やっぱり沖縄米軍基地の統合・強化では?

米軍基地再編問題について、本土のマスメディアでも、要するに沖縄県北部への米軍基地・施設の統合ではないかとする論評が出始めました。琉球新報は、1800m滑走路は米海兵隊の次期主力機MV22オスプレイの配備を念頭においたものと指摘。一気に沖縄海兵隊基地の強化が進むことになります。

米軍再編、沖縄の4施設を統合(読売新聞)
中南部基地を北部集約 オスプレイ配備も 普天間移設(琉球新報)

他方で、日経は、政府が特別措置法をつくって、公有水面の使用権限を知事から取り上げる計画だと報道。有無を言わせず新基地建設を進めようということなのだろうが、地元無視もはなはだしい。

米軍普天間基地移設へ特措法検討・水面利用、国に権限(日経新聞)
「強権的なやり方」県幹部憤る 埋め立て特措法(琉球新報)

米軍再編、沖縄の4施設を統合

 日米両政府が、在日米軍再編の中間報告に盛り込む米軍基地見直し案が26日、判明した。
 29日にワシントンで開く外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)で合意する。沖縄南部の米軍4施設を複数の県中北部の施設に統合して返還する。これらにより、海兵隊員4000?5000人を削減する。
 見直し案では、沖縄では、キャンプ・コートニー(うるま市)の海兵隊第3遠征軍司令部をグアムに移転する。那覇軍港(那覇市)、牧港補給地区(浦添市)、キャンプ瑞慶覧(ずけらん)(宜野湾市など)、キャンプ桑江(北谷町)の4施設を、県中北部のキャンプ・コートニーやキャンプ・ハンセン(金武町など)などに統合する。
 このうち、那覇軍港と牧港補給地区は全面返還され、キャンプ瑞慶覧とキャンプ桑江は一部返還となる。
 普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市など)沿岸部への移設も盛り込む。嘉手納基地(嘉手納町など)のF15戦闘機の訓練は、一部を本土の複数の航空自衛隊基地に分散移転する。
 沖縄以外では、<1>米海軍厚木基地(神奈川)の空母艦載機の米海兵隊岩国基地(山口)への移転<2>米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)を改編した新司令部(UEX)のキャンプ座間(神奈川)移転――などが柱だ。
 厚木基地から移転するのは、米空母「キティホーク」搭載のFA18戦闘攻撃機など約70機。岩国基地の沖合約1キロに建設中の新滑走路が完成する2008年度以降に移転する。
 キャンプ座間には極東をにらむ米陸軍の新司令部が移転するほか、陸上自衛隊の中央即応集団司令部を移し、共同対処機能の強化を図る。
 このほか、横田基地(東京)には、空自の航空総隊司令部(同)を移し、ミサイル防衛などでの情報共有を進める。航空管制業務(横田ラプコン)は空自への管制権の移管を念頭に見直しを図る。東京都が要望している軍民共用化の協議も加速する。
 また、ハワイやグアムでの日米共同訓練を増やすことを盛り込み、海兵隊などの日本での滞在時間を短くすることを目指す。[読売新聞 10月27日9時49分更新]

中南部基地を北部集約 オスプレイ配備も 普天間移設

 【東京】在日米軍再編協議で大野功統防衛庁長官と町村信孝外相、ローレス米国防副次官は26日午後、都内で会談し、普天間飛行場の移設先について、日本側が主張した沿岸修正案で正式に合意した。大浦湾からキャンプ・シュワブ沿岸部(兵舎地区)を挟み、辺野古沖浅瀬に一部突き出す形で、滑走路の長さは約1800メートル。位置については海上を主張していた米側が日本側に歩み寄った。普天間の決着に伴い(1)本島中南部四基地の北部集約を条件とした全面・一部返還(2)第三海兵遠征軍司令部のグアム移転(3)これらによる在沖米軍3千―5千人削減(4)嘉手納飛行場の騒音軽減策―など沖縄の負担軽減策も合意した。辺野古沖の現行移設計画は中止され、稲嶺恵一知事が移設条件とした15年使用期限、軍民共用も白紙に戻る。
 滑走路が延びたことで辺野古の浅瀬のサンゴや藻場の一部も埋め立てることになった。代替施設の半分以上が大浦湾の海上に新設する形となる。住民や環境団体は合意に強く反発している。
 大野長官は会談後、記者団に、環境破壊を避けるために日本案を粘り強く主張したと説明、中南部の基地返還や「数千人の兵員削減」など負担軽減の規模を強調し「何とかこの案で理解、協力してほしい」と述べた。さらに、海兵隊の次期主力機MV22オスプレイの配備を念頭に滑走路を延長したことも明らかにした。
 小泉純一郎首相も記者団に対し「合意してよかった。実現が大事だ。関係自治体に理解、協力を求めなければいけない」と述べた。
 那覇防衛施設局の西正典局長は27日午前に稲嶺知事を、午後には移設先の名護市、東村、宜野座村を訪れ、日米で合意した移設案について説明する。
 政府は8年以内の代替施設完成を目指す。普天間飛行場の空中給油機は海上自衛隊の鹿屋飛行場(鹿児島)へ移す。
 牧港補給地区(キャンプ・キンザー)と那覇軍港はキャンプ・ハンセンかシュワブへの移設を条件に全面返還する。キャンプ瑞慶覧は大半を返還し、海兵隊基地司令部の機能などをキャンプ・コートニーに移す。コートニーの第三海兵遠征軍司令部などはグアムに移転する。キャンプ桑江の一部も新たに返還する。
 嘉手納飛行場の常駐機F15戦闘機の訓練の一部や外来機の訓練も本土の自衛隊基地に移転し、騒音軽減を図る。普天間の非常駐機の緊急時の離着陸機能も本土の自衛隊基地へ移転する。
 日米両政府は29日にワシントンで外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、再編の中間報告を発表する。

