毎日新聞でも内閣支持率35%に急落

毎日新聞2015年7月19日朝刊

「毎日新聞」の世論調査でも、安倍内閣の支持率は35%で前回調査から7ポイント減、逆に不支持率は8ポイント増で51%になった。

本社世論調査:内閣支持率急落35% 不支持51%:毎日新聞
毎日新聞世論調査:内閣支持率急落 安保法案、「説明不十分」82% 政府・与党に焦り

本社世論調査:内閣支持率急落35% 不支持51%

[毎日新聞 2015年07月19日 09時00分(最終更新 07月19日 09時33分)]

 毎日新聞は17、18両日、安全保障関連法案の衆院通過を受けて緊急の全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は今月4、5両日の前回調査より7ポイント減の35%で、第2次安倍内閣発足後で最低となった。不支持率は前回より8ポイント増の51%と初めて半数に達した。与党が15日の衆院平和安全法制特別委員会で安保法案を強行採決したことについては「問題だ」との回答が68%で、「問題ではない」の24%を大きく上回った。安保法案への世論の批判は強まっており、政府・与党の一連の対応が内閣支持率を押し下げたとみられる。

◇安保強行採決「問題」68%

 集団的自衛権の行使などを可能にする安保法案に「反対」は62%(前回比4ポイント増)、「賛成」は27%(同2ポイント減)で、前回より賛否の差が広がった。法案成立によって日本に対する武力攻撃への「抑止力が高まる」は28%にとどまり、自衛隊の海外での活動拡大で「戦争に巻き込まれる恐れが強まる」が64%に上った。「戦争に巻き込まれる」と答えた層では9割近くが法案に反対した。抑止力と考えるか、戦争に巻き込まれると考えるかは、法案の賛否に密接に関連している。
 安保法案を9月27日までの今国会で成立させる政府・与党の方針には「反対」が63%(前回比2ポイント増)を占め、「賛成」は25%(同3ポイント減)だった。政府・与党は衆院での議論は尽くされたと主張したが、国民への説明が「不十分だ」は82%となお高率だ。こうした中での強行採決には自民支持層でも「問題だ」(43%)と「問題ではない」(47%)が拮抗(きっこう)した。
 今後始まる参院審議で野党に望む対応は、「法案の撤回を求める」38%▽「法案の修正を求める」32%▽「法案の審議に協力する」20%−−と分かれた。野党支持層では「撤回」が目立って多いが、維新支持層では「修正」が4割で最多だった。
 政党支持率は、自民28%▽民主10%▽維新6%▽公明4%▽共産5%−−など。「支持政党はない」と答えた無党派は39%だった。【今村茜】

毎日新聞世論調査:内閣支持率急落 安保法案、「説明不十分」82% 政府・与党に焦り

[毎日新聞 2015年07月19日 東京朝刊]

 毎日新聞の17、18両日の全国世論調査で、安倍内閣の支持率が第2次内閣発足後最低まで下落したことに、政府・与党が焦りを強めている。世論の懸念が強い安全保障関連法案を衆院で採決強行したことへの反発が背景だ。今後も戦後70年談話や原発再稼働、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉など難しい政治課題が山積している。関連法案には「説明が不十分」との回答がなお82%に上っており、参院審議に影響を与えそうだ。【村尾哲、真下信幸】
 自民党の谷垣禎一幹事長は18日、東京都内で記者団に「若干の支持率低下は覚悟していたが、かなり落ちている。(関連法案に)理解を求める丁寧な姿勢が求められる」と語った。
 安倍晋三首相は17日、建設費が高騰した新国立競技場の建設計画を「白紙で見直す」と表明したが、支持率低下は止まらなかった。自民幹部は「見直しの効果は1カ月も持たない。国民の多くが安倍政権の『おごり』を感じており、妙案が浮かばない」と表情を曇らせた。自民中堅議員は「今後はTPPも逆風だ。新国立見直しは当然の話に過ぎない」と語った。
 関連法案の「説明が不十分」だとしたのは、自民支持層で64%、公明支持層で8割強に上る。自民中堅議員は「参院でも『理解が得られなくても通す』という強硬姿勢ならば、付ける薬がなくなる」と一層の民意の離反を懸念。石破茂地方創生担当相は18日、鳥取市内で「有権者の前に出て訴えるのが自民党の姿勢だ」とさらに丁寧な説明が必要との考えを示した。
 一方、野党各党は世論を後押しに、参院で対決姿勢を強める考えだ。民主党の枝野幸男幹事長は東京都内で記者団に「審議すればするほど、国民の思いは首相から離れていっている。立憲主義と民主主義を守る闘いに全力を挙げる」と発言。維新の党の松野頼久代表も「(支持率30%台は)危険水域だ。国民も政権が暴走していることが分かってきた」と述べた。
 共産党の山下芳生書記局長は取材に対し「国民の怒りの表れだ」と強調。志位和夫委員長は講演で「圧倒的な世論で安倍政権を追い詰めれば、採決不能に追い込める」と訴えた。
 政党支持率は、自民が第2次安倍内閣発足後最低の28%、民主は10%で2012年末の政権転落以来初めて2ケタ台を回復した。自民幹部が危機感を強める一方、民主中堅議員は「関連法案への対決姿勢にプラス評価があるのではないか」と語った。

