EU 独自財源として金融課税?

EUで、国際金融取引税あるいは金融活動税を創設する動きが。

出発点は独自財源を確保するためのもの。でも、課税のためには国際的な金融取引そのものや金融活動そのものを把握する必要が生まれ、そこから投機的な資金活動にたいする規制の道も開けるかも知れません。そうなったら、おもしろいんですけどね。

欧州委、独自財源「EU税」創設を正式提案:日本経済新聞
欧州委が「金融活動税」草案、3兆円弱見込む:読売新聞

欧州委、独自財源「EU税」創設を正式提案

[日本経済新聞 2010/10/20 10:43]

 【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会は19日、EUの次期中期予算(2014-20年)の一環として、EUの独自財源となる「EU税」の導入を正式に提案した。国際金融取引課税(トービン税)、金融機関の利益や報酬に課税する「金融活動税」、EU付加価値税(VAT)などを候補に挙げた。だが、加盟国の反発は必至で、EU内の調整は難航しそうだ。
 EU予算は加盟国共通の政策を進めるための予算で、10年予算は約1230億ユーロ。歳入の76%は加盟国の分担金、11%は各国がVATの約0.3%分を拠出、EU独自の財源は共通関税など残りの約13%にとどまっている。
 欧州委の提案は各国のVATの拠出分を廃止して負担を軽減する代わりに、EU税を導入して独自財源を確保する内容。バローゾ欧州委員長は「加盟国の財政支出が制約されている中、EUが直面している課題に対応する」と説明している。
 欧州委はEU予算における加盟国への依存度を減らし、政策の自由度を高めるのが狙い。例えば、自然災害や金融危機が起きた際、十分な独自財源がないと機動的に政策を投入できないとの判断が背景にある。
 だが、仏政府は早くも「時期が悪い」と難色を示している。EUに財政主権の一部が奪われるとドイツや英国も反対するのは確実で、欧州委もEU税の税率などの具体案の公表はひとまず見送った。欧州委は11年7月までに次期中期予算の大枠を正式に提案する予定で、それまでに曲折も予想される。

欧州委が「金融活動税」草案、3兆円弱見込む

[2010年10月8日09時02分 読売新聞]

 【ロンドン=是枝智】欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会は7日、加盟27か国の金融機関を対象に、利益と役職員への報酬の総額に課税する「金融活動税」(FAT)の草案を発表した。
 税率を5%とした場合、年間で計約250億ユーロ(約2兆9000億円)相当の税収が見込めると試算している。金融安定化などに活用する狙いで、今後、具体化を急ぐ方針だ。
 欧州委は、株式や債券、外国為替などの取引に低税率で課税する「金融取引税」(FTT)についても国際的に導入するよう提言した。0.1%の税率で計約600億ユーロの税収が想定されるという。
 欧州委は10月末のEU首脳会議や11月の世界20か国・地域(G20)首脳会議に提案したうえで、2011年中に最終案を固めたい考えだ。ただ、金融機関の反発が強いうえ、加盟国の足並みもそろっておらず導入までには曲折が予想される。

とくに国際金融取引税(いわゆるトービン税)は、国際的な金融取引に、たとえば0.1%というごく低い税率で課税するもの。税率は低くても、短期的に資金のやりとりを繰り返せば繰り返すほど負担が大きくなるので、短期的投機的な資金移動を抑制する効果が生まれるわけです。

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