今月の締めは、読売日響第454回定期演奏会。ちょっと珍しいプログラムでした。
- バッハ:シャコンヌ(管弦楽曲版、斎藤秀雄編曲)
- モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183(173dB)
- コリリャーノ:交響曲第1番
で、行く前は前半の2曲に期待していたのですが、実際聴いてみたら、後半のコリリャーノの交響曲第1番が非常によかった、というのが一番の感想です。
ジョン・コリリャーノは1938年生まれ。現代アメリカを代表する作曲家です(とプログラムノーツには書いてあります)。この交響曲第1番は1989年に作曲され、「多くの友人をエイズでなくしたことによる、コリリャーノ自身の喪失感や怒り、フラストレーションから生まれた作品」で、「最初の3つの楽章に、それぞれ3人の友人の思い出を刻んだ」(コリリャーノ自身のライナーノーツによる、プログラムノーツからの重引)ということです。
弦楽は普通の5部ですが、木管の後ろに、ティンパニと鐘が左右に2つ置かれ、大太鼓も2台、その他いろいろな打楽器がずらっと並び、一番後ろに管楽器がトランペットを中心にトロンボーン、ホルン、チューバと左右対称に展開するという大がかりな編成です。
で、音的には、現代音楽ふうな要素を含みつつも、全体としては、(現代音楽にしては)聴きやすい作品でした。第1楽章では、舞台袖のピアノからタンゴの旋律が聞こえてきます。第3楽章では、チェロが、ときには独奏で、ときにはトップとセカンドの二重奏で、そしてあるときはコントラバスを従えながら、印象的な旋律を奏でてゆきます。ところどころ、マーラー的な旋律もあって、けっこう気に入りました。そして、第1楽章冒頭から、ともかく打楽器陣が大活躍します。ともかくド派手な音楽です。
それにたいして、バッハ「シャコンヌ(管弦楽曲版)」は、う〜むどうなんでしょうねぇ…。管弦楽の編成はほとんどフルメンバーの大編成で、オーケストレーションがおかしいということはないのですが、オリジナルのシャコンヌのイメージとはまったく違って、どこかもたついた曲に聞こえてしまいました。次のモーツァルトの交響曲第25番になると、一転してオケの編成は半分ほどに小さくなったのですが、速めのテンポで強引に突き進んでいくような感じで、イマイチでした(小編成にするならもう少し軽くやった方がいいのでは?)。
ということで、僕は現代音楽は苦手なのですが、今夜は新しい作品を見つけたような気分で帰ってきました。
指揮者の下野竜也氏 ((遠くからは、双子の漫才コンビ ザ・タッチが1人だけで出てきたように見えましたが…(^_^;) ))は、今回のコンサートが読売日響初代正指揮者に就任して最初の演奏会、ということでした。これからのご活躍を期待します。