9・11同時多発テロをめぐるアメリカの国家調査委員会の報告書が16日発表されましたが、同報告書は、アルカイダとフセイン政権との間にアメリカへのテロ攻撃にかんして「協力したことを示す証拠は一切ない」と結論づけています。
同報告書はイラクの旧フセイン政権とビンラディン氏との関係について「強力的な関係には至らなかった」とし、ビンラディン氏の側近2人も、両者の結びつきを完全に否定したという。同委員会は「イラクとアルカイダが米本土攻撃で協力したことを示す信頼できる証拠は一切ない」と結論づけ、イラク戦争をめぐるブッシュ政権の説明の正当性に疑問を呈した。(朝日新聞6月17日付夕刊)
ブッシュ政権がイラク攻撃をおこなったときの理由は、(1)フセイン政権は「大量破壊兵器を持っている」、(2)アルカイダのテロに関与した、というものでしたが、すでに(1)の可能性はほぼ否定され、こんど(2)も否定され、イラク攻撃が“大義なき戦争”だったことがますます明白になったと言うことです。
日本では、この点があまり大きく報道されず、アルカイダが日本などの攻撃も検討していたということだけがデカデカと取り上げられています。しかし、報道を見る限り、具体的に日本にたいしてテロ攻撃の準備をしたということではなく、“航空機をつかった世界同時多発テロをやってみたらどうだろう?”という案が出て、航空機の運航便の下調べをやったという程度のことのようです。それなら、日本中の家は、どのうちも泥棒の対象として検討されたことになるわけで、そういう“危険”をマスコミは針小棒大に書きつのって、どうするつもりなんでしょう? アルカイダとフセイン政権とのつながりはなかったという結論の方が、現在の国際政治に置いてはるかに重要な意味をもっていると思うのですが…。