日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員が暴露した、沖縄防衛局長の宜野湾市長選介入「講話」事件。違法行為はなかったが、誤解を与えたとして、局長の更迭で早期幕引きをはかろうとする動きが急ピッチですすんでいる。
しかし、わざわざ関係者を集めて局長がただ「棄権しないように」と言っただけでおしまいなどということが、一体信じられるだろうか。と思ったら、「毎日新聞」によれば、「講話」のなかで「普天間飛行場を同県名護市辺野古へ移設する政府方針について有権者である親族に説明できるように備えるよう求める趣旨の発言をしていた」ことが明らかに。宜野湾市長選では、伊波候補が県内移設反対を掲げているのだから、伊波候補に反対する立場を親族等に説明せよと言ったということではないか! これが選挙介入でなくて、なんなのか!
沖縄タイムスによれば、以前から、「上司や上官による特定候補者への投票依頼が恒常的に行われていた」と現役自衛官や防衛関係者らが証言したそうだ。防衛局長も、過去の選挙でも「講話」をしたことを認めており、証言は符合する。
ところが、防衛省は、早くももみ消しに躍起。とくに渡辺防衛副大臣の指示はひどい。「講話の内容をできるかぎり思い出して字にするように」した上で、「できるだけ多くの職員に『こういう内容だったか』ということを見てもらいたい」というのは、「局長がしゃべったのは、こういう内容でよかったな」という口裏合わせそのものだ。
防衛省の内部調査は直ちにやめさせて、国会の場で、防衛局職員を喚問して、誰の指示で、何のために名簿作成がおこなわれたか、各職場で講話への出席を上司から指示・命令されたかどうか、講話の中身はなんだったのか、講話を受けて特定候補支持の働きかけをしたかしなかったか、など、徹底的に事実関係を調査してほしい。
さらに、誰が共産党にばらしたのか、密告者捜しが始まっている。↓
沖縄防衛局長:「違法の可能性自覚」。更迭含め調整
[毎日新聞 2012年2月1日 20時18分]
田中直紀防衛相は1日、沖縄防衛局が沖縄県宜野湾市長選(12日投開票)の「有権者リスト」を作成した問題で、同局職員を庁舎内に集めて市長選への投票を呼びかける講話をした真部朗(まなべろう)局長について、公務員の中立性・公正性に疑いを招いたとして、更迭も含めて厳正に処分する方向で調整に入った。一方、真部氏は1日、国家公務員法などに抵触する可能性を「自覚している」と語った。
田中氏は1日夜、防衛省で政務三役会議を開き、対応を協議した。しかし、真部氏が職員に投票を呼びかける講話を「名護の選挙でもやった」と、10年1月の名護市長選か、同9月の名護市議選でも行っていたことを明らかにしたことや、同省が講話の内容を把握するため1日に職員2人を現地に追加派遣したことなどを考慮して、引き続き事実関係を調査する方針で一致した。沖縄防衛局で、過去の他の選挙でも投票への呼びかけが行われていた可能性もあることから、調査チームを発足させることも確認し、この日の処分決定は見送った。
田中氏は同日、防衛省で記者団に「もう少し慎重に、公務員の中立性・公平性という観点から業務に当たってもらいたい」と述べ、真部氏ら沖縄防衛局の対応を問題視する姿勢を強調。防衛省幹部は野党が批判を強めていることを重視しており、「違法性はないかもしれないが、大きな問題になった以上、更迭や内規による処分をする可能性はある」と記者団に語った。野党からは「防衛局長は更迭やむなしだ」(漆原良夫公明党国対委員長)と更迭を求める声が高まっている。
防衛省によると、講話は真部氏が発案した。沖縄防衛局総務部が宜野湾市在住の職員と同市に親族が在住する職員80人をリストアップ。リストには職員名のほか、親族がいる職員については職員との関係と人数が付記されていた。真部氏は先月23、24両日の業務時間内に計2回、防衛局庁舎内で約10分ずつ、職員計68人に「講話」した。
一方、真部氏は1日、沖縄防衛局に抗議に訪れた社民党の山内徳信参院議員ら約20人に対し、講話を実施した時点では「政治的行為にあたるとの認識はなかった」とした上で、法に抵触する可能性について現在は「自覚している。だからこそ防衛省の調査が行われている」との認識を語った。講話の中で、普天間飛行場を同県名護市辺野古へ移設する政府方針について有権者である親族に説明できるように備えるよう求める趣旨の発言をしていたことも明らかにした。
