福島大学の放射線計測チームが、福島県内の放射線レベルを2平方キロメートルごとに細かく観測し、マップを作成・発表しました。
東日本大震災:福島第1原発事故 福島大教員計測、放射線マップ作製:毎日新聞
福島大学が発表したマップはこちら↓から手に入れることができます。
福島県北部エリア放射線レベルマップ:福島大学放射線計測チーム
それによれば、やはり原発から北西方向に放射線量の多い地域が存在しています。放射性物質を多く含んだプルームが排出され、風向きや雨などの関係で、この地域に比較的多く降ったということなのでしょう。
ところで、「詳しい説明ページ」によれば、「現在の放射線レベルは地表に近づくと増大することから、地表にある放射線源の影響が主体と考えられる」とのこと。
また、同チームは福島市内の放射線量率の推移も発表しています。
このグラフの大事なところは、3月13日から計測が始まっていることで、3月15日夕方から急激に放射線量が増えたことがしっかりとらえられています。文部科学省による計測は3月16日からだったので、実は、この急激なピークはとらえられていなかったのです。ただし、文部科学省の調査では17日にも1つのピークがあ利ますが、それは福島大の観測では出ていません(福島市までは到達しなかったということか)。
いずれにせよ、福島市内での観測では、「放射線量率の低下は8日前後で半分になってきている」とのこと。つまり、飛来した放射性物質はヨウ素131が中心で、「2011年3月15-16日に福島市に飛来したあと,新たに加わることはなく,崩壊によって減少している」とのことです(断定はしてませんが)。
東日本大震災:福島第1原発事故 福島大教員計測、放射線マップ作製/福島
[毎日新聞 2011年4月14日 地方版]
◇先月25〜31日、飯舘や川俣で高く
福島大学は13日、県内の放射性物質の広がりと放射線量を示した「放射線レベルマップ」を作製したと発表した。天気図の気圧配置図のように、放射線量が等しい地点を線で結び、高い地域が平面的に一目で分かるように工夫されている。
放射線量は文部科学省が12日現在で県内39カ所、県が74カ所で計測しているが、その近くでも地形や風向きで値は異なることが多く、きめ細かさに欠けていた。
福島第1原発の放射性物質漏出事故を受け、福大共生システム理工学類の教員約20人はマップ作製のプロジェクトチームを組織。3月25〜31日の間で4日間、原発の半径20〜80キロのうち2平方キロで1カ所を基本に計372カ所の放射線量を計測。1時間当たり5マイクロシーベルトごとに線で結んだ。原発から北西方向の飯舘村や川俣町などで高くなっている。
15日までの水素爆発などで1〜4号機から出た放射性物質が原因とみられる。拡散状態を気象データなどで推測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」が文科省にあるが、福大は実測を基にしているため、より正確だという。
マップは福大ホームページ内(http://www.sss.fukushima-u.ac.jp/FURAD/FURAD/top.html)で公開中。チーム代表の山口克彦教授(物性物理学)は「また原発が爆発しない限り分布は変わらない。行政などが対策を立てる際に参考にしてほしい」と話している。【金寿英】