米軍機の衝撃波でガラス戸が割れ、赤ちゃんが怪我

北海道江差町で、昨年9月に、米軍F16戦闘機の訓練飛行の衝撃波で、住宅のガラス戸が割れ、生後3カ月の赤ちゃんが顔に1週間の怪我をする事故があったことが明らかに。

「沖縄の負担軽減」と称して、在日米軍の訓練の本土移転がすすめられていますが、それにともなって、こうした事件も広がってゆくに違いありません。米軍基地そのものをなくしていかないと、本当の意味での「負担軽減」にはならないと思います。また、自治体は、確固とした姿勢で、どんな小さな事件であっても、米軍基地の被害から住民の生命・安全・財産を断固まもりぬくという姿勢を貫いてほしいと思います。

米軍機:訓練の衝撃波で男児けが 札幌防衛施設局公表せず(毎日新聞)

↓やっぱり地元の新聞では、もっと大きな問題として取り上げられています。
米軍機訓練で乳児けが 江差の民家、窓割れる 昨年9月 道など発表せず(北海道新聞)
社説 米軍機被害*住民の安全に責任持て(北海道新聞)

米軍機:訓練の衝撃波で男児けが 札幌防衛施設局公表せず
[毎日新聞 2006年12月5日11時30分(最終更新時間 12月5日19時06分)]

 北海道江差町で昨年9月9日、米軍F16戦闘機の飛行訓練の衝撃波で住宅のガラス戸が割れ、生後3カ月の男児が顔に軽傷を負う事故があったことが5日分かった。在日米軍の事故に伴う補償問題を担当する札幌防衛施設局は被害者に賠償金を支払ったが、事故の事実を公表していなかった。同局から事故の報告を受けた道や江差町も「発表する立場にない」として公表していなかった。
 同局によると、米軍機は青森県の三沢基地に所属。飛行訓練の影響で同町新栄町の民家のガラス戸が落下。縦90センチ、横80センチのガラスが割れて飛び散り、男児のほおに当たったという。同局は陸上自衛隊函館駐屯地を通じて同日中に事故の発生を把握。調査の結果、米軍機による事故と分かった。駐札幌米国総領事館の領事が家族に謝罪。日米地位協定に基づき、同局が賠償金を支払った。
 同局の石関裕一広報官は「米軍が主体の訓練なので積極的には発表しない。被害のあった市町村への通報はしている」と話している。
 一方、江差町は事故のあった当日、現場を調査して状況を把握した。町によると、9月17日に同町を訪れた米国領事に対し、浜谷一治町長が再発防止を強く申し入れた。
 飴谷逸男助役は「桧山支庁を通じて道に報告したが、町としてはどういう形での公表がよいのか分からなかった。今後、このような事故があった場合はきちんと公表していきたい。道や札幌防衛施設局の対応についてはコメントする立場にない」と話した。【岸本悠、安味伸一】

米軍機訓練で乳児けが 江差の民家、窓割れる 昨年9月 道など発表せず
[北海道新聞 2006/12/05 06:59]

