原子力安全委員会の班目委員長が、原発のストレステストについて「『1次評価』だけでは安全性を評価するには不十分だ」と発言しています。これがもし本当だとしたら、「1次評価」合格で原発を再稼働させようという政府の思惑を完全に吹き飛ばすことに。しかし、あの班目さんが根本的に心を入れ替えたならともかく、ホントにそんなことを言い出したんでしょうか?
と思って、少し調べて囁きました。
- 班目・原子力安全委員長が、ストレス評価の1次評価だけでは安全は判断できないと言っているのは、どうやらこのことらしい。 原子力安全委員会「発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する原子力安全委員会の行う確認に係る方針等について」 http://t.co/QAmOzwc7 posted at 19:21:17
- まず班目氏が言っているのは、原子力安全委が運転再開の可否を判断するわけではないという点。安全委が判断するのは、電力会社が実施したストレステストにたいして安全・保安院が行った確認が安全委の定めた基準にかなっているかどうか。これは現在の安全委には直接規制権限がないことを反映したもの。 posted at 19:29:52
- 安全委としては「設計上の想定を超える外部事象」に対する安全性の確認の仕方、そこに「最新の知見」が反映されているかどうかなどを確認するという訳だ。しかし、それが1次評価では行なわれないから、1次評価だけでは安全性が確認できたとは言えないという発言になっているのではないだろうか。 posted at 19:35:13
- これが、今日の班目安全委員長の発言。これを読むと、もうちょっと踏み込んで喋っているような気もしますが… RT @nhk_news: “1次評価”安全性評価できず http://t.co/ej2bzhjI #nhk_news posted at 20:37:59
- 班目さんの発言のポイントは「運転再開の判断とは切り離して」というところにあるのだろう。切り離してしまえば、再稼働について自分が矢面に立たされる心配はなくなる。 Reading:“1次評価”安全性評価できず NHKニュース http://t.co/ej2bzhjI posted at 21:58:28
- 班目発言の真意はいずこ? 今年4月には原子力安全委は廃止され、新しい規制庁が発足する。いまだどの電力会社も2次テストに着手しておらず、したがって原子力安全委解体までに2次テストの評価結果が提出される可能性はゼロ。 posted at 22:46:30
- 班目発言の真意はいずこ? ということは、結局、もう安全委はストレステストについては何もしないという宣言ではないのか。そうなるといよいよ残るのは「運転再開の判断とは切り離して」という発言のみ。つまり、1次評価で再稼働するかどうかについては、安全委は何も言わないぞ、という宣言だけ。 posted at 22:49:12
- やっぱり、班目先生は最後まで班目先生だということなのだろうか。 posted at 22:49:42
“1次評価”安全性評価できず
[NHKニュース 2月20日 19時37分]
原子力発電所の「ストレステスト」について国の原子力安全委員会は、「今、報告を受けている『1次評価』だけでは安全性を評価するには不十分だ」と指摘したうえで、運転再開の判断とは切り離し、評価が妥当に行われているかを確認するという見解を明らかにしました。
今後、原発の運転再開を巡る動きに影響を与えそうです。
「ストレステスト」は、去年7月、原発の運転再開を判断するために導入されたもので、施設や機器が地震や津波などにどの程度耐えられるかを調べる「1次評価」と、福島第一原発事故の検証も踏まえて総合的に評価する「2次評価」の2段階に分かれています。
政府は、去年7月、定期検査中の原発については、「1次評価」で運転再開を判断する方針を明らかにしていて、今月13日には全国で初めて関西電力大飯原発3、4号機の「1次評価」を「妥当」とした評価結果を、原子力安全・保安院が原子力安全委員会に報告しています。
これについて安全委員会の班目春樹委員長は、「1次評価は簡略的な方法で原発の安全上重要な機器のみを評価するもので、原発の安全性を評価するには不十分だ。詳細な判断基準を設けた『2次評価』まで行わないと正しく評価できない」とする委員会の見解を明らかにしました。
