昨日、本屋で見つけた新刊書。神戸女学院大学の内田樹氏と石川康宏氏との、手紙の交換形式によるマルクスの薦めです。取り上げられているのは、『共産党宣言』『ユダヤ人問題に寄せて』『ヘーゲル法哲学批判序説』『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』の5冊。
これら5つの文献は、どれもマルクスが20歳代に書いたもの。そこから、「20歳代の模索と情熱」というサブタイトルが生まれ、そんな同世代人マルクスの書いたものを若者は「いいから黙って読みなさい」ということになるのでしょう。
しかし、引用のために使っている邦訳文献も違えば、マルクスに向き合う姿勢もまったく違っています。
まだぱらぱらとめくってみただけですが、石川氏が、どちらかと言えばマルクス自身の歴史に沿って、マルクスの思想的な発展を踏まえながらマルクスを読んでいこうとしているのにたいして、内田氏は、それぞれの文献を、あるいはそれぞれのフレーズをそれとして解釈する、という感じです。
そのあたりを含めて、きっちり区別して読まないと、混乱します。とくに、マルクスにかんする本を読むのははじめてだという人は、十分ご注意を。(^_^;)
【書誌情報】
著者:内田樹、石川康宏/書名:若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱/出版社:かもがわ出版/発行:2010年6月/定価:本体1,500円+税/ISBN978-4-7803-0360-5
この本、今日ビーケーワンから届きました。
ざっとですが通読して「おもしろい!」そう思いました。
私的には、どちらかというと高校生や大学生よりも、マルクスや科学的社会主義についての基礎を学んだ(学んでいる)人にこそ、読んでみてほしいなと思いました。
石川先生と内田先生、政治的にも思想的にも異なる二人の研究者のとらえ方の違い、それを前提とした交流の仕方にこそ、この本のおもしろさがあると思います。
続巻にも大いに期待しています。