厚生労働省が、期間労働者(「有期契約労働者」)の雇用問題について、今年9月に、「有期契約労働者を雇用する事業主の皆様へ」というパンフレットを出していたことを発見。
この中では、前にも書いたとおり、契約期間中の途中解雇であっても、「少なくとも30日前に予告しなければならない」と指摘するだけで、実際には中途解雇を容認しているという重大な問題点がある。
しかし、たとえば「契約期間中の解雇」について、次のように、「やむを得ない事由」がなければならないことを明記し、就業規則で「会社都合で解雇できる」と定めていてもだめであると指摘している。
ア 契約期間中の解雇
使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができません(契約法第17条第1項)
契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもって「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されるものです。
また、契約期間についても、「必要以上に短い期間」を定めてはならないとしている。
<2>契約期間についての配慮
ア 目的に照らした配慮使用者は、有期労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することの内容配慮してください(契約法第17条第2項)。
例えば、ある労働者について、使用者が一定の期間にわたり使用しようとする場合には、その一定の期間において、より短期の有期労働契約を反復更新するのではなく、その一定の期間を契約期間とする有期労働契約を締結するよう配慮しなければなりません。
企業側は、事業計画は半年ごとにしか決まらないというかも知れませんが、実際の仕事(たとえば、ラインでの自動車の生産)が1年以上続くのに、半年ごとの雇用契約をくり返すのは、明らかにこれ↑に違反するものだ。
さらに、「イ 契約更新時の配慮」として、次のように明記している。
使用者は、有期労働契約(1回以上更新し、かつ、雇入れ日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合には、契約の実態及び労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするように努めなければなりません(雇止め告示第4条)。
つまり、半年ごとの契約であっても、それを更新して雇入れ日から1年以上たった場合には、企業側は、労働者の希望に応じて契約期間をできるだけ長くしなければならないのだ。
こう考えれば、半年ごとの契約更新をくり返した揚げ句、契約満了「雇い止め」というのも、そう簡単には認められないことは明らかではないだろうか。ぜひ詳しい方に研究していただきたい。