アメリカの政府関係の各情報機関が合同で、イラク戦争によるテロへの影響を分析。その中で、イラク戦争がイスラム過激派を刺戟し、テロの危険を拡大した、と結論づけていることが明らかに。
イラク戦争 テロ脅威を拡大
[NHKニュース 9月24日 22時18分 ]アメリカの新聞、ニューヨークタイムズなどは、CIA・中央情報局などアメリカの情報機関が世界のテロの脅威について合同で報告書をまとめ、この中で「イラク戦争はテロの脅威を拡大させた」と結論づけていると伝えました。
これは、アメリカの新聞「ニューヨークタイムズ」と「ワシントンポスト」が、いずれも23日付けの紙面で伝えたものです。それによりますと、CIAのほかアメリカの各省庁に属する情報当局あわせて16の機関は、世界のテロの動向について、2年前から政府関係者や外部の専門家による分析を進め、ことし4月、およそ30ページの報告書を合同でまとめたということです。報告書は機密扱いで、内容の詳細は明らかになっていませんが、報告書は「アメリカが始めたイラク戦争が、イスラム過激派の若者たちを刺激し、こうした過激な思想が世界的に広がっている」と指摘したうえで、「イラク戦争はテロの脅威を軽減させたというより、むしろ世界に拡大させた」と結論づけているということです。アメリカの情報機関が合同で、イラク戦争によるテロへの影響を分析した報告書をまとめたのは初めてだということです。
アメリカのブッシュ政権は、みずから推し進めてきたテロとの戦いとその後のイラク戦争によって、世界はより安全になったと主張していますが、これと相矛盾する分析が盛り込まれた情報機関の報告書が明らかになったことで、秋の中間選挙を前に、ブッシュ政権への批判が強まることも予想されます。