本日の読響定期演奏会は、2006年11月に読響「正指揮者」になった下野竜也氏の卒業記念公演。そのせいかどうかわかりませんが、サントリーホールはいつもより混雑して、学生さんらしき姿がたくさん見受けられました。プログラムは以下の通り。
ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105
第1楽章が始まったときには「おっ、遅い!」と思いましたが、だからといって崩れるわけではなく、1つ1つの音をきっちり刻んで、ゲネラル・パウゼもしっかりたっぷりとって、ブルックナーの音楽を構築していくといった感じでした。そのテンポは第2楽章でも変わりませんでしたが、第3楽章に入ると、一転してオケが躍動し始め、終わってみれば75分程度?
ともかく正攻法で真正面からブル5に立ち向かい、縦のラインを守って、1つ1つ音をきっちり積み重ねていくあたりは、実に下野さんらしい。さらに、弦の音をたっぷりと響かせて(オケは16編成で右手前にチェロが並ぶかたち)、金管を鳴り響かせるときも、決して針が振り切れるほど滅多矢鱈に強奏させるのでなく、きちんとコントールしながら、サントリーホールにちょうどぴったりくる大きさに響かせるあたりはお見事の一言に尽きます。
本当に、正指揮者最終公演にふさわしい、とても中身の濃い演奏でした。オケがはけたあともお客さんの拍手が鳴り止まず、再びステージに登場した下野さんが深々と頭を下げていたのが印象的でした。
下野さん、本当にお疲れ様でした。今後いっそうの飛躍と活躍を期待しております。
なお、本日の演奏は4月17日早朝に放送されるそうです。ご期待ください。
【演奏会情報】読売日本交響楽団第523回定期演奏会
指揮:下野竜也/コンサートマスター:小森谷巧