「現行案の過程尊重したい」/稲嶺知事

 日米のシュワブ沿岸部修正案合意について、稲嶺恵一知事は26日、「政府から正式な話があった後コメントしたい」とした上で「苦渋の選択をした現行計画が(今回の合意で)どういう形になったのか。検討に検討を重ねた結果、現行案が選ばれた過程を尊重して対応したい」と述べた。
 27日の政府説明後に記者会見し県の考え方などを明らかにする方針。[琉球新報 10月27日9時25分更新]

米軍普天間基地移設へ特措法検討・水面利用、国に権限

 日米両政府は26日、在日米軍再編案の全容を固めた。焦点の沖縄・普天間基地(宜野湾市)はキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設で合意。29日にワシントンで開く日米安全保障協議委員会(2プラス2)で米軍と自衛隊の新たな役割分担なども明記した中間報告をまとめる。政府は地元の説得に全力を挙げる一方、普天間移設の早期実現に向け予定地域(公有水面)の使用権限を知事から国に移管する特別措置法案の検討に入った。
 米軍再編は冷戦期に固定化した米軍をテロや大量破壊兵器など新たな脅威に対応するために再配置するのが目的で、在日米軍の再編は朝鮮半島情勢のほか、軍事力を増強し続ける中国の動きなども視野に入れている。基地の再編と日米の役割分担の見直しで、1996年の日米安保共同宣言を機に始まった日米同盟強化の作業は仕上げの段階に入る。[NIKKEI NET 2005/10/27 07:02]

「強権的なやり方」県幹部憤る 埋め立て特措法

 政府が普天間飛行場代替施設の建設予定海域の使用権限を知事から国に移す特別措置法案を検討していることについて県幹部は「沖縄側の反対を予想し問答無用で移設を進めるという姿勢で、馬脚を現した。こうした強権的なやり方は130万県民の強い反発を招き、基地や米軍のプレゼンスを容認する県民の神経さえ逆なでする。感覚がおかしい」と批判した。
 別の県幹部は「県民をバカにしている」と憤った。
 一方、移設先の合意について、県幹部は「知事がこだわり、閣議決定までした現行計画を政府の側が取り下げたことで、知事がフリーハンドで県外移転を要求できる環境になった」と強調、政府に普天間飛行場の県外移転要求を強める構えだ。
 現行計画を担保としつつ、海兵隊の県外移転を求めてきたため「県の県外移設要求は分かりづらく説得力に欠ける」(防衛施設庁幹部)という批判を浴びてきた。
 県幹部は、こうした経緯を挙げながら、軍民共用、15年使用期限の公約が日米合意によって消えた影響よりも「辺野古沖移設の現行案から脱し、最善の選択を求めて、行動できるようになる。その政治環境の変化がはるかに大きい」と指摘し、「現行案以外は県外移転と主張してきた県の立場が変わることは一切ない。ベストの要求を掲げる知事の要望を政府は甘くみてはいけない」と警告した。
 大浦湾と浅瀬を埋め立てる案について、別の県幹部は「環境への影響が大きい。滑走路が1800メートルに延びたことも影響する。過去に検討済みで消えた案と50歩百歩だ」とし、受け入れは困難と強調した。[琉球新報 10月27日9時52分更新]

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