元日の「しんぶん赤旗」に、「冬のソナタ」のキム次長役のクォン・ヘヒョさんが登場しています。
え、赤旗も韓流ブームに媚びるのか…と思って読んでみたら、さにあらず。韓流ブームと日韓交流についての話(それだけなら、まだ普通なのですが)と、韓国の政治にたいして自分がどうしてかかわるようになったのかというすごく真面目な話。
「韓国は、軍事独裁下で急激に発展しました」と語るクォンさんは、独裁政権下で反対を口にした多くの人が苦しめられたこと、それを自分も知っていたが、「知っていることと、変えようと努力することとは違う」と悩んだことを率直に表明。クォンさんは1965年生まれだから、1979年に朴正熙大統領が殺され、1980年に光州事件を経て全斗煥が権力を握っていったとき、ちょうど中学生ぐらい。「悩んだ」という言葉には、そういう実感が込められていると思いました。
さらに、自分が7歳の息子と3歳の娘をもって、小学校から競争させられるような「今のような環境で、子育てするのは不幸だと思うようになった」と語り、「私は教育環境を変えたい」と訴えています。
そうして、クォンさんは、こう語っています。
一番の根本は、「国家安保至上主義」だと思うんです。国の安全保障が危ぶまれるという名目で権力を握り、国民をだまし、お金をもうけてきた集団がいます。その大本にあるのは、結局、分断です。
最近、統一問題や対北関係事業に関心をもった理由は、私たちの社会が抱えているすべての問題の出発点が、植民地解放後の私たちが望んでいなかった分断だという考えに至ったからです。
クォンさんは、2004年3月、盧武鉉大統領にたいする国会の弾劾決議に反対する市民が光化門で30万人の集会を開いたときに、集会の司会役を務めたそうです。そのときの気持ちをふり返って、こう語っています。
不特定多数の大衆を相手に演技をする大衆演技者としては、こういう私の政治的な趣向は決して利益にならないでしょう。演技者としては、まったくいいことはないですよ。
あるとすれば、私の精神衛生と、活動全体にとっての利益、未来に対して、お金に変えられない利益があると思う。
「私たちがご飯を食べて、寝て、現実のすべてのことで政治的でないものなんてない」「結局、解決しなければならない問題は、全部政治的な問題だと思う」「社会的な悩みの解決に自分なりに参加していきたい」――。素直な、しかし確固とした発言が、とても印象に残りました。