少し前の記事ですが、共同通信が世論調査を実施。内閣支持率の低迷とか、民主党の支持率の低下とかについては、いちいち論及する必要ないだろう。
それにしても、内閣支持率が17.1%ときわめて低いにもかかわらず、「脱原発依存」の方針(ただし個人的見解!)にたいしては高い支持が寄せられている(「賛成」「どちらかといえば賛成」をあわせると70.3%)ことは注目される。
定期検査中の原発の再稼働についても、「定期検査だけで再稼働の判断をすればよい」は7.4%しかなく、「ストレステスト」をやった上で判断すればよいが58.5%を占めた。もちろん、そもそも「再稼働すべきでない」という意見が29.3%を占めていることはもっと注目されてよいだろう。
太陽光発電などの固定買取価格制度についても、賛成が78.2%(「どちらかといえば賛成」を含む)を占めている。
これだけ、高い賛成を集めていながら、内閣支持率は17.1%だし、菅首相は「今すぐ辞めるべき」26.6%、「8月末の通常国会閉会時」40.3%と、できるだけ早く辞めるべきだという議論が約3分の2を占めている。いったいどうして、こんな一見すると矛盾する結果が現われるのか。
“「脱原発」に賛成だが、菅首相ではそれはできそうにない”という意見もあるだろう。あるいは、自民・公明の「足引っ張り」論戦とそればかり報道するマスメディアの影響かもしれない。そのあたりをどう考え、どう働きかけるのか。そこが考えどころのような気がします。
「脱原発」7割賛成
[東京新聞 2011年7月25日 朝刊]
共同通信社が23、24両日に実施した全国電話世論調査によると、菅直人首相が表明した「脱原発」方針に対し、「賛成」は31.6%、「どちらかといえば賛成」が38.7%で計70.3%を占めた。内閣支持率は17.1%と6月末の前回調査23.2%から下落し、発足以来最低となった。不支持率は70.6%。社会保障と税の一体改革で2010年代半ばまでに消費税率を10%に上げると決めたことに関しては、反対派が52.2%、賛成派は45.0%だった。
菅首相の退陣時期については今すぐが26.6%、通常国会閉会の8月末が40.3%となり、66.9%が8月までの辞任を求めた。民主党の支持率は前回の21.9%から14.7%へ下がり、2009年9月の政権交代後で最も低かったことし四月末の17.4%を割り込んだ。
所得制限を導入する子ども手当見直し案には「賛成」が61.0%、「どちらかといえば賛成」は15.9%で、計76.9%を占めた。太陽光などの電力を固定価格で電力会社が買い取る制度の導入を柱とした再生エネルギー特別措置法案は賛成派が78.2%、反対派は14.2%にとどまった。
定期検査で停止中の原発に、ストレステスト(耐性評価)を参考にした「安全評価」も実施し、再稼働を判断する方針に対しては、58.5%が肯定。「再稼働すべきでない」が29.3%、定期検査だけで再稼働を判断すればよいとの回答は7.4%だった。
菅首相が退陣した後の政権の在り方に関しては、政策ごとに野党と連携が51.7%、民主、自民両党の大連立が30.7%で、現在の政権枠組みは7.0%。
調査結果は以下の通り。
世論調査の詳報
[東京新聞 2011年7月25日 朝刊]
▽調査結果(数字は%、カッコ内は前回6月28、29両日調査)
問1 あなたは菅内閣を支持しますか、支持しませんか。
支持する 17.1(23.2)
支持しない 70.6(61.2)
分からない・無回答 12.3(15.6)問2 (問1で「支持する」と答えた人に聞く)支持する最も大きな理由を一つだけお答えください。
首相を信頼する 11.0(8.5)
民主党、国民新党の連立内閣だから 11.7(5.9)
首相に指導力がある 0.7(0,3)
経済政策に期待できる 1.4(0.7)
外交に期待できる 1.1(一)
政治改革に期待できる 4.3(3.6)
税制改革に期待できる 2.8(3.7)
行政改革に期待できる 2.6(2.8)
ほかに適当な人がいない 55.3(66.9)
その他 7.1(5.6)
分からない・無回答 2.0(2.0)問3 (問1で「支持しない」と答えた人に聞く)支持しない最も大きな理由を一つだけお答えください。
首相が信頼できない 18.1(18.8)
民主党、国民新党の連立内閣だから 3.7(4.6)
首相に指導力がない 35.7(38.1)
経済政策に期待が持てない 15.0(15σ0)
外交に期待が持てない 1.6(1.8)
政治改革に期待が持てない 8.0(5.2)
税制改革に期待が持てない 2.5(1.6)
行政改革に期待が持てない 3.7(1.7)
首相の人柄が好きになれない 3.8(4.5)
その他 7.4(8.1)
分からない・無回答 0.5(0.6)問4 あなたは、どの政党を支持しますか。
