“実は温度計は8個壊れてました”

先ほど、テレ朝・報道ステーションが取り上げていて、驚いたのですが、福島第一原発2号機の圧力容器の温度計は、実は8個壊れていたというのです。

“温度計の故障”でも拭えぬ不安:報道ステーション|テレビ朝日
圧力容器の温度計8個に異常 福島第1原発2号機:共同通信
2号機の温度計、さらに2個が故障:TBS News-i

こんなふうに、後になってから「実は温度計は8個壊れてました」という事実が明らかになるのは、東京電力がすべてのデータを握ったまま、結論としての「評価」結果と、それを裏づける「根拠」となるデータだけを公表しているから。いつまで、事故を起こした東京電力にこんなことをやらせておくつもりでしょうか? すべてのデータを公表し、別のきちんとした機関がそれの「評価」をおこなうようにしなければなりません。

“温度計の故障”でも拭えぬ不安

[報道ステーション 2012年2月14日 (火)]

 福島第一原発2号機の炉心にあたる「圧力容器」の外側に付けられた温度計の一つが、異常な高温を示し続けている。14日午後5時の時点で、248.9度。政府と東京電力は、計測器の故障だとしている。その根拠の一つが、ほかの装置のデータだ。同じ高さにある2つの温度計は31度を示していて、いずれも異常な数値は確認されていない。一方で、問題の温度計のデータを見てみると、ここに来て乱高下が激しくなっている。400度を超えたかと思うと、短時間で0度にまで変化している。もう一つの根拠は、核分裂反応が連続すると発生する“キセノン”も検出されていないということだ。
 ただ、今回のトラブルが故障だとすれば、新たな問題が出てくるという。東芝で原発を設計した後藤政志工学博士は「原子炉の状態のチェックは、温度を頼りにしている。今後、ほかも故障していけば、我々の唯一の”目”が、どんどん失われ、炉内の状況が把握できなくなる恐れがある」と指摘する。
 一方、今回、2号機でトラブルが起きたことを問題視する専門家もいる。2号機は、水素爆発を起こした1、3号機に比べ、無事だったようにも見えるが、その内部は、最もダメージが大きかったという。元日本原子力研究所研究員・社会技術システム安全研究所の田辺文也所長は「東電が内視鏡を入れて中を見た時、溜まっているはずの水がなかった。圧力抑制室に穴が開いている」と話す。つまり、温度が100度を超え、内部の汚染水が沸騰した場合、大量の放射性物質が水蒸気とともに再び外部に漏れ出してしまう。温度計以外にも、内部の空気や汚染水を採取し、放射性物質が出ていないかチェックし、炉内の状況は調べられる。しかし、いずれも、分析し、結果が出るのに時間がかかってしまう。
 政府は東京電力に対し、温度計以外にも炉心を監視する手段を検討するよう指示を出した。しかし、東京電力は「新しく熱電対(温度計)を格納容器、あるいは圧力容器に設置することは非常に難しい状況」としている。さらに、会見のなかで東京電力は、2号機の圧力容器に41個ある温度計のうち、8個に異常が確認されたことを発表した

圧力容器の温度計8個に異常 福島第1原発2号機

[2012/02/14 21:08 共同通信]

 福島第1原発2号機で原子炉圧力容器底部の温度計の数値が異常に上昇した問題で、東電は14日、他の温度計の点検を進め、圧力容器に41個ある温度計のうち計8個に異常がみられると発表した
 一時、400度を超えた温度計1個のほか、2個に温度を測るもととなる電気抵抗値に異常が見つかった残りの5個は故障と判断していた。東電は残る33個の温度計で圧力容器全体の温度傾向を監視する。
 経産省原子力安全・保安院から、故障とみられる温度計に代わる温度監視の策を求められたことについて、東電は「新たに温度計を設置するのは難しい。実現可能性含め対応したい」としている。

2号機の温度計、さらに2個が故障

[TBS News-i 最終更新:2012年2月14日(火) 22時53分]

 福島第一原発2号機の圧力容器で底の温度計が故障したことを受け、東京電力がほかの温度計を調査したところ、さらに2個の温度計が故障していることがわかりました。
 福島第一原発2号機をめぐっては、圧力容器の底に設置されている温度計のうち、ひとつの温度計で今月に入って温度が急上昇し、一時、測定限界値の400度を越えるなど異常値を示しました。
 東京電力では「温度計が故障した」とほぼ断定し、故障の原因については「原子炉内が高温多湿になっている影響でケーブルが断線した可能性が高い」と説明しています。
 この故障を受け、東京電力が2号機の格納容器内にある41個の温度計のうち15個について調査したところ、さらに2個が故障していることがわかりました。今回、異常値を示した温度計と同じ高さにあるほかの2個の温度計に異常はなかったということで、東京電力では原子炉は冷却されているとしています。
 今回の事態を受け、原子力安全・保安院は東京電力に対し、15日までに温度計が故障した原因を調査して報告するよう指示しています。(14日21:35)

41個の温度計のうち、以前から5個壊れ、最近、1個壊れていたのだから、それ以外の35個を調べてよさそうなものなのに、調べたのは15個だけ。残り20個はなぜ調べなかったのでしょうか? それとも15個については「調べんとあかん」と思わせる兆候でもあったのでしょうか?

なんにせよ、今日、東電が記者会見で発表した資料には、41個の温度計のことなどどこにも出てきません。「問題の温度計は壊れたようだ」という東京電力の「評価」を裏づける「圧力容器下部」(底部ヘッド上部/支持スカートジャンクション上部)の温度変化だけが公表されています。

福島第一原子力発電所2号機 原子炉圧力容器下部(底部ヘッド上部/支持スカートジャンクション上部)温度(参考値)(PDF、17.3KB)
福島第一原子力発電所2号機 原子炉圧力容器下部(底部ヘッド上部)温度(PDF、9.06KB)

そもそも原子力安全・保安院は、これまで圧力容器内に何個温度計があって、それらがきちんと計測しているかどうかをつかんでいたのでしょうか? 知っていたなら、なぜ公表しなかったのか? 知らなかったのなら、それで規制機関としての役割を果たせているのか? ストレステストの評価云々以前に、真剣な自己批判が必要です。

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