ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2006年版年次報告書を発表。2005年度の世界の軍事費は前年比3.4%増の127兆円に。
中国の軍事的脅威が云々されますが、軍事費についていえば、まだまだ日本の方が上。また、軍事費増加分の約8割は米国分。結局、一番軍備拡張を進めているのはアメリカということか。
世界の軍事費3.4%上昇、イラク派兵などが影響(読売新聞)
世界の軍事費127兆円 ストックホルム平和研推計(日経新聞)
世界の軍事費3・4%上昇、イラク派兵などが影響
[2006年6月12日21時52分 読売新聞]【ロンドン=飯塚恵子】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が12日に発表した「06年版年鑑」によると、2005年の世界の軍事費は、ブッシュ米政権のイラク、アフガニスタンでの軍事支出が影響し、前年から実質3.4%伸びて約1兆1180億ドル(約128兆円)に達した。
05年の世界の軍事費上昇分の約80%が米国分。米国は世界全体の軍事費の48%を支出した。年鑑は米国の軍事費急増の理由について、対テロ戦争のほか、大型ハリケーン「カトリーナ」などへの対応も要因となったと指摘した。
米国に次ぐ軍事費上位国は、全体の4?5%の支出にあたる英国、フランスが続き、次いで日本、中国の順。中国の通常兵器輸入総額は、01?05年の5年間で総額133億4300万ドルと、世界で最高だった。
また、天然ガスや原油価格の上昇に伴い、資源国の軍事費の急増ぶりが目立っている。ロシア、サウジアラビア、アルジェリア、アゼルバイジャンに加え、チリやペルーでもこの傾向が顕著だとしている。
世界の軍事費127兆円 ストックホルム平和研推計
[日経新聞 2006年6月12日]スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は12日、2006年版年次報告書を発表、05年度の世界の軍事費の合計は前年より3.4%増え、1兆1180億ドル(約127兆4500億円)に達したと推計した。
世界の国内総生産(GDP)合計の2.5%にあたる。米国が半分近い5070億ドルを占め、英国、フランス、日本、中国が続く。
軍事費は01年の米同時テロ以降、米国を中心に増加を続けている。物価上昇率などを差し引いた実質ベースで、米国は00年度に比べ約1.5倍と大幅増加。ただ05年分については大型ハリケーン「カトリーナ」などによる軍出動も影響したという。【2005年度の主要国軍事費(単位:億ドル、SIPRI調査)】
米国 5070.8 英国 576.2 フランス 541.4 日本 453.2 中国 443.0 ドイツ 357.7 イタリア 319.8 ロシア 288.1 サウジアラビア 253.9 インド 236.7 報告書は米国以外の増加について、「原油価格の上昇がロシア、サウジアラビア、アルジェリア、アゼルバイジャンなど産油国での軍事費増大を可能にしている」と指摘した。中国、インドの増加分は「経済成長と比例している」として、米国に比べると突出した伸びではないとの見方を示した。
報告書によると世界の平気取引は03年度を境に拡大に転じ、04年度の通常兵器輸出は計440億?530億ドルと推計。世界貿易全体の0.5?0.6%程度になっている。
01?05年度の通常兵器の5大輸出国は露、米、独、英。米ロがそれぞれ280億ドル前後であわせて全体の6割に達する。
ロシアの主な輸出相手は中国(全体の43%)、インド(同25%)などにたいし、米国の輸出相手先はギリシャやイスラエル、英、エジプト。
一方、同期間の兵器輸入国としては中国が約130億ドルでトップで、インドが約93億ドルで続き、両国が装備の近代化を急いでいることを示した。(ロンドン=横田一成)