すでに日本のメディアでも取り上げられていますが、米ニューヨークタイムズ紙が2日付で、「日本の歴史を否定する新たな企て」と題する社説を掲載しました。
安倍首相の、「従軍慰安婦」否定の動きにたいする批判です。論説は、あくまでアメリカの立場から「アジアの安定」を意図としたものですが、そういう立場からしてみても、第2次世界大戦での日本の侵略と「従軍慰安婦」の存在を否定する「歴史修正主義」の動きは、とても容認できるものではないということを示しています。
Another Attempt to Deny Japan's History – NYTimes.com
ということで、久々のヘッポコ訳です。
【社説】日本の歴史を否定する新たな企て
[2013年1月2日:ニューヨークタイムズ]
日韓関係ほど、アジアの安定にとって重要な関係はない。しかし、日本の安倍晋三・新首相は、彼の任期を、韓国との緊張を高め、協力をより難しくするであろう深刻な誤りで始めようとしているように思われる。彼は、日本の第2次世界大戦での侵略にたいする謝罪を修正しようするかもしれないことを示唆してきた。その中には、朝鮮およびその他の女性を性奴隷として使役したことにたいする謝罪も含まれる。
1993年、日本はようやく、日本軍が数千のアジア人とヨーロッパ人の女性を軍慰安所で強姦し奴隷化したことを認め、これらの残虐行為に対する日本の最初の十分な社会を明らかにした。1995年の村山富市首相によるより踏み込んだ謝罪は、「植民地支配と侵略によって」日本が「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛」を与えたことを認めた。
月曜日、ロイターが引用したところによれば、産経新聞とのインタビューの中で、右翼民族主義者の安倍氏は、自分は1995年の謝罪を具体的でない「未来志向の声明」によって置き換えることを望んでいると発言した。彼は、2006-07年の前政権期には、性奴隷として日本の戦時軍に奉仕させられた女性たちが実際に強制されたという証拠は見つからなかった、と述べた。とはいえ、菅義偉・内閣官房長官は、先週の記者会見の席上で、安倍氏は1995年の謝罪を支持するだろうと語ったが、1993年談話を見直すかもしれないことを示唆した。
日本の自由民主党総裁である安倍氏が、どのようにしてこれらの謝罪を変更しようとしているのか明らかでないが、彼は、かつて、自国の戦争の歴史を書き直したいという彼の願望を隠さなかった。犯罪を否定し、謝罪を弱めようとするどんな企ても、日本の野蛮な戦時支配に苦しめられた韓国や中国、フィリピンを憤慨させるだろう。
安倍氏の恥ずべき衝動は、この地域における北朝鮮核兵器計画のような問題での決定的な共同を脅かすだろう。このような修正主義は、過去の糊塗ではなく、その長期停滞経済の改善に焦点をあてなければならない国にとっては、邪魔者である。
ヘッポコ訳ですので、引用・転載はご勘弁を。引用・転載される場合は、ご自分で英文を確認のうえ、ご自分の責任でおこなってください。また、ちっちゃいミスは見逃してください。とんでもない思い違いをしていた場合は、こっそり教えていただけると助かります。
Editorial
Another Attempt to Deny Japan's History
Published: January 2, 2013
Few relationships are as important to stability in Asia as the one between Japan and South Korea. Yet Japan's new prime minister, Shinzo Abe, seems inclined to start his tenure with a serious mistake that would inflame tensions with South Korea and make cooperation harder. He has signaled that he might seek to revise Japan's apologies for its World War II aggression, including one for using Koreans and other women as sex slaves.
In 1993, Japan finally acknowledged that the Japanese military had raped and enslaved thousands of Asian and European women in army brothels, and offered its first full apology for those atrocities. A broader apology by Prime Minister Tomiichi Murayama in 1995 conceded that "through its colonial rule and invasion," Japan had caused "tremendous damage and suffering to the people of many countries, particularly to those of Asian nations."
In an interview with the Sankei Shimbun newspaper, Mr. Abe, a right-wing nationalist, was quoted by Reuters on Monday as saying he wants to replace the 1995 apology with an unspecified "forward looking statement." He said that his previous administration, in 2006-7, had found no evidence that the women who served as sex slaves to Japan's wartime military had, in fact, been coerced. However, at a news conference last week, the chief cabinet secretary, Yoshihide Suga, said that Mr. Abe would uphold the 1995 apology but hinted he may revise the 1993 statement.
It is not clear how Mr. Abe, the leader of the Liberal Democratic Party of Japan, might modify the apologies, but he has previously made no secret of his desire to rewrite his country's wartime history. Any attempt to deny the crimes and dilute the apologies will outrage South Korea, as well as China and the Philippines, which suffered under Japan's brutal wartime rule.
Mr. Abe's shameful impulses could threaten critical cooperation in the region on issues like North Korea's nuclear weapons program. Such revisionism is an embarrassment to a country that should be focused on improving its long-stagnant economy, not whitewashing the past.