 【江差】昨年9月、桧山管内江差町で、飛行訓練中の米軍F16戦闘機(青森県・三沢基地所属)の衝撃波により民家のガラス戸が割れ、破片が室内で寝ていた生後3カ月の男の乳児の顔に当たり、約1週間の切り傷を負わせていたことが4日、分かった。また、過去5年間に民家などのガラス破損事故は他に4件あり、いずれも未発表だったことも明らかになり、米軍機による損害が毎年のように繰り返されている実態が浮き彫りになった。
 在日米軍再編に伴うF15戦闘機訓練の空自千歳基地移転は確実視されており、それが実現すれば、こうした被害はさらに広がる恐れが強いとみられている。共産党は5日の道議会一般質問で道の対応をただす。
 乳児がけがをした事故が起きたのは昨年9月9日午後零時半ごろ。江差町新栄町の民家で、ごう音とともにガラス戸のサッシが倒れ、はめ込まれていた2枚のガラスのうち1枚(横79センチ、縦89センチ)が割れ、昼寝中の男児の上にガラスの破片が飛び散り、鼻の横に傷がついた。
 住民からの届け出を受け、札幌防衛施設局が調査し、米軍機による事故と判明。札幌防衛施設局は「どんな訓練かは把握していない」としている。
 道によると、過去10年間で、米軍機によるトラブルにより道内でけが人が出たのは初めて。今回の事故後、駐札幌米国総領事は江差町を訪れて家族に謝罪し、日米地位協定に基づいて札幌防衛施設局が乳児の家族に賠償金を支払った。
 このほか、渡島管内八雲町の建物(2001年)、同管内森町のホテルと民家の物置(02年)、江差町の民家(03年)の3カ所でガラスが破損。胆振管内洞爺湖町(当時は洞爺村)では02年、米軍機の低空飛行に驚いた競走馬が暴走し柵に激突して骨折した。
 道によると、過去10年に道内で発生した米軍機による事故やトラブルは、今回明らかになった5件を含め12件。ほとんどが道南に集中しており、米軍の訓練空域が、桧山管内上ノ国町などの沖の日本海海上にあるためとみられている。
 5件の事故を発表しなかった理由について、防衛施設庁の和田善徳業務課長補佐は「事故原因を調べるのは米国側で、施設庁は公表する立場にない」としている。また、すべての事故について、札幌防衛施設局から報告を受けていた道危機対策局の真柳直幸主幹は「道には発表する権限はない」と話している。
 在日米軍の動きに詳しいNPO法人「ピースデポ」(横浜)の梅林宏道代表は「自治体は在日米軍がらみの事故について、どれほど軽微だろうと発表しなくてはならない。日本国内の米軍が、住民生活にどれだけ影響を与える存在なのかが浮かび上がってくる」と話している。

社説 米軍機被害*住民の安全に責任持て
[北海道新聞 2006年12月6日]

 青森県・三沢基地所属の米軍F16戦闘機の飛行訓練による衝撃波で昨年九月、けが人が出ていたことがわかった。
 桧山管内江差町で民家のガラス戸が倒れ、割れたガラスで生後3カ月の乳児が傷を負った。けがが約1週間の切り傷で済んだのは不幸中の幸いだろう。もっと深刻な事態がいつ起きても不思議ではない。
 道内では今回のけが以外にも、過去10年間にガラスが割れるなど12件の被害があった。ほとんどが道南に集中している。
 米軍や札幌防衛施設局は、こうした被害が起きないよう訓練内容の見直しを含めて予防対策を取るべきだ。
 問題はもう1つある。米軍はもちろん施設局や道が、被害の事実を知りながら発表しなかったことだ。
 とりわけ住民を守るのが使命の道の対応は怠慢そのものだ。猛省を促したい。
 道は被害が発生する都度、文書や口頭で米軍や防衛当局に再発防止を要請したと説明している。しかし、要請した事実は伏せられ、返答も求めていなかった。及び腰というしかない。
 高橋はるみ知事が、被害が明るみに出る直前まで報告を受けていなかったというのも信じ難い。知事への報告が不要と判断したのはどのレベルだったのか。幹部の見識が問われる。
 知事は「深く反省している」と述べたが、言葉通りに態勢をしっかり立て直さなければならない。
 本道では、沖縄・嘉手納基地のF15戦闘機訓練を千歳基地に受け入れる準備が進んでおり、上空での米軍機訓練がより頻繁になることは必至だ。
 千歳では自衛隊との共同訓練のため、衝撃波が発生するような音速前後の低空飛行はないとされる。しかし、当初の約束がほごにされるケースは各地で見られ、同様の被害が広がる恐れがないとは言えない。
 千歳と苫小牧の地元両市は訓練受け入れを決めたが、このF16被害は、住民にまでは知らされていなかった。両市の移転受け入れ判断の前提に変更があったと言うべきではないか。
 また、今回被害をもたらしたのは、千歳基地ではなく三沢基地の米軍機だ。三沢基地も千歳とともに移転訓練を受け入れる。心配なのは千歳の訓練だけではないのである。
 どこの基地からの飛来であれ、訓練空域下の道内自治体は、十分な説明を受ける権利があるだろう。千歳市と苫小牧市は施設局と文書で協定を結ぶ予定だが、訓練空域下の自治体も協定を求めて当然だ。
 米軍はまず、両基地移転の際の訓練空域や訓練内容を明らかにし、地元住民の不安に応えるべきだ。道は住民の側に立って強く米側に説明を求めるべきだ。

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