「世界経済フォーラム」が発表した「世界男女格差報告」。日本は、前年の91位から98位に後退した。女性の国会議員が少ないなど政治面の遅れに加えて、経済面でも賃金格差や昇進差別など、男女間の格差が大きいことが原因。
日経新聞(2008/11/12付夕刊)によれば、同フォーラムは「人的資源の半分を十分に活用できていない国は確実に競争力を損なっている」とコメントしたらしい。
日本、男女格差改善せず 08年版世界男女格差報告(共同通信)
日本の「男女平等指数」は98位に後退 世界経済フォーラム(NIKKEI NET)
ところで、国連規約人権委員会が日本政府の報告に対する勧告を発表したようだ。こちらでも、日本の女性差別・男女格差是正のための措置が大きく遅れていることが厳しく批判されている。
日本、男女格差改善せず 08年版世界男女格差報告
[2008/11/12 14:09 共同通信]
【ジュネーブ12日共同】ダボス会議で知られるスイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」は12日、女性の社会的地位の改善状況を順位付けした2008年版の「世界男女格差報告」を発表した。首位はノルウェー、2位がフィンランド、3位がスウェーデンと北欧諸国が上位を独占。日本は前年の91位から98位へ後退した。
給与水準や高等教育を受ける機会、政治参加、平均余命などの男女格差を数値化して世界130カ国を比較した。
日本は平均余命などを反映した「健康と寿命」の指数が38位と比較的上位にランクされたが、政治分野は107位、経済分野は102位、教育分野も82位にとどまり、全体順位は主要先進国の間で最低だった。
主要国ではドイツ(11位)、英国(13位)、フランス(15位)など欧州勢が上位にランクされた。米国は男女の所得格差の縮小が評価され31位から27位に上昇。ロシアは42位、中国は57位だった。
日本の「男女平等指数」は98位に後退 世界経済フォーラム
[日本経済新聞 2008/11/12夕刊]
世界経済フォーラムは12日、世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダー・ギャップ指数」の2008年版を発表した。日本の総合順位は前年より7つ下がり、98位に後退。女性国会議員が少なく政治面での参加が遅れ、経済面でも収入や昇進などで男女間に大きな格差が残っているためだ。
首位はノルウェー、2位はフィンランド、3位はスウェーデンで、北欧勢が前年に引き続き上位を占めた。日本は先進国で最低の評価。順位を16上げて57 位に躍進した中国には大きく引き離され、イスラム諸国の一部にも抜かれた。評価対象は全130カ国で、日本は下から数えて33番目だ。
世界経済フォーラムは各国の政治指導者や企業経営者が集まるダボス会議の主催団体。同フォーラムは「人的資源の半分を十分に活用できていない国は確実に競争力を損なっている」と指摘している。(ジュネーブ=藤田剛)
女性差別改善、日本に勧告
[2008年11月8日 読売新聞]
国連規約人権委「賃金格差・セクハラ対策に遅れ」
国連の規約人権委員会がこのほど、日本政府から提出された報告書に対する所見を発表した。日本は死刑制度の撤廃を検討するよう求められたほか、男女間賃金格差や女性への暴力など、女性を巡る制度や法整備の遅れについても指摘された。
同委員会は世界人権宣言を法制化した二つの規約のうち、「市民的・政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」について、批准国が提出する報告書をもとに取り組み状況を審査している。日本は1998年以来10年ぶり5回目の審査。
同規約は「男女平等」も規定している。日本政府は報告書の中で、男女共同参画社会基本法やDV防止法などが施行されたことを挙げて、男女平等施策が進んでいることを強調。また前回審査で指摘された、男女で異なる結婚可能年齢や女性のみに再婚禁止期間を規定した民法については「合理的な理由に基づく」などと説明していた。
これに対して同委員会は、女性を差別しているとして民法や関連法の改正を求めたほか、国会議員や政府の主要ポストに占める女性割合が低いのは「数値目標自体が低過ぎるため」として、クオータ(割り当て)制の導入など、一層の努力を求めた。
また、賃金格差やセクハラ対策の遅れなど労働分野の不平等について、7項目にわたって勧告。性暴力やDVなど、女性への暴力に関しては「司法手続きが女性への性的偏見を元にしている」として、法規定の見直しも勧告した。
同委員会はNGOが提出する報告書も踏まえて審査している。報告書を提出し委員会も傍聴したNGO「アジア女性資料センター」の本山央子さんは「日本政府が勧告に沿って取り組みを進めるよう見守りたい」と話している。