また、過去の選挙での対応を問われた真部氏は「業務にかかわる場合、常にではないが、また、やり方も同一でないが、そういうことをしてきたことはあろうかと思う」と述べ、過去の別の選挙でも講話などを開いてきたことを明らかにした。しかし、具体的な選挙名については「本省が調査中」「詳細な記録が残っていない」などの理由で説明しなかった。【朝日弘行、井本義親】
防衛局長問題 幹部会議で対応
[NHKニュース 2月1日 18時25分]
防衛省は、沖縄防衛局長が、今月行われる宜野湾市長選挙に向けて職員に講話を行っていた問題で、先ほどから、田中防衛大臣ら幹部による会議を開いて、対応を検討しています。
防衛省の調査によりますと、沖縄防衛局の真部局長は、みずから指示し、今月12日に投票が行われる宜野湾市長選挙に向け、先週2回、職員に講話を行っていたということです。真部局長は、講話の内容について、「宜野湾市にはアメリカ軍普天間基地があり、民意が重要で、公務員として選挙権を行使すべきだと述べた」と話し、講話を聴いた職員への調査でも、特定の候補者を支持する内容は確認されなかったとしています。また、防衛省のこれまでの調査で、真部局長が、おととし、沖縄の名護市での選挙についても、当時、局長として、職員に講話を行っていたことが分かりました。これを受けて、防衛省は、先ほど午後5時半すぎから、田中防衛大臣や渡辺副大臣など、幹部による会議を開いて、対応を検討しています。
今回の問題を巡っては、田中大臣が「誤解を招く行為だ」と述べたほか、防衛省内では、「沖縄防衛局として、政治的中立性を明確にするためにも、局長の更迭もやむを得ない」という意見が出ています。会議に先立って、田中大臣は、防衛省で記者団に対し、「さらなる厳正な調査をもう少し行ってもらいたい。情報の共有ということで、報告を受けることになっている」と述べました。そのうえで、田中大臣は、今回の問題の対応について、「会議で話し合うが、きょう具体的なことを決めることはないと思う」と述べました。
会議に先だって、渡辺防衛副大臣は、防衛省で、記者団に対し、「沖縄防衛局に対して、『講話の内容をできるかぎり思い出して字にするように』と指示した。できるだけ多くの職員に『こういう内容だったか』ということを見てもらいたい。それを見てからでないと、局長の処分については、きょうの時点では難しい。きょうの会議は、調査結果などを踏まえ、新しい情報を政務三役で共有するためのものであり、人事を決めることにはならない」と述べました。
防衛省がメール流出調査=講話問題
[時事通信 2012/02/01-17:12]
藤村修官房長官は1日午後の記者会見で、防衛省沖縄防衛局長が沖縄県宜野湾市長選に絡み、職員らに「講話」を行っていた問題で、局内で交わした電子メールが外部に流出した経緯を防衛省が調査していることを明らかにした。
この問題は共産党の赤嶺政賢衆院議員が1月31日の衆院予算委員会で、沖縄防衛局内部のメールを基に追及した。メール流出に違法性があるかどうかについて、藤村長官は「調べてみないと分からないので、今そういうことも精査していると思う」と述べた。
違法行為を組織ぐるみですすめるメールは問題なくて、そのメールを告発するのが法律違反に問われるなんて、絶対におかしいだろう!
以前からくり返しおこなわれていたことが明らかになれば、こういう↓自民党関係者の発言は、それこそ「すっとぼけるにもほどがある」ということになるのだが。
【沖縄防衛局長問題】自民・石破氏「信じられない」:MSN産経ニュース
自民・石破氏「信じられない」
[MSN産経ニュース 2012.2.1 13:50]
自民党の石破茂前政調会長は1日午前、米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾(ぎのわん)市の市長選をめぐり、沖縄防衛局が市内在住の職員の親族調査をメールで指示し、真部朗(まなべ・ろう)局長が職員らに「講話」を実施した問題で「さらなる説明がない限り、集中審議を求めることになる」と述べた。国会内で記者団の質問に答えた。
石破氏は衆院予算委員会理事会で、渡辺周防衛副大臣から防衛省の調査結果について説明を受けたが「(講話の)記録が存在していないということ自体が信じられない。極めて重大な問題だ」と語った。