◇「新国立」建設、政府対応 「問題あった」8割

 今回の緊急全国世論調査では、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画についても尋ねた。今回の調査は、安倍晋三首相が17日午後に計画をゼロベースで見直す考えを表明する前に開始したため、これに対する評価は聞けなかったが、計画通りに建設する方針をいったん決めた政府の対応に「問題があった」との回答は82%を占めた。
 「問題はなかった」は7%にとどまった。安倍内閣支持層でも「問題があった」は71%、「問題はなかった」は14%だった。これまでの政府の対応への批判は根強く、首相の見直し方針でそうした世論を鎮めるのは難しそうだ。2520億円に膨らんだ建設費用を減らすために、計画を「見直すべきだ」は88%に上った。見直しを求める世論の高まりが政府の方針転換につながったとみられる。

◇首相70年談話、謝罪必要49%

 安倍首相が8月に発表する予定の戦後70年談話に、過去の「植民地支配と侵略」に対する「反省とおわび」を「盛り込むべきだ」という回答は49%、「盛り込む必要はない」は36%だった。
 安倍内閣支持層では「盛り込む必要はない」が53%と半数を超えたが、「盛り込むべきだ」も33%あった。不支持層では「盛り込むべきだ」63%、「盛り込む必要はない」25%だった。
 自民支持層は「盛り込む必要はない」52%、「盛り込むべきだ」33%。今回の結果からは、首相を支える層でも、談話の文言に配慮すべきだという意見が一定程度あることがうかがえる。【今村茜】

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■本社緊急世論調査 質問と回答

◆安倍内閣を支持しますか。
                全体 前回 男性 女性
支持する            35(42)43 30
支持しない           51(43)49 52
関心がない           12(13) 7 15

◇<「支持する」と答えた方に>支持する理由は何ですか。
自民党の首相だから       18(17)14 21
指導力に期待できる       32(33)31 33
政策に期待できる        23(25)26 20
政治のあり方が変わりそうだから 23(20)27 19

◇<「支持しない」と答えた方に>支持しない理由は何ですか。
自民党の首相だから        8 (4)13  4
指導力に期待できない       7 (8) 5  8
政策に期待できない       58(60)53 62
政治のあり方が変わりそうにない 25(22)27 23

◆どの政党を支持しますか。
自民党             28(31)30 27
民主党             10 (7)11  9
維新の党             6 (5) 7  5
公明党              4 (4) 2  5
共産党              5 (4) 5  5
次世代の党            0 (0) −  0
社民党              2 (2) 1  2
生活の党             0 (1) 1  0
日本を元気にする会        0 (−) −  0
新党改革             0 (0) −  0
その他              5 (7) 5  5
支持政党はない         39(37)37 41

◆集団的自衛権の行使など、自衛隊の海外での活動を広げる安全保障関連法案が衆院で可決され、参院に送られました。あなたはこの法案に賛成ですか、反対ですか。
賛成              27(29)39 19
反対              62(58)55 67

◆政府・与党は、安全保障関連法案を今国会で成立させるために国会の会期を9月27日まで延長しました。あなたは延長した今国会でこの法案を成立させる方針に賛成ですか、反対ですか。
賛成              25(28)34 18
反対              63(61)61 65

◆安全保障関連法案をめぐり、与党は衆院の特別委員会で野党の反対を押し切って採決しました。あなたは与党が強行採決したことを問題だと思いますか。
問題だ             68    61 72
問題ではない          24    34 17

◆安全保障関連法案について、政府・与党は衆院での議論は尽くされたと主張しています。あなたは政府・与党の国民への説明は十分だと思いますか、不十分だと思いますか。
十分だ             10    15  7
不十分だ            82    80 83

◆政府・与党は、安全保障関連法案が成立すれば、外国が日本に武力攻撃をしようとするのを押しとどめる力、いわゆる抑止力が高まると主張しています。これに対し、自衛隊の海外での活動を広げることで日本が戦争に巻き込まれる恐れが強まるとして、反対する意見もあります。あなたの考えはどちらに近いですか。
抑止力が高まる         28    41 18
戦争に巻き込まれる恐れが強まる 64    53 72

◆安全保障関連法案は、これから参院で審議されます。あなたは野党にどのような対応をとってほしいですか。次の三つの中から、あなたの考えに近いものを選んでください。
法案の審議に協力する      20    30 13
法案の修正を求める       32    29 34
法案の撤回を求める       38    36 39

◆2020年の東京オリンピックとパラリンピックの会場となる新たな国立競技場の建設に約2500億円かかることがわかりました。あなたは新国立競技場の建設費用を減らすために計画を見直すべきだと思いますか。
見直すべきだ          88    91 87
見直さなくてもよい        5     5  4

◆新国立競技場をめぐっては、建築家グループなどが建設計画の見直しを求めましたが、政府は計画通りに建設する方針をいったん決めました。あなたはこれまでの政府の対応に問題があったと思いますか。
問題があった          82    83 81
問題はなかった          7    10  5

◆安倍晋三首相は8月に戦後70年談話を発表する予定です。あなたはこの談話に過去の「植民地支配と侵略」に対する「反省とおわび」を盛り込むべきだと思いますか。
盛り込むべきだ         49    51 47
盛り込む必要はない       36    41 33

(注)数字は%、小数点以下を四捨五入。0は0.5%未満、−は回答なし。無回答は省略。カッコ内の数字は前回7月4、5日の調査結果。

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◇調査の方法

 7月17、18日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。有権者のいる1760世帯から、1048人の回答を得た。回答率は60%。

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