仕事帰りに、「ぼくセザール、10歳半、1m39cm」という映画を見てきました。
10歳の3人の子どもたちを主人公にした映画ですが、こういう面白い作品に仕上げられるのは、やっぱりフランス映画の魅力でしょう。主人公セザールと親友のモルガン、そして転校してきた美少女のサラ。ある週末、3人は親たちに隠れて冒険の旅に出る…。まだ公開中の作品だから、紹介できるのは、こんなところでしょう。(^^;)
実にいろんな子どもが登場します。主人公のセザールはチビで、ちょっと太っちょ。ユダヤ教の家族で、セザールの父親はなにやら怪しげな商売をしているらしく(セザールも詳しくは知らない)、「共同経営者」がなくなると突然出張に出ていく…。モルガンの母親は黒人のシングルマザー(やっぱりアルジェリアあたりの出身なのかな?)、モルガンも黒人で頭はトラッド。父親はイギリス人らしいのだが、モルガンが生まれる前に帰国してしまい、モルガンは一度も会ったことがない。そして、サラの両親は離婚して、父親は新しい恋人がいる…。と、実に多彩な環境の子どもたちが登場します。同じように、セザールの通う学校の先生も、トラッドヘアーの先生(体育の先生なのかな?)やら、やたらお色気ムンムンの文学の先生など、いろいろ。極めつけは、3人が旅行先で出会うグロリアという凄いオバサンかな? 何にせよ、1人として「普通」のフランス人が登場しないところが楽しいのです。父親はどこかエリート企業のサラリーマン、夫婦と子どもが郊外の住宅か、都心のマンションに住んで…という、どこかの国の平凡なテレビドラマの家族とは訳が違う、という感じです。
もう1つ、これは昔、宮崎駿氏が言っていたことですが、「子どもには冒険とたたかいが必要だ」という子ども映画の王道をいっていること。その冒険がいささか現代的なところが驚きですが、それでも親友のためセザールやサラが一生懸命にやろうとするのは、昔の子ども冒険映画とまったく同じ。それがとても楽しいのです。
それにしても、10歳にして2人の男をまんまと手玉にとるサラ役のジョセフィーヌ・ベリ(撮影の時は11歳、ファミリーネームで分かるように、監督の娘さん)の妖しい魅力。もちろん演出なんだろうけど、それがふと自然に見えてしまうあたり、フランスの女性は子どもでも恐ろしい…。さらに、彼女の公式ホームページがあったりもする。(^^;)
【映画情報】監督 リシャール・ベリ/脚本 リシャール・ベリ、エリック・アスス/出演 ジュール・シトリュク(セザール)、ジョゼフィーヌ・ベリ(サラ)、マボ・クヤテ(モルガン)、マリア・ド・メデイルシュ(セザールの母親)、アンナ・カリーナ(グロリア)/2003年仏
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