今日の「朝日新聞」の「戦後60年 後藤田正晴さんに聞く」は一読の価値あり。
戦前は陸軍主計将校、戦後は警察庁長官、中曽根内閣の官房長官などを務めた後藤田氏が、靖国神社とA級戦犯問題について、朝日のインタビューに答えています。
サンフランシスコ平和条約第11条で東京裁判を受諾したことについて、「判決は受け入れたが、裁判を認めたわけではない」という議論にたいして、こう言われています。
負け惜しみの理屈はやめた方がいい。サンフランシスコ講和条約は、戦後日本が国際社会に復帰し、新しい日本を築く出発点だ。それを否定していったい、どこへ行くんですか。
東京裁判にはいろいろ批判もあるし、不満もあった。ただ、裁判の結果を受け入れた以上、それにいまさら異議を唱えるようなことをしたら、国際社会で信用されるわけがない。条約を守り、誠実に履行することは、国際社会で生きていくために最低限守らなければいけないことだ。
またA級戦犯合祀については
東京裁判の結果、処断された人たちであるA級戦犯を神としてまつる。これは死者を追悼するとともに、その名誉をたたえる顕彰でもある。そこに条約を締結した国の代表が正式にお参りすることは、戦勝国の国民にたいして説明がつかない。日本国民としても、敗戦の結果責任を負ってもらわなくてはならない人たちを神にするのはいかがなものか、という疑問があるだろう。
驚いたのは、首相が国会答弁で「(A級戦犯を)戦争犯罪人と認識している」と言ったことだ。戦争犯罪人だと考えるなら、なぜおまいりするのか。……いよいよ筋が通らないのではないか。
最後にこんなふうにもおっしゃっています。保守派の後藤田氏をして、日本の保守化を憂えさせるとは! 「大変な過ち」との指摘にはまったく同感です。
いま国民全体が保守化しつつあるが、それを背景に政治家がナショナリズムをあおり、強硬な態度をとれば間違いない、という空気がある。大変な過ちを犯している。
※引用はすべて「朝日新聞」2005年7月13日付から。
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