そのうえで、「そもそもストレステストを運転再開の判断に用いることには賛成できない。安全委員会は運転再開と切り離し、評価が妥当かどうかを科学的に確認し、運転再開の判断は政府や保安院が行うものだ」と述べました。
原発の運転再開は、ストレステストの「1次評価」の結果を踏まえて、地元自治体の了解を得たうえで、政府が最終的に判断するとされてきましたが、安全委員会が、「1次評価では、安全性の評価は不十分だ」と指摘したことは、地元自治体の判断など運転再開の動きに影響を与えそうです。“1次評価”と“2次評価”
「ストレステスト」は、去年7月、原発の運転再開に向けて国民の理解を得るために導入されました。
福島第一原発の事故を受けてヨーロッパで先行して始まった原発の新たな安全評価で、コンピューター上のシミュレーションを使って、地震や津波などにどれくらい耐えられるかを確認するものです。
日本のストレステストには、「1次評価」と「2次評価」の2種類があり、「1次評価」は、安全上、重要な施設や機器が設計上の想定を超える地震や津波などに対し、どの程度耐えられるかを調べます。
一方、「2次評価」は、ヨーロッパのストレステストの実施状況や、福島第一原発事故の検証結果も踏まえて、総合的に評価することになっています。
政府が去年7月11日に公表した統一見解では、定期検査中の原発を対象に「1次評価」を実施して運転再開の可否を判断する一方で運転再開した原発を含めてすべての原発を対象に「2次評価」を実施し、運転を継続するか中止するかを判断するとしていました。
1次評価については、これまでに全国の原発16基の結果が、審査を行う国の原子力安全・保安院に提出されています。
一方、2次評価については、政府は去年12月までに提出するよう電力各社に求めていましたが、電力各社は1次評価の審査過程を参考にしたうえで取りまとめたいとして今も提出していません。
ストレステストを巡っては、「1次評価」と「2次評価」の違いが明確になっていないほか、専門家からは、「福島第一原発事故の原因が解明されていないなかでストレステストの1次評価を実施しても地元の理解には結びつかない」といった批判的な意見も出ています。
発言のもとになっているのは、今日の原子力安全委員会の定例会議で確認された、以下の方針。(案)となっていますが、PDFを開くと「案」が抹消されていることが分かります。
発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する原子力安全委員会の行う確認に係る方針等について(案)(PDF:162 KB)
これ↑を読むと分かるのは、
- ストレステストというのは、原子力安全委員会や原子力安全・保安院が実施するものではなく、「発電用原子炉設置者」つまり電力会社がおこなうものであること。
- さらに原子力安全委員会は、電力会社がおこなったストレステストの結果を直接評価するさえしないこと。
- 原子力安全委員会がおこなうのは、電力会社がおこなったストレステストに対する原子力安全・保安院の「確認」が、原子力安全委員会の定めた基準にかなっているかどうかを確認することに限られること。
- そのさい、「設計上の想定を超える外部事象」に対する原子炉の「頑健性」についてや、「最新知見」が「反映」されているかどうかについても判断する、ということ。
これは、現在の原子力安全委員会が助言機関という位置づけである以上、仕方ないことなのかもしれませんが、そこが3・11以来一番大きな問題となってきたところであり、来年度から独立した安全規制機関をつくることになった問題だったのです。しかし、班目さんは、あくまで従来の枠にとどまろうということのようです。しかし、2次テストは、まだどこの電力会社も実施しておらず、したがって、新たな規制機関が発足する前に、つまり現在の原子力安全委員会が存続している間に、2次テストが適合的におこなわれたかどうかを判断する可能性はほぼゼロ。
ということは、事実上、今日の班目発言は、原発のストレステストについては原子力安全委員会は何もしません、ということを宣言したに等しい、ということですね。そうなると、残るのは、「運転再開の判断とは切り離して」という部分のみ。つまり、運転再開の判断については原子力安全委員会は何も言いませんよ、ということですね。あ〜あ、最後まで無責任な班目さんだなぁ〜