民主党 14.7(21.9)
自民党 25.9(22.8)
公明党 3.8(3.6)
共産党 3.0(2.7)
社民党 1.9(1.2)
みんなの党 6.6(5.3)
国民新党 0.4(0.4)
たちあがれ日本 1.4(1.0)
新党日本 0.1(0.1)
新党改革 0.2(0.6)
その他の政党・政治団体 0.1(0.5)
支持政党なし 40.9(39.1)
分からない・無回答 1.0(0.8)問5 菅直人首相は、定期検査で停止中の九州電力玄海原発2、3号機など停止中の原発についてこれまでの定期検査のほか、欧州連合(EU)の「ストレステスト(耐性評価)」を参考にした安全評価を実施した上で、再稼働を判断する方針です。あなたは、これについてどう思いますか。
定期検査だけで再稼働の判断をすればよい 7.4
定期検査に加え、安全評価を実施した上で再稼働の判断をすればよい 58.5
再稼働すべきでない 29.3
その他 0.6
分からない・無回答 4.2問6 菅首相は東京電力福島第一原発事故を受けた今後のエネルギー政策について「段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」と脱原発の方針を示しました。あなたは、この脱原発の考えに賛成ですか、それとも反対ですか。
賛成 31.6
どちらかといえば賛成 38.7
どちらかといえば反対 15.6
反対 9.1
分からない・無回答 5.0問7 あなたは太陽光発電などによる電力を固定価格で買い取りする制度の導入を柱とした再生エネルギー特別措置法案について賛成ですか、それとも反対ですか。
賛成 37.0
どちらかといえば賛成 41.2
どちらかといえば反対 10.1
反対 4.1
分からない・無回答 7.6問8 与野党の子ども手当の見直し協議で所得制限を導入する案が出ています。あなたは、子ども手当の支給に当たって所得制限を導入することについて賛成ですか、それとも反対ですか。
賛成 61.0
どちらかといえば賛成 15.9
どちらかといえば反対 7.0
反対 13.7
分からない・無回答 2.4問9 政府与党は社会保障と税の一体改革で「2010年代なかばまでに段階的に消費税を10%にまで引き上げる」ことを決めました。あなたは、これにについて賛成ですか、それとも反対ですか。
賛成 17.1
どちらかといえば賛成 27.9
どちらかといえば反対 25.1
反対 27.1
分からない・無回答 2.8
問10 菅首相は東日本大震災の対応や再生可能工ネルギーの取り組みなどに一定のめどがついたら退陣する意向を表明していますが、まだ退陣していません。このことについてあなたは、どう思いますか。
今すぐに辞めるべきだ26.6(30.5)
8月末の通常国会が閉会したときに辞めるべきだ 40.3(37.1)
年内で辞めるべきだ 14.0(10.3)
辞めなくてよい 13.5(15.6)
その他 0.9(1.9)
分からない・無回答 4.7(4.6)問11 菅首相の次の首相には、新しく選ばれる民主党代表が就任する見通しです。あなたは次の民主党代表に誰がふさわしいと思いますか。(敬称略、五十音順)
枝野幸男 15.6(19.2)
岡田克也 15.8(11.9)
小沢鋭仁 2.3(2.3)
鹿野道彦 0.7(1.4)
玄葉光一郎 1.3(1.0)
仙谷由人 1.6(2.5)
樽床伸二 0.6(0.6)
野田佳彦 2.9(5.3)
原ロー博 3.9(6.7)
前原誠司 21.2(20.8)
馬淵澄夫 1.6(0.7)
その他の人 3.2(1.7)
分からない・無回答 29.3(25.9)問12 あなたは次の首相の下での政権の在り方について、どれがふさわしいと思いますか。
今のままの民主党政権 7.0
民主党と自民党の大連立政権 30.7
野党が政策ごとに連携、協力する 51.7
その他 1.6
分からない・無回答 9.0問13 あなたは衆院解散・総選挙はいつがよいと思いますか。
この夏、すぐに 16.4(18.0)
今年の秋以降、年末までに 33.5(30.5)
来年以降 22.2(18.1)
2013年の任期満了 21.3(24.7)
分からない・無回答 6.6(8.7)▽調査の方法=全国の有権者を対象に23、24両日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1448件、うち1014入から回答を得た。東日本大震災の被災地のうち、岩手、宮城、福島の3県で被害の大きかった一部地域は調査対象から除いた。
あと、「税と社会保障の一体改革」の消費税増税については、賛成(「どちらかといえば賛成」を含む)45.0%にたいし、反対(同じく「どちらかといえば反対」を含む)が52.5%と、反対が上回っていることも大事な点だろう。