日本共産党の「しんぶん赤旗」日曜版の今週号(2010年12月19日)に、ものすごくおもしろい記事が載っていました。それは、共産党議員の働きかけで、シャープに補助金の一部(6億4000万円)を返金させた、という記事です。
シャープの亀山工場というと、かつては「亀山ブランド」などと言われて、世界的な名声をかちとった工場ですが、実は、この工場の立地には、三重県が90億円、亀山市が45億円もの補助金を出していました。ところが、操業開始からわずか5年半で、シャープは同工場の生産設備を中国企業に完全売却してしまったのです。そのとき、日本共産党の三重県議がくり返し議会で追及して、三重県もようやくシャープに補助金の一部約6億4000万円の返却を要求したところ、シャープもそれに応じた、というのです。
同記事によると、シャープが生産設備の中国企業への売却を発表したのは、昨年8月。工場売却を三重県がシャープから聞いたのは発表の数日前で、亀山市にいたっては発表当日まで何の報告もなし。県・市あわせて135億円もの補助金をうけながら、たった5年半で工場を手放す。しかも、それを県にはぎりぎりになって報告したもの、市には何の断りもなく、突然売却するというのだから、補助金の“食い逃げ”も同然でしょう。
また、全国各地で、自治体があの手この手の助成金で企業誘致合戦を繰り広げていますが、成功したといわれるシャープの亀山工場でも、たった5年でお終いになった、というのも見逃せません。何十億円ものお金をかけてみても、5年で工場がなくなってしまうのでは、まったくドブにカネを捨てるようなもの。
企業誘致の補助金合戦は、実は、地域経済にプラスにならない、ということがはっきりした――このことだけでも、今回の出来事は十分おもしろい事件だと言えます。
「地元経済が潤う」というのも、当初はアパート建設やビジネスホテルなどが活況を呈したものの、今はまったく需要がなくなったそうです。税収でも、三重県は、液晶関連企業が県に収める法人税は、亀山工場ができたあと確かに増加したものの、すぐに下がり始め、2009年度には立地前を大きく下回ってしまった、とか。亀山市でも税収は増加したものの、固定資産税の9割を減免するかたちでシャープに補助金を出しているため、実質収入は減少。しかも、見かけ上は税収が増えたため、地方交付税の不交付団体になってしまった……、というオチまでついています。
雇用増も、県は当初1万2000人の雇用が生まれると言っていたものの、実際には、亀山工場の正社員は一番多いときで約3100人。関連企業をあわせても6900人(今年5月現在)で、そのうち2400人は派遣・請負の非正規雇用なのだそうです。
ということで、興味のある方は、ぜひ「しんぶん赤旗」日曜版12月19日号をお読みください。
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