日歯連1億円献金問題で、東京地検が橋本派会計責任者を逮捕。
日歯連の献金が明らかになって、橋本派は政治資金収支報告書を訂正していましたが、前にも書いたように、記載漏れがあっても遡って訂正さえすれば問題なしというのは、国民感覚からいって許されないことです。しかも、1億円というのは、橋本派の年間寄付収入と同じぐらいの額です。それを「うっかり記載し忘れました」なんていうことはありえません。逮捕された会計責任者も、「この金は表にだしてはいけないものだと思った」と意図的な不記載であることを認めており、逮捕は当然です。
旧橋本派の会計責任者を逮捕 日歯連1億円小切手問題(朝日新聞)
旧橋本派の会計責任者を逮捕 日歯連1億円小切手問題
日本歯科医師連盟(日歯連)が01年に寄付した1億円を自民党旧橋本派の政治団体「平成研究会」(平成研)が政治資金収支報告書に記載していなかった事件で、東京地検特捜部は29日、平成研事務局長で会計責任者の滝川俊行容疑者(55)を政治資金規正法違反(不記載)の疑いで逮捕し、東京・永田町の派閥事務所や千葉県四街道市の事務局長宅を捜索した。政党の派閥事務所に家宅捜索が入るのは初めて。
日歯連をめぐる一連の事件は自民党最大派閥の政治資金不正処理事件へと発展した。今回の事件は会計責任者だけの起訴で終わるとの見方が強いが、特捜部はさらに、日歯連から「国民政治協会」経由の迂回(うかい)献金についても解明を進めるとみられる。
調べによると、滝川事務局長は01年7月上旬、日歯連から1億円の小切手を受け取りながら、寄付者の名称や金額、年月日を収支報告書の寄付の内訳欄に記載せず、02年3月下旬、東京都選挙管理委員会経由で総務相に提出した疑い。
1億円を提供したのは日歯連前会長の臼田貞夫被告(73)=業務上横領罪などで起訴。01年7月の参院選直前に都内の料亭で、橋本龍太郎元首相(67)と野中広務・自民党元幹事長(78)、青木幹雄・同党参院議員会長(70)と会食した際、元首相に封筒入りの1億円の小切手を直接渡し、元首相が滝川事務局長に処理を任せたといい、事務局長は銀行で小切手を現金化し、平成研の金庫で保管していた。現金の一部はその年の暮れにかけて派閥議員に「モチ代」として配られたとみられる。
平成研は、小切手の提供が明るみに出た今年7月14日に01年分の収入欄に、01年7月3日に1億円の寄付があったと収支報告書を訂正。これまでの調べに対し、事務局長は「記載を忘れていたが、気づいたので修正した。記載しなかったのは自分の責任で、元首相は無関係だ」と供述しているという。しかし、特捜部は事務局長が記載を故意に怠ったとみている。
今後、特捜部は橋本元首相から参考人として事情を聴く方針だが、元首相の指示・関与などについて、滝川事務局長の供述に変化がない限り、元首相の刑事責任を問うことは困難との見方が強い。元首相はこれまで小切手の受領について「記憶にない。私が受け取ったものではない」などと話している。
92年に発覚した故金丸信元自民党副総裁への5億円ヤミ献金事件の際は、元副総裁を聴取せずに略式起訴処分としたことから、検察に対する国民の批判が一気に高まった。今回は、寄付額が1億円と巨額なうえ、「その二の舞いは避けたい」との意見が検察内部で大勢を占め、滝川事務局長の逮捕と元首相の聴取が必要不可欠と判断した。
滝川事務局長は、故小渕恵三元首相の秘書や衆院秘書会長を務めたが、00年5月に小渕元首相が死去したため、平成研事務局長に就いた。 (asahi.com 08/29 20:45)