反貧困ネットワーク事務局長で、一昨年の年末から去年のお正月にかけて解説された「年越し派遣村」の元村長さんの湯浅誠氏が、共産党の「しんぶん赤旗」日曜版(5月9日号)で、参議院議員の小池晃さんとの対談に登場しています。
意外だったのは、小池さんとの出会い。2007年に、湯浅氏が反貧困運動を立ち上げたころに、ネットカフェ難民について小池議員らが湯浅さんに実情も聞き、それを国会で取り上げて、政府に調査させたこと。それを湯浅さんも岩波新書の『反貧困』で取り上げたそうですが、振り返ってみれば、ネットカフェ難民という言葉が広がり、貧困問題への世間の注目が広がりだした頃からのおつきあいだったんですね。
それについて、湯浅氏は、こんなふうに振り返っています。
湯浅 小池さんは、社会問題化していたことを国会でとりあげて調査させた。対策はまだまだ不十分だけど、ちょっとでも手がうたれたのは、すごくいい展開でした。あんなにきれいに事態が動くことは、あまりなかったと思います。
小池さんの国会質問は、いまから振り返ってみても、大事なきっかけになっていたんですね。(小池さんの国会質問は2007年3月、その結果、厚生労働省が6、7月に調査を実施、8月末に結果が公表されました)
湯浅さんといえば、鳩山政権の誕生で「内閣府参与」にまでなって政権中枢に飛び込んで奮闘されました。また、いっときは「湯浅さんを民主党が東京選挙区でかつぐ」などという噂まで、まことしやかに流れたことがあります(おそらく、民主党のなかから漏れ出しただけで、湯浅さんはあずかり知らぬ話だろうけど)。
しかし、いまはあらためて、貧困をめぐるさまざまな事態を変えるために一つ一つたたかっていく立場に。日曜版の対談でも、「この事態をひとつひとつ変えていくにはたたかいと運動が大事ですね」と語り、「湯浅さんたちの仕事を国会で応援していくためにも」東京選挙区で日本共産党の議席を勝ち取りたいという小池さんに、「ありがとうございます。がんばってください」とエールの交換をしています。
【追記 2010/05/10 21:56】
てなことを書いていたら、湯浅氏が内閣府参与に復帰するというニュースが流れています。しかも、さらに探してみると、内閣府参与復帰はすでに4月末には出ていたみたいですね。となると、湯浅さんは、それを承知の上で「しんぶん赤旗」日曜版に登場してくれたんでしょうか。
反貧困ネットの湯浅氏、再び内閣府参与に:時事通信
失業者に相談者個別派遣へ…湯浅氏再起用も : 読売新聞
反貧困ネットの湯浅氏、再び内閣府参与に
[時事通信 2010/05/10-20:24]
内閣府は10日、「反貧困ネットワーク」事務局長の湯浅誠氏を、同日付で参与に起用すると発表した。同氏は内閣府参与として年末年始の「公設派遣村」開設に取り組んだ後、3月に参与を辞任した。政府は11日、緊急雇用対策本部の下に「セーフティー・ネットワーク実現チーム」を立ち上げ、長期失業者への支援検討に入るが、湯浅氏にチームへの参加を求め、再び内閣府参与とした。
失業者に相談者個別派遣へ…湯浅氏再起用も
[2010年4月26日21時09分 読売新聞]
鳩山首相は26日、首相官邸で開かれた政労使の代表による「雇用戦略対話」の会合で、失業者や非正規労働者の元にカウンセラーを派遣して、就業相談などに乗る新たな制度「パーソナル・サポート・サービス」を導入する考えを表明した。
これに関連し、菅副総理は同日の記者会見で、先に内閣府参与を辞任した元「年越し派遣村」村長の湯浅誠氏を再び参与に起用し、新制度の具体策を詰めてもらう考えを明らかにした。
同日の雇用戦略対話の会合では、20?64歳の就業率を80%にすることなど、政府が2020年までに達成を目指す雇用関係の目標値を承認し、正式決定した。