葛飾ビラ配布事件、検察が起訴

葛飾区のマンションで、共産党の都議会報告を配布していた男性を、住人が「住居不法侵入」で逮捕(私人による現行犯逮捕――ただし、本人には、警察署に連れていかれて、はじめて「すでに」逮捕されている事実が告げられた)された事件ですが、東京地検が、昨日、起訴しました。

マンションなど集合住宅内へのビラ配布については、前に、立川自衛隊官舎ビラ配布事件の一審無罪判決に関連してコメントしたことがありますが、今回の事件についても、それ以上に言うべきことがありません。

集合住宅の共用部分は、一般に外部の人が立ち入ることを想定した空間であり、オートロックなどで仕切られた空間内部に立ち入るのでない限り、その部分に立ち入って各部屋の玄関ドアにビラを配ったとしても、それが直ちに「不法侵入」になるというのは、相当に無理があります。今回の事件では、住人の1人が「何をしている」と誰何したということのようですが、仮に、その住人が「ビラを配るな」と言って退去を求めたとしても、それが効力を持つのは、その住人の管理にかかわる範囲のみ(つまり、その人の部屋の玄関前から退去するという程度)。それ以外の部分については、その住人に「不法侵入」として「私人の現行逮捕権」を行使する資格があるのかも疑問です。

また、立川の事件の時にも問題になったように、商業チラシや他の党の議員の議会報告などの配布が、実際には何も問題にされていないときに、共産党の議会報告の配布だけを問題にするというのは、決して「住人の不安」や「プライバシーを侵害されたくないという心理に配慮した」ものでないことを示しています。

今回の事件は、立川自衛隊官舎ビラ配布事件無罪判決にたいする意趣返しという可能性が、多分に感じられます。

<住居侵入>マンションでビラ配布、僧侶の男起訴 東京地検(毎日新聞)

<住居侵入>マンションでビラ配布、僧侶の男起訴 東京地検

 東京都葛飾区内のマンションにビラを配布するため侵入したとして、東京地検は11日、僧侶の男(57)を住居侵入罪で起訴した。
 起訴状などによると、男は先月23日午後2時20分ごろ、同区内の7階建ての分譲マンションに入り、共産党の「都議会報告」などのビラを各戸に配布した。同党葛飾地区委員会によると、男は党員ではないが、同党の協力者という。
 同地検によると、マンションはオートロックではないが、1階の管理人室の奥にエレベーターがあり、男は外階段を使っていたという。同地検は「マンション住民はセキュリティーを買っているという感覚がある。私的な領域を知られたくないという国民が増えており、そういう感情を重視した」と、起訴した理由を説明した。
 男の弁護団は会見し「各戸への配布行為は新聞配達などで日常的に行われている。住居侵入罪は成立しないし、あえて起訴したのはビラの配布行為を抹殺しようとするもので許されない」と批判した。
 ビラ配りを巡っては、自衛隊イラク派遣反対のビラを配るため立川市の防衛庁官舎に入り住居侵入罪に問われた3人に東京地裁八王子支部が先月16日、無罪判決を出し、東京地検八王子支部が控訴している。【井崎憲】
[(毎日新聞) – 1月11日23時19分更新

葛飾ビラ配布事件、検察が起訴」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 虎視牛歩

  2. 御住職負けちゃったね。でもいらっしゃった”お客様”を上客とするか。はたまた招かれざる客とするかは接待側の裁量だと思いますし、恐らく御住職を訴えたマンションの住人は、エロチラシまでならいいけど、政治チラシはダメという人だったのでは?
    御住職、憲法による判断まで言ってるけど、件の(くだんのって読みます。九段ではないです)住人の、その時の虫の居所だって良心の自由として憲法で保証されてますし、まぁ、それだから、御住職擁護の人たちの矛先が、件の(くだんのって読みます。九段ではないです)住人ではなく、司法に向けられてるのは理解できてるんですがねぇ。。。
    今後は、政治チラシOKで、エロチラシNGという石部金吉氏宅をリストアップしてポスティングしましょう。

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