日本の一番長い夜…?

東京電力福島第1原発1号機について、政府は、夜8時20分から容器を海水で満たすこと、ホウ酸を注入する作業を開始したと発表しました。作業の終了まで5時間+アルファだとの説明がありました。

炉心溶融で原子炉に海水を注入するという事態は初めてのこと。作業が無事に完了して、炉心の温度が低下するのかどうか、長い夜が始まっているのかも知れない。

福島第1原発:「爆発は建屋の壁、濃度上昇せず」:毎日新聞
東日本大震災:「海水で炉心冷却」を選択 福島第1原発:毎日新聞
福島第1襲った津波、10メートル超の可能性 東電が記者会見:日本経済新聞
海水注入で炉心冷却開始 東電、1号機廃炉も視野:日本経済新聞

福島第1原発:「爆発は建屋の壁、濃度上昇せず」

[毎日新聞 2011年3月12日 20時48分]

 甚大な被害を出した東日本大震災について、菅直人首相と枝野幸男官房長官は12日夜、記者会見を開いた。枝野長官は福島第1原発での爆発事故について「爆発は建屋の壁が爆発したものであり、中の格納容器ではない。放射性物質が大量に漏れ出すものではない。放射性物質の濃度は上昇していない。原因は炉心の水が足りなくなって、水蒸気が建屋との空間に出て、水素と酸素が合わさって爆発した。格納容器は破損していないと確認した」と述べた。

東日本大震災:「海水で炉心冷却」を選択 福島第1原発

[毎日新聞 2011年3月12日 20時15分(最終更新 3月12日 21時54分)]

 原子炉の損傷という最悪の事態を切り抜けるため、福島第1原発1号機の復旧チームがえらんだ対策は、弁を開けて内部の圧力を逃がすことと、海水で炉心を冷やすことだった。
 「燃料棒を冠水(先端まで水に浸す)させることが重要。海水でもいいので水位を回復させる取り組みを検討している」。経済産業省原子力安全・保安院の担当者は語った。
 通常、炉心の冷却に使う純水の代わりに海水を入れることは、金属製の原子炉をさびやすくするだけでなく、炉内に不純物が混入する可能性もあるため、事実上「廃炉」を意味する。報道陣からは「なぜもっと早く海水利用の決断をしなかったのか」との質問が飛んだ。
 原子力安全基盤機構の小林正英・技術情報統括室基準制度グループ長によると、同原発で炉心を冷やすには、蒸気を熱交換器で水に変え、炉心に戻す「アイソレーション・コンデンサー」という装置を使用。この方法は水位を変えずに熱を抑えられる利点があるが、今回はこれを超える速度で水位が低下した。
 苦肉の策として考案したのが「二刀流」の方式。格納容器の外で、普段は「炉心スプレー系」と呼ばれる緊急炉心冷却装置(ECCS)に消防車のポンプをつなぎ、注水する方法と併用する。熱を持った燃料棒にシャワーのように散水できるため、より高い冷却効果が期待できるという。
 一方、弁の開放は通常の2倍まで高まった格納容器内の圧力を下げるための策だ。
 圧力が上がりすぎると、最悪の場合、格納容器が破裂する恐れがある。東電は手順書に従って12日朝、弁を通じて蒸気を建屋外に放出する方針を決めたが、実行までには時間がかかった。
 同日午前、作業着手。二つの弁のうち一つは開けられたが、もう一つは格納容器に近かったため、放射能レベルが高くて作業員が近寄ると被ばくの恐れがあった。近寄らずに操作できる方法を探すなど難航の末、圧力が下がり始めたのは同日午後3時ごろだった。【八田浩輔、足立旬子】

東京電力は、枝野官房長官の記者会見と同じタイミングで記者会見をやったようです。まるで、テレビに生で報道されるのがいやなんでしょうかねぇ〜

波高10メートルの波をかぶって発電機が動かなかったということのようですが、たとえば予想される東海・東南海地震などの場合に、他の原発は大丈夫なんでしょうか。

福島第1襲った津波、10メートル超の可能性 東電が記者会見

[日本経済新聞 2011/3/12 20:56]

 東京電力の小森明生常務は12日の記者会見で、福島第1原子力発電所で11日の地震発生後に、「10メートルを超える津波に襲われた可能性がある」と述べた。建屋は水面から10メートルの場所にあるものの、それを上回って建屋内にも海水が入ってきたという。波高計も設置していたが、計測できる高さを上回っていた。

いずれにせよ、建物や原子炉格納器の耐震構造は万全だったとしても、冷却装置を動かす電源が動かないというのではさっぱりだ。耐震構造ばかり問題にして、地震が起こったときに発電機がどうなるか、あるいは発電機が動かなかったときどうするか、そういうことをあらかじめ考えてなかったんだろうか。

海水注入で炉心冷却開始 東電、1号機廃炉も視野

[日本経済新聞 2011/3/12 21:53]

福島第1原発、史上最悪の事故に

 東日本巨大地震で被災した東京電力福島第1原子力発電所1号機について、経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後、「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した。東電は同日、原子炉に海水を注入し、炉心を冷やす作業を始めた。海水注入でさびやすくなることから、廃炉も視野に安全対策を進めた。原子炉周辺からは燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が原発周辺から検出。ほぼ半世紀になる日本の原発史上で、最悪の原子力事故になった。
 これに先立つ午後3時半ごろ、1号機周辺から爆発音が聞こえ、10分後に白い煙が噴き出した。この爆発で東電の社員2人と協力会社の作業員2人がけがをし、病院に搬送された。福島県に入った情報では原子炉がある建屋などの天井が崩落した。
 枝野幸男官房長官は同日夜の記者会見で「建屋の壁が崩壊したものであり、中の格納容器が爆発したわけではない」としたうえ「放射性物質が大量に漏れ出すものではない」と主張した。
 福島県に入った情報によると、午後4時すぎ、敷地内の放射線量が1時間に1015マイクロシーベルトを示した。一般人が年間に受ける放射線量の限度(1000マイクロシーベルト)に相当する値まで上がっている。
 原発は万一の事故に備え、「5重の壁」と呼ばれる構造で放射性物質を閉じ込める。今回の爆発では一番外側にあたる原子炉建屋が壊れたことが映像で確認された。内側の防壁の状況は分かっていない。
 建屋崩壊時は原子炉格納容器の圧力が高まっており、壊れる可能性があったため内部の空気を出す作業を進めていた。爆発が起きた原因は調査中だが、原子炉格納容器の圧力が何らかの理由で高まり過ぎて爆発したとすれば、最悪の場合は内部の防壁も壊れ、放射性物質が外に出た可能性がある。
 1号機は東日本巨大地震の発生で自動停止はしたものの、緊急炉心冷却装置(ECCS)を動かすことができなくなり、炉を十分に冷やせなくなっていた。
 東電は同日午後、原子炉内の水位低下が進んでいると発表した。午前9時に燃料の上部50センチメートルが露出していたのが、10時30分には90センチメートル、午後1時には1.5メートルに拡大。午後3時半ごろに1.7メートルになった。燃料の長さは4メートルで全体のほぼ半分が露出していたことになる。

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