22日、すみだトリフォニーで、3月に聞くはずだった定期演奏会の代替公演を聞いてきました。指揮はダニエル・ハーディング。会場で、3月に配られるはずだったプログラムをいただきました。
- マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
3月の定期演奏会、震災当日夜は、それでもハーディングは、徒歩などで会場にやってきた100人余りのお客さんを前に、演奏をおこなったそうです。しかし、私が聞く予定にしていた12日の演奏会は、残念ながら中止になってしまいました。
5月31日付「読売新聞」夕刊によれば、「地震や津波によって甚大な被害を受けたにもかかわらず、威厳を保つ人々の勇敢さを目のあたりにし、心に刻まれた」というハーディングは、震災後5日間、日本に残り「大震災後の激動を肌で感じ」、「帰国後も地質学の書籍に目を通すなど、日本への関心は薄れることがなかった」そうです。
今回、再来日したハーディングは、マーラー・チェンバー・オーケストラの公演を合わせると、13公演という超ハードスケジュール。それでも、20日にはチャリティーコンサート(すみだトリフォニー)を開き、21日(サントリーホール)、22日(すみだトリフォニー)と代替公演をこなし、それぞれ演奏が終わるとロビーでみずから箱をもって募金を呼びかけました。この日のトリフォニーでも、ハーディングの前には募金の長蛇の列ができていました(僕は、先週の定期演奏会の時に、代替公演のチケット代相当分の募金をしたので、この日は混雑を避けてそのまま帰ってきましたが)。
こちらは、来日前に新日本フィルがおこなったインタビュー。さっそく地質学的所見も披露されています。(^_^;)
ハーディング最新インタビュー : 新日本フィルハーモニー交響楽団 New Japan Philharmonic
それで、この日の演奏ですが、先週のブル8が、がっつりハーディングの気合いがオケの隅々まで行き渡って、本当に充実した演奏だったのに比べると、残念ながらちょっとまとまりにかける印象でした。オケはそれぞれにがんばっているし、触りまくりのハーディングにしては、いたってスタンダードなマラ5でしたが、見通しというか、音楽がどこへ流れていくのかが分かりにくいように感じました。オケの演奏にもややアラが目立ったのは、もしかすると練習不足だったか(先週の金・土とブル8をやり、今週3回マラ5をやって、土曜日にはエルガー・チェロ響とベートーヴェン交響曲第7番をやるのですから、オケがめちゃくちゃ大変なのは言うまでもありません)。それとも、指揮者、オケともに気持ちが入りすぎていたのかも知れません。
しかし、演奏が終わると、会場は割れんばかりの大歓声&拍手大喝采。指揮者とオケの一体感が感じられた演奏会でした。
プログラムに先立ち、エルガー:変奏曲「エニグマ」より第9変奏「ニムロッド」が大震災の犠牲者に捧げられました。
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【演奏会情報】 新日本フィルハーモニー交響楽団第474回定期演奏会代替公演
指揮:ダニエル・ハーディング/コンサートマスター:崔文洙/会場:すみだトリフォニーホール/開演:2011年6月23日 午後7時15分