仕事帰りに、本日最終日の映画「オーケストラ」を渋谷ルシネマで見てきました。最終日の最終回だというのに、けっこうなお客さん。
最初はなんだかどたばたみたいな映画でしたが、オーケストラと競演するソロ・ヴァイオリニスト、アンヌ=マリー・ジャケ役のメラニー・ロランが登場したあたりから、ぐっと話が面白くなってきました。
彼女は、この映画まではヴァイオリンを弾いたことがなかったそうですが、それにもかかわらず、ソリストの毅然とした雰囲気を醸し出していました。この映画のために2ヵ月ヴァイオリンの猛特訓をして、それで弓の使い方だけ覚えたとか。それで、かっこうだけにせよ、ぴしっと決まっていたのかもしれません。
もちろん、映画のなかで演奏したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は吹き替えですが、これがかなり甘ったるい演奏。まあ、ストーリーがストーリーですのでこうなるのも当然ですが、そのべたべたの甘ったるさについついこっちも引き込まれてしまいました。
主人公のフィリホプは、30年前の「ある事件」のためにボリショイ劇場の指揮者を追われ、現在は同劇場の清掃係として暮らしている元天才指揮者。演じているのは、ハリソン・フォードがちょっと間延びしたようなアレクセイ・グシュコブ。
偽物のボリショイ・オーケストラをでっち上げて、パリでの公演をめざすのですが、そんなでたらめな話がなんで通ってしまったかというと、招聘するパリ・シャトレ座の側にも弱みがあったから。
そのシャトレ座の支配人を演じているのが、「トランスポーター」のタルコーニ刑事をやっていたフランソワ・ベルレアン。相変わらず口先の達者なキャラを見事に演じています。(^_^;)
そして、彼↑が、挫けそうになるフィリポフを支えて、オケのメンバー集めやパリ行き、そしてドタキャンされそうになったジャケとの共演を実現する気のいいチェリスト役を演じたドミトリー・ナザロフ。
ほかにも、一癖も二癖もあるキャラばかりが登場してきます。
ブレジネフ時代の旧ソ連の抑圧がモチーフになっていますが、同時に、ソ連崩壊後の「財閥」連中のいかがわしさもしっかり描かれています。さらに、フランス共産党本部なんぞも登場して、ソ連共産党の「長女」と言われたフランス共産党も笑い飛ばされています(しかし、ここらあたりを笑って見ていたのは、僕だけかもしれませんが)。
これでようやく今年4本目の映画。年間40本は見たいのですが、まだまだ道は遠そうです…。
なお、ルシネマの上映は今日まででしたが、明日からはヒューマントラストシネマ渋谷や新宿の角川シネマなどで上映されます。