自動車メーカーのスズキが、浜松市の本社をはじめとする生産・開発拠点を移転させることを明らかに。原発リスクを避けようという動きだ。
財界・大企業全体としては原発推進路線なのだが、個々の企業としては、自分のところが原発事故に巻き込まれる危険は避けたいもの。震災の影響で、数日、工場が止まるだけでも、トヨタなんかは世界中の工場が止まった。まして、自分の工場が避難区域に指定され、何年も使えなくなる可能性があるとすれば、企業としては放置できないだろう。
これはいってみれば、財界・大企業の「内部矛盾」にすぎないのだが、それでも原発リスクが経済の論理では管理できないことを示しているし、政府・電力会社が進めてきた「安全神話」にたいする大企業自身が突きつけた不信であるともいえる。
浜岡原発周辺の生産・開発拠点、移転を検討 スズキ
[asahi.com 2011年6月23日11時54分]
スズキの鈴木修会長は23日、浜松市の本社など静岡県西部に集中している国内生産・開発拠点について、移転など再配置を検討していることを明らかにした。地震災害や原子力発電所の事故のリスクを避けるためという。
鈴木氏は「地震、津波の心配に加えて、(中部電力の)浜岡原発にも近い。砂丘にある開発拠点もあり、液状化の心配もある。まさに『砂上の楼閣』だ。再配置を考えないといけない」と述べた。
具体的な移転先は今後検討する。「海外へ移すのは雇用の問題もある。国内では九州のような遠いところは難しい」とも述べており、静岡県内やその周辺で適地を探す方向とみられる。今後は原発周辺での新規投資は行わない方針という。
スズキの静岡県内の主な工場や拠点は、スズキ株式会社 会社概要によれば、以下のとおり。
本社・高塚工場 静岡県浜松市南区高塚町300
湖西工場 静岡県湖西市白須賀4520
磐田工場 静岡県磐田市岩井2500
大須賀工場 静岡県掛川市西大渕6333
相良工場 静岡県牧之原市白井1111
二輪技術センター 静岡県磐田市駒場4935
船外機技術センター 静岡県湖西市新居町中之郷3622-48
相良コース 静岡県牧之原市白井1111
本社は浜岡原発から40kmほど離れているが、相良工場や大須賀工場は20km圏内、磐田工場でちょうど30kmほどになる。浜岡原発で炉心溶融・水素爆発の事故が起これば、相良工場、大須賀工場はほぼ確実に使えない事態となるだろう。