所得税負担率が1億円超で下がるのはやはり株式譲渡益の優遇税制のせいだった!

日本経済新聞2013年1月15日付

日本経済新聞2013年1月15日付

本日の日本経済新聞「経済教室」に載っていたこのグラフ↑。申告納税者の所得税負担率を所得階層別にグラフ化したもので、1億円をピークにして、それ以上に所得が増えると所得税の負担率が実際には下がっているのがわかる。

このこと自体は、共産党がたびたび国会質問でも取り上げて追及してきたこと。

しかし、驚くのはそれと一緒に描かれた「合計所得金額に占める株譲渡の割合」のグラフ。見事に逆相関を描いている!!

つまり、1億円超で所得税負担率が下がる最大の理由は、株式譲渡益にたいする優遇税制(源泉分離10%課税)にあるということだ。

この元データは2010年11月の政府税制調査会に出された資料とのこと。

平成22年度 第9回 税制調査会11月11日資料一覧 – 内閣府

この↑なかの「個人所得課税(金融証券税制)[資料] (PDF形式:202KB)」のなかに出てくる。

しかし、ほかの資料もつらつら眺めてみるといろいろ使えそうなものが含まれている。ちょっと調べてみる価値ありかもしれない。

ちなみに、株式の配当益や譲渡益にたいする源泉分離課税というのは、本来は他の所得と寄せて総合課税すべきなのだが、株取引を活発化するために便宜を図るという趣旨のもの。したがって、本来であれば、総合課税なら30%の税金がかかるとすれば源泉徴収分離課税の税率は35%とか40%とか、総合課税の税率より高く設定するもの。面倒な総合課税の手続きをとるかわりに、税金は安くなる――これが当然のルールだろう。

ところが日本では、総合課税の場合の税率より、源泉分離課税の税率の方がはるかに低く、わずか10%しかない。これでは、みんな源泉分離課税を選ぶのは当然で、株譲渡で10億儲けても税金は1億円払えばおしまい、ということになる。総合課税なら、1800万円超は所得税40%、住民税10%で、ほぼ半分の5億円もってかれるのにくらべると、きわめて安くなっている。

僕が銀行に預けるわずかな預金の利子にも、20%の税金が源泉でかかっているにもかかわらず、不労所得の最たるものである株式配当益、譲渡益にはたった10%しか課税しないのは、まったくもって論外というしかない。

ちなみに、「個人所得課税(金融証券税制)[参考資料] (PDF形式:198KB)」を見ると、株式譲渡益にたいする課税はイギリス18%、フランス31.1%、ドイツ26.375%。日本の10%というのがいかに低いかよくわかるというものだ。せめてヨーロッパ並みに課税してもいいじゃないか、と思うのだが。

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