非正規従業員の失業8万5000人に

厚生労働省の調査で、今年10月以降すでに解雇されたか、来年3月までに解雇が予定されている非正規従業員は、分かっているだけで8万5,000人を超えることが明らかに。先月の調査では3万0,067人だったから、わずか1カ月で約5万5,000人、2.8倍になっている。

これらは、あくまで全国の労働局、ハローワークで把握した数だけ。この調査から漏れている人も含めると、いったいどれだけの人数になるのだろうか。

非正規従業員:雇い止め8万5千人…先月から2.8倍に(毎日新聞)

厚生労働省の発表資料はこちら↓。

厚生労働省:非正規労働者の雇止め等の状況について(12月報告)

厚生労働省資料は、来年3月末までに解雇される労働者の人数。それをみると、

  • 派遣労働者では、5万7,300人のうち、期間満了2万1,160人にたいし、契約期間中の中途解雇は2万9,451人で51%を占める。不明を含めると、3万5,140人、61%になる。
  • 期間従業員については、期間途中での解雇は労働契約法違反だということが明確にされてきたため、いすゞなども撤回したこともあって、期間途中の解雇は全体1万5,737人中2,115人、13%と少なくなっている。しかし、それでも2,000人以上が違法解雇されようとしている。
  • 請負では、解雇者7,938人中、中途解雇が4,738人、60%にのぼる。
  • 全体では、8万5、021人中3万8,792人、46%が契約期間中に解雇される。契約期間が満了していればいつでも雇い止めしてよいという訳ではないが、しかし、半数近く(不明分を含めれば半数以上)が契約期間中の解雇であり、これはただちに撤回されなければならない。
  • 業種では、圧倒的に製造業だ。8万5,021人中、製造業は7万9,998人、94%を占めている。
  • 月別でみると、12月末までで、すでに5万2,684人が解雇されている。とくに12月は3万4,368人と全体の半分近くを占めており、事態の打開は緊急の課題となっている。
  • 雇用保険について、加入割合99.0%lという数字がでているが、これは加入状況が判明した者のなかでの数字。加入状況が判明しなかった者の大部分は未加入だと考えられるので、それを含めると、加入割合は66%。3人に1人は、失業保険をもらう資格をはじめから失っているのだ!!
  • 再就職できたことが分かっているのは2,026人、全体の2.4%しかない。どうやって再就職先を見つけるか、真剣な取り組みが求められる。
  • 住居については、状況が判明した人が3万5,208人で、そのうち2,157人が喪失者で、その割合は6.1%だとなっている。しかし、この場合も分かったのは、とりあえず住居が確保できている人は3万3,051人だったということでしかない。状況不明の人が全員住居をなくしていたとすれば、喪失者の割合は61%になる。(この中には、9月末以前に失業して住居を失った人が含まれていないことに注意)

その他に、正社員でも3,295人の失業者・失業予定者が出ているが、これは、100人以上を解雇する事例を集計した者。もっと小さいところでの正社員解雇は含まれていない。何にせよ、「次は正社員」ではなくて、すでに正社員の解雇も始まっている、と考えるべきだろう。

非正規従業員:雇い止め8万5千人…先月から2.8倍に

[毎日新聞 2008年12月26日 11時55分(最終更新 12月26日 13時16分)]

 厚生労働省は26日、来年3月までの半年間に、期間満了で契約を更新されなかったり途中で解雇されたりする「雇い止め」の非正規従業員が8万5000人を突破するとの調査結果を発表した。初めて調査した先月28日公表分の3万67人に比べ約2.8倍に悪化した。就職内定を取り消された大学・高校生も769人になり、先月調査から約2.3倍に増えた。不況の深刻化で雇用情勢が急速に厳しさを増していることを示す結果になった。
 厚労省によると、今年10月?来年3月に派遣・期間労働者など非正規従業員の雇い止めをしたか、予定しているのは1415事業所で、総数は8万5012人。うち5万2684人は年内に雇い止めになる。また、少なくとも2157人が住まいを失い、5万人については住居の状況が把握できていない。業種別では製造業が8万1240人と全体の95.6%を占めている。
 雇用形態別では▽派遣労働者5万7300人(67.4%)▽期間労働者など1万5737人(18.5%)▽請負労働者7938人(9.3%)▽その他(パートなど)4037人(4.7%)。
 契約期間中の解雇は3万8792人で、期間満了後、更新されないのは3万8553人、不明が7667人。派遣は契約期間中の解雇が期間満了を7000人以上上回り、期間満了型が圧倒的に多い期間労働者との違いが際立っている。
 都道府県別では、自動車関連産業などが集まる愛知県が1万509人と最も多く、続いて▽長野(4193人)▽福島(3856人)▽静岡(3406人)などの順だった。
 一方、就職内定を取り消された来春の卒業予定者は、大学生が632人(前回調査302人)、高校生が137人(同29人)。高校生の増加が目立ったが、高校生は就職活動の開始が9月以降のため、影響が表れるのが遅くなったとみられる。業種別では不動産業の197人が最多で、次いで製造業の187人だった。【東海林智】

内定取り消し問題については、同じく厚生労働省のこちら↓のページを。

厚生労働省:新規学校卒業者の採用内定取消しについて

12月19日現在の件数は最下段「3.参考情報」第2項を見よ。しかしそれ以上に大事なのは、「2.新規学卒者の採用をお考えの事業主の皆様へ」にあげられている「新規学卒者の採用に関する指針」。「採用内定取消等の防止」として、「事業主は、採用内定を取り消さないものとする」という大原則が明記されている。

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