先週の金曜日も首相官邸前が気になりつつ、サントリーホールへ。日フィルの定期演奏会。
- 戸田邦雄:合奏協奏曲《シ・ファ・ド》
- 山本直純:和楽器と管弦楽のためのカプリチオ
- 黛敏郎:弦楽のためのエッセイ
- 松村禎三:交響曲第1番
曲はいずれも「日本フィル・シリーズ」として委嘱されてきた作品ばかり。中でも、山本直純「和楽器と管弦楽のためのカプリチオ」は、オーケストラに琴、三味線、箏、尺八、大鼓、小鼓、櫓太鼓、日本太鼓、さらにラテン・ドラムスやギターまで加わった「なんでもあり」の曲で、お客さんも拍手大喝采でした。
これだけいろんなものを持ち込んでも、決して通俗にならないところがすごい。琴や三味線が洋の音をさせるかと思えば、オケが和の音を響かせ、単なるコラボレーションを超えて、完全なるフュージョン。ジャズ風のドラム・ソロや和太鼓のカデンツァまであって、すばらしい演奏でした。
これだけの和楽器の奏者をそろえるのが大変ということもあって、滅多に演奏する機会もないのでしょうが、ぜひとも歴史に埋もれてしまわないように、5年に1度とは言いませんから、10年に1度は再演してほしいと思いました。
戸田邦雄氏の曲は、シ・ファ・ドの3音動機とそのヴァリエーションをくり返した作品。オケの前に、普段はあまり目立たないピッコロ、コール・アングレ、バス・クラリネット、トランペット、ヴィブラフォンを並べて独奏させるというのが趣向です。現代音楽なんでしょうが、これぐらいなら、僕でもついてゆけるという感じでした。
後半、黛氏の作品は弦楽だけで、不思議な音の重なり合いが広がってゆく曲。村松氏の交響曲は、それこそ一番現代音楽らしい、僕には難解な作品でした。ただ、プログラム・ノートに、黛氏の作品が「よくタテの揃った」作品であるのにたいして、松村氏の作品は「タテのややずれて判然とせず、たくさんの線が互いに狭い音程の中でもつれ合うような、かなりぐちゃぐちゃした響き」と書かれていたのが、非常によくわかりました。^^; ←ま、私の現代音楽の認識はこの程度。
なんにせよ、日フィル委嘱作を読響正指揮者の下野竜也氏が客演して振るというのもなかなか妙な取り合わせでしたが、徹底的に譜面を読み込む下野氏らしく、難しい4作品を見事に演奏しておられました。
【演奏会情報】日本フィルハーモニー交響楽団第642回定期演奏会
指揮:下野竜也/コンサートマスター:扇谷泰朋/ソロ・チェロ:菊地知也/会場:サントリーホール/開演:2012年7月13日 午後7時