2014年10月24日、日本フィルハーモニー交響楽団第664回定期演奏会。指揮はアレクサンドル・ラザレフ。
- チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 op.48
- ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハ短調 op.43
前半「弦楽セレナーデ」は、この曲にもこういう演奏スタイルがあるのかと思うほど、非常に躍動的な演奏だった。そして、最後はいつもの「ドヤ顔」フィニッシュ!
後半。ショスタコーヴィチの4番は、これまで何度か実演も聞いたことがあるし、CDも何種類かもっているが、それらと比べようのない圧倒的な演奏。冒頭からホールに収まりきらないほどの大音量が響き渡るが、決して音が濁らないのは、いまの日フィルの実力。エンディングでは、チェレスタの音が消えた後も、ラザレフは頭の上にあげた指を振って指揮を続け、そのあとようやく演奏は終了。その間、40秒ほどもあっただろうか、ここに万感の思いが込められていたことがよく分かる。
日フィル公式アカウントのツイッターによれば、ラザレフ持参のスコアには、1961年、初演のときにショスタコーヴィチがコンドラシンにささげた謝辞が書き込まれている。ショスタコーヴィチ→コンドラシン→ラザレフと引き継がれた思いは何だったのか。スターリンの暴虐にたいする怒りなのか、それともスターリンをも笑い飛ばすショスタコーヴィチの諧謔か。なんにしても、僕は圧倒されて涙が止まらなかった。
管楽器にはたくさんの方がトラとして乗っておられた。ホルンには、都響の有馬さんのお顔も。その意味では、日フィルだけでない、日本のオーケストラによるショスタコーヴィチの演奏史に歴史を刻む名演だったと思う。
コンサートマスター:扇谷泰朋、ソロ・チェロ:菊地知也。
サントリーホール、2014年10月24日(金) 午後7時開演