Google Booksで見つかるのは『資本論』の原本だけではない。マルクスが『資本論』を執筆するにあたって利用したさまざまな文献のコピーもGoogle Booksでは見つかる。
マルクスが「機械論」を執筆するさいに勉強した「諸国民の産業」The Industry of Nationsもその1つだ。
他にも、工場監督官報告書や児童労働調査委員会報告書なども見つかるし、ユア『工場の哲学』やバビジ『機械および製造業の経済論』もある、トンプソン『富の分配の諸原理』などリカードウ派社会主義の諸文献も見つかる。昔であれば、大学の先生がイギリスに留学でもしない限り読むことのできなかった文献だが、これが日本にいて机の前に座っているだけで読めるのだから、本当に凄い時代になったとしか言いようがない。
ちなみに、「諸国民の産業」は『資本論』でも使われているが、「資本論草稿集」ではもっと大量に引用されている。そこには出典元のページ数が書かれているから、それをダウンロードした「諸国民の産業」と照らし合わせることができる。同じ版なので、引用された箇所がどこかを探す必要もない。マルクスが引用を省略した部分に書かれたことも確かめられるし、マルクスがドイツ語で引用している場合には原典の英文を確かめることができる。原典にはイラストが描かれていて、マルクスが何を言っているのか、イラストを見てよくわかる、ということもある。