もとはといえば、ヒズボラに捕まった2人のイスラエル兵の奪還から始まった作戦ですが、すでにそれをはるかに上回る犠牲を出してしまっています。
これにたいし、イスラエル政府は、国連の求める72時間の停戦を拒否。さらに10日?2週間程度の作戦継続を主張しています。
レバノン空爆、子ども37人含む54人死亡(読売新聞)
イスラエル軍レバノン南部空爆 米・ライス国務長官、イスラエルのオルメルト首相と会談(FNN Headline)
レバノン空爆、子ども37人含む54人死亡
[2006年7月30日23時19分 読売新聞]【ベイルート=柳沢亨之】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を続けているイスラエル軍は30日未明、レバノン南部ティール近郊カナを空爆し、子ども37人を含む計54人が死亡した。12日の戦闘開始以来、一回の攻撃の死者としては最多で、犠牲者の大半は周辺の村から避難してきた民間人だった。ヒズボラの報復攻撃が激化するのは必至だ。
攻撃を受けたのは、避難民約60人が暮らしていた建物で、空爆当時、ほぼ全員が就寝中だった。現地からの情報によると、がれきと化した建物の下には依然、遺体が残されている模様だ。
イスラエルのオルメルト首相は30日、攻撃が「ロケット弾を発射する者たちの聖域」に対するものだったと強調、民間人を事実上の「人間の盾」として利用するヒズボラの戦術に原因があるとの考えを示した。
ヒズボラは、「この恐ろしい虐殺に報復なしではすまされない」との声明を発表、報復を予告した。レバノンのシニオラ首相は30日、「罪なき村人を標的にした戦争犯罪だ。断じて許さない」と強く非難した。
イスラエル軍は29日夜には、レバノン東部のシリア国境検問所付近を空爆したほか、レバノン南部の村アダイセを攻撃、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)要員のインド兵2人が負傷した。
イスラエル軍レバノン南部空爆 米・ライス国務長官、イスラエルのオルメルト首相と会談
[FNN Headline News 2006/07/31 06:33]レバノン南部カナの空爆で民間人が多数死傷したことについて、アメリカのライス国務長官は30日、イスラエルのオルメルト首相と再び会談した。
しかし、オルメルト首相はヒズボラへの軍事作戦にはさらに10日?2週間ほど必要だと主張したほか、ライス国務長官も即時停戦を求めるには至っておらず、事態の解決には結びついていない。
一方、ニューヨークでは国連安保理の緊急会合が開かれ、アナン事務総長が一刻も早い停戦を求める声明を発表したが、イスラエル側は「空爆はヒズボラの拠点を狙って行ったもので、事前に民間人には事前に避難を呼びかけていた」として正当性を主張した。
【追記】
イスラエル政府が48時間の空爆停止を決めたもようです。しかし、あくまでなぜ「誤爆」したかの「真相解明のため」であり、住民の安全保障は24時間のみ。24時間以内に立ち去らなかった住民は、空爆再開後、犠牲になっても文句を言うな、という態度です。
イスラエル 48時間空爆停止
[NHKニュース 7月31日 7時41分]アメリカ政府は、31日、レバノンでイスラエル軍の攻撃によって50人を超える市民が犠牲になったことを受けて、イスラエルが住民の避難などのため今後48時間にわたってレバノン南部で空爆を停止することに同意したと発表しました。
これは、ライス国務長官に同行している国務省のスポークスマンが31日発表したものです。それによりますと、イスラエル政府は、今後48時間、真相解明のための調査にあたるため、レバノン南部での空からの攻撃を停止することを決め、攻撃停止を直ちに実施に移したということです。さらに、国連との連携のもと、レバノン南部から住民を避難させるため、今後24時間の間、住民の安全を保証するとしています。
ただ、イスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルに対しロケット弾などの攻撃を仕掛ける動きを見せた場合には、イスラエル軍として反撃する権利はあるとしています。イスラエルのオルメルト首相は、29日、ヒズボラに対する作戦をさらに10日から2週間程度続ける必要があるという考えを示しているほか、さきに国連が求めた人道支援のための72時間の一時停戦についても、これを拒否しており、今回の空爆の停止が停戦の実現に結びつくとは限りません。しかし、多数の市民が犠牲になった事態に国際社会の非難が高まるなか、イスラエルとしてはアメリカからの働きかけを受けて一定の配慮を示す必要に迫られた形です。
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