世界の失業者2億人に

世界の失業者数(「日本経済新聞」2012年1月24日付夕刊)

世界の失業者数(「日本経済新聞」2012年1月24日付夕刊)

ILOが、世界の失業者が2012年末には2億人を超えるとの予測を公表。世界の失業者は、リーマンショック(2008年)をうけて2009年に急増。2010〜11年とちょっと減ったものの、ふたたび増加に向かうという。同時に、深刻なのが若者の失業。全体の失業率6.0%にたいして、若年層の失業率は12.7%。

ILOは、6億人の雇用創出を呼びかけている。

世界の失業者、12年末に初の2億人超え ILO予測:日本経済新聞
世界の失業者 初の2億人突破へ:NHKニュース
今後10年間に世界で6億人の雇用創出が必要=ILO:Reuters

世界の失業者、12年末に初の2億人超え ILO予測

[NIKKEI NET 2012/1/24 8:00]

若年層深刻

 国際労働機関(ILO)は24日発表した2012年版の世界雇用情勢報告で、同年末の世界の失業者数が初めて2億人を突破するとの予測を示した。11年末の実績見込みは1億9720万人で、300万人増えて2億20万人となる。欧州債務危機の影響などで世界経済が失速し、雇用が伸び悩むため。ILOは少なくとも16年までは失業者の増加傾向が続くと見ている。
 世界の失業者数は08年の金融・経済危機の影響で09年に急増。10〜11年は小幅に減少したものの、12年から再び増加に転じる見通しだ。ILOはユーロ圏諸国、米国、日本などの政府債務問題を「最も注意すべきリスク」と指摘。「各国・地域の政策は危機を打開するには不十分」との見方を示した。
 特に深刻なのが若年層で、11年末時点の失業者全体の約4割を占める。失業率は12.7%で、全体平均(6.0%)の2倍強の高水準。ILOは今後10年間で計4億人の若年労働者が新たに労働市場に加わると見ており、「失業者の大幅な増加を回避するには雇用創出が不可欠」という。
 25日に開幕する世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも、若年層の失業問題を重点的に討議する予定。ILOのソマビア事務局長が出席し、各国に雇用対策の強化を呼び掛ける方針だ。
 11年末の失業率を地域別にみると、最も高いのが北アフリカの10.9%で、中東の10.2%がこれに次ぐ。一方、最低が南アジアの3.8%で、東アジアの4.1%が2番目に低い。(ダボス〈スイス東部〉=藤田剛)

世界の失業者 初の2億人突破へ

[NHKニュース 1月24日 15時5分]

 ILO=国際労働機関は、世界全体の失業者の数は、ことし、ヨーロッパの信用不安が大きく影響して、初めて2億人を突破する見通しだと発表しました。
 ILOが、24日、発表した、2011年の世界の雇用情勢に関する報告書によりますと、去年の世界の失業率は6.0%、失業者の数にしておよそ1億9720万人でした。これを前の年と比べると、失業率は0.1ポイント改善し、失業者数も10万人減りましたが、リーマンショックが起きる前の2007年と比べますと、この4年間で失業者はおよそ2700万人増えました。
 とりわけ、15歳から24歳までの若者は、去年の失業率が12.7%と高く、また、非正規労働の若者も増加しています。さらに、ことしに関して、ILOは、ヨーロッパの信用不安が、ヨーロッパにとどまらず世界全体の雇用情勢に悪影響を及ぼすとして、失業者が去年より増え、初めて2億人を突破して2億200万人に上ると見込んでいます。ILOの担当者は、「ヨーロッパの信用不安が早く解決されれば、その分、失業者の数を減らすことができる。世界が協調して危機に立ち向かうことが必要だ」と述べています。

今後10年間に世界で6億人の雇用創出が必要=ILO

[ロイター 2012年 01月 24日 10:45 JST]

 [ジュネーブ 23日 ロイター] 国際労働機関(ILO)は、23日発表した年次リポートの中で、世界の雇用状況に関して警鐘を鳴らし、さらなる財政政策の協調、金融部門の修復と監督、実体経済に対する支援の必要があると指摘した。
 リポート執筆者の1人であるエッカード・アーンスト氏は「昨年見られた変化は、われわれの予想がはるかに悲観的となったことだ。われわれは、緩やかなスタグネーションか失業者数の減少を予想していたが、今年はもはや期待できない。世界経済が著しく悪化する可能性があるなか、失業者数は急増している」と述べた。
 ILOによると、現在の失業者数は約2億人で、今後10年間に毎年4000万人の雇用創出が必要になる。
 リポートは「社会の結束を維持しながら持続可能な成長を実現するには、今後10年間に世界で6億人の雇用を創出する必要がある。それでもなお、特に発展途上国を中心に、1日の収入が2ドル以下の貧困層が9億人存在することになる」と述べた。
 また、ユーロ圏債務危機の迅速な解決など好ましいシナリオの下でも、世界の失業率は少なくとも2016年までは6%にとどまるとの予想を示した。

ちなみに、ILOが発表したGlobal Employment Trends 2012は、こちら↓から読むことが出来ます(英文)。
Global Employment Trends

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