有権者リストを作ったということであり、国家機関の選挙に対する中立・公正義務、地位利用の禁止に反することは明らかだ」と追及。野田佳彦首相は「事実関係を確認させてください」と繰り返した。1月4日の時点で防衛相だった民主党の一川保夫参院幹事長は31日の記者会見で「私の在任中は一切知らなかった」と述べた。【坂口裕彦、小山由宇】