すみだトリフォニーホールで、新日本フィルハーモニーの定期演奏会を聞いてきた。ダニエル・ハーディングの指揮で、ブルックナーの交響曲第5番(ノヴァーク版)というプログラム。
期待をしたが、演奏は残念な出来だった。ハーディングは、ゼネラル・パウゼを意識してやたら大きくたっぷりとっていたが、それがこの曲の推進力を妨げてしまったようで、弦や管がバラバラになってしまった。また、対抗配置にしていたが、そのためにヴァイオリンの一体感が損なわれ、かえって演奏が薄っぺらくなったように思う。管のミスもあったし、弦も濁っていた。残念ながら、新日本フィルのいまの技量ではせいぜいこの程度かという出来だった。
当日のツイッターは賛否両論だったので、私の評価は一方的過ぎるのかもしれないが、誰もが認める成功といかなかったことだけは間違いない。
ところで、当日発表されたところでは、ハーディングは1年延長で2015/2016シーズンも指揮をとるが、インゴ・メッツマッハーは今シーズン(2014/2015)で契約期間満了、延長なしということになったらしい。
小沢征爾から新日本フィルを受け継いだアルミンクが退任したあと、新日本フィルは音楽監督(あるいは常任指揮者)不在の状態が続いている。ハーディングもメッツマッハーも年2回4プログラムを振るだけ。年10回の定期演奏会のうち、半分とは言わないが、オケの音づくりに責任を持つにはせめて年4回は振ってもらいたいと思うのだが、それを担当する指揮者がいない。
またハーディングは、マーラーやブルックナーなど大作ばかりをやる“巨艦大砲主義”なところがあって、いろいろと珍しいプログラムをやってくれるメッツマッハーのほうがオケのためにはよいと思うのだが、任期満了でお終いになってしまって残念だ。この間、日フィルがラザレフにしごかれてめきめき腕を上げているだけに、新日本フィルの置いてけぼり感が半端ない。早く新しい音楽監督を迎え、オケのレベルアップに取り組んでほしい。