NHKが昨夜の7時のニュースで、「集団的自衛権行使『可能にすべき』27%」という見出して次のようなニュースを放送していた。
しかし、記事を読むと分かるように、集団的自衛権についてできるようにすべきと思うかとの質問に、一番多かった回答は「どちらともいえない」の43%だった。これを「『可能にすべき』27%」などと報じれば、世論調査の結果は「可能にすべき」にあると印象付けることになる。
そもそも、この手のややこしい問題は「賛成」「反対」「分からない・どちらとも言えない」という三択で世論調査すると、だいたいどれも回答が3分の1ずつになる傾向がある。
実際、今回のNHKの世論調査でも、憲法改正について「改正する必要があると思う」と「改正する必要はないと思う」がそれぞれ30%で、「どちらともいえない」が34%と、まさに「天下3分」の状況。それに比べると、集団的自衛権は、「どちらともいえない」の回答がさらに多いわけで、本当に世論としては「どちらともいえない」状況にあるといえる。それを「可能にすべき」が最多であるかのような報道をおこなうのはその姿勢が問われる。
今回の世論調査で一番注目すべき結果は、政府の原発再稼働方針にたいして「反対」が47%を占めたことだろう。しかも、わざわざ「国の原子力規制委員会が安全性を確認した原発」とまで断ったうえでの質問であるにもかかわらず、「賛成」は21%しかなかったのだから、この結果は明確なものだ。それに注目して報道しないのだから、NHKの報道の仕方は非常に傾向的だといえる。
集団的自衛権行使「可能にすべき」27%
[NHKニュース 1月15日 4時46分]
NHKが行った世論調査で、政府が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使をできるようにすべきだと「思う」と答えた人は27%、「思わない」と答えた人は21%で、「どちらともいえない」は43%でした。
NHKは、今月11日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行い、調査対象の66%に当たる1066人から回答を得ました。
この中で、今の憲法を改正する必要があると思うかどうか尋ねたところ、「改正する必要があると思う」と「改正する必要はないと思う」がそれぞれ30%で、「どちらともいえない」が34%でした。
また、政府が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使をできるようにすべきだと思うかどうかについては、「思う」が27%、「思わない」が21%、「どちらともいえない」が43%でした。
原発を巡って、国の原子力規制委員会が安全性を確認した原発の運転再開を進めるという政府の方針に賛成かどうか聞いたところ、「賛成」が21%、「反対」が42%、「どちらともいえない」が33%でした。