福島原発事故、セシウム放出量はさらに多かった?

ノルウェーの研究者らによると、東京電力福島第一原発の事故で、環境中に放出されたセシウムの量が、政府(原子力保安院)の推定の2倍ないし3倍になるらしい。海に流出したセシウムの量は東電が公表した量の20倍とのフランスの研究所の試算も発表されたそうだが、前者も、海に流出した分が保安院の想定よりも大きいという。

また、津波前から核分裂反応の生成物質であるキセノンが観測されたとの指摘もある(つまり、津波がくる前に、すでに原子炉の封じ込め機能が喪失されていたということ)。事故の時、何が起こっていたのか、まだまだ検証が必要なようだ。

セシウム放出、安全委推計の3倍 欧州チーム指摘:日本経済新聞
放射性物質放出量、政府推計の2倍か―福島原発:読売新聞
セシウム海洋流出、東電公表の20倍…仏研究所:読売新聞

セシウム放出、安全委推計の3倍 欧州チーム指摘 福島第1原発事故

[日本経済新聞 2011/10/28 11:18]

 【ワシントン=共同】東京電力福島第1原発事故に伴う放射性セシウムの放出量は、日本の原子力安全委員会による推計の3倍近くに達し、チェルノブイリ原発事故の4割を超すとの論文をノルウェーの研究者らが27日までにまとめた。大気物理学の専門誌に投稿され、結果が妥当かどうか専門家らが検証している。
 研究チームは、日本国内のデータや、核実験を監視するために世界中に設置された観測網を利用し、事故発生から4月20日までに大気中に放出されたセシウム137は約3万6千テラ(テラは1兆)ベクレルと推計。原子力安全委員会は8月、全ての放射性物質57万テラベクレルのうち約1万1千テラベクレルをセシウム137が占めると推計しており、これを大幅に上回った。チェルノブイリの放出量は8万5千テラベクレル。
 放出量の19%が国内に、残りの大部分は海に落ちたとみている。
 また、日本政府の見方とは異なり、4号機の使用済み燃料プールから大量の放射性物質が漏れたとの見解を示した。その理由として、4号機に放水を始めた直後から、放射性物質の量が大幅に減ったことを挙げた。
 同原発を津波が襲う前から、放射性キセノンが漏れていた証拠があると強調。地震の揺れで原発の放射性物質を閉じ込める機能が壊れた可能性を指摘した。

放射性物質放出量、政府推計の2倍か

[2011年10月27日03時11分 読売新聞]

 東京電力福島第一原発事故の初期に放出された放射性物質セシウム137は約3万5000テラ・ベクレルに上り、日本政府の推計の2倍を超える可能性があるとの試算を、北欧の研究者らがまとめた。
 英科学誌「ネイチャー」が25日の電子版で伝えた。世界の核実験監視網で観測した放射性物質のデータなどから放出量を逆算。太平洋上空に流れた量を多く見積もっている。

セシウム海洋流出、東電公表の20倍…仏研究所

[2011年10月29日01時04分 読売新聞]

 フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は28日までに、東京電力福島第1原子力発電所事故で海洋に流出した放射性物質セシウム137の総量が2万7000テラ・ベクレル(テラは1兆倍)に上ると推計する試算を発表した。
 東電が公表している数値の20倍にあたるとしている。同研究所は、過去に経験したことのない規模の放射性物質の海洋流出になると指摘した。
 同研究所は東電と文部科学省の観測データをもとに計算。海洋汚染は3月21日以後顕著になり、総流出量の82%が4月8日までに流れ出したとしている。

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