ブッシュ大統領が、イラク派遣米軍の2万人増派することを表明。
といっても、まあ事前の予測通り。軍を増強して一気に片をつけ、そのあと米軍撤退にもち込む、という方針ということですが、問題は、武力で治安が「早急に安定化」することができるのか、 ということです。イラク政府に責任を押しつけてみたところで、その政権が米軍の後ろ盾なしには成り立たない以上、いわば右手でダメなら左手で殴ってみる程度の違いしかありません。
ブッシュ米大統領、駐イラク米軍2万1,500人増兵へ(IBTimes)
ブッシュ米大統領、駐イラク米軍2万1,500人増兵へ
[IBTimes 01/11 09:54]反戦ムードとは裏腹に、ブッシュ米大統領は10日、イラク米軍を2万1,500人増兵することで、イラク国内状況の治安を早急に安定化させ、より早く駐イラク米軍全員が撤退できるようにすると発表した。さらにブッシュ米大統領はイラク政策初期の米政府の過ちも認めた。今後イラクでの米軍の存在力を最高レベルに引き上げることで、ブッシュ米大統領と民主党議会の衝突は避けられない状況となった。
ブッシュ米大統領はさらにイラクが自国の責任を果たしていかなければならないとも言及した。「もしイラク政府が誓約どおりに動かなければ、米国民の支持を失い、さらにはイラク国民の支持も失うことになるだろう」と述べた。ブッシュ米大統領はイラク復興政策の初期政策での過ちを認め、「復興政策当初イラクには治安を確保するに十分な米軍及びイラク軍を配置できていなかった。当時多くの軍隊を配置するには多くの規制があった」と述べた。
イラクアルマリキ首相は米軍の自由裁量と政治的および宗派間紛争による米軍活動の妨害は許容できないとする立場を認めている。ブッシュ米大統領は今後のイラク政策の成功の可否は、これまで何度も誓約を破っているイラクアルマリキ首相の誠実な態度にかかっているとしている。
現在米政府はイラク復興政策のために3千人以上の米軍および4,000億ドルもの国費を費やしており、ブッシュ大統領にとってこれが最後の米国民のイラク復興政策への意識を改善する演説を行うチャンスであったと考えられる。
ブッシュ米大統領のイラク新政策における米軍増兵の方針について、早くも民主党指導者らは非難しており、カリフォルニア州民主党議員のペロシ米下院議長は「これで私たち民主党の要望が却下されたのは3度目だ。何故今増兵するのかわからない」と述べた。米民主党員は現在ブッシュ米大統領がイラクへの米軍増兵を行わないようにさせるための投票準備に取り掛かっている。
これに対しブッシュ米大統領は「今イラクから米軍が撤退することはイラク政府の崩壊を招くことにつながる。そのようになれば結果的にさらに多くの米軍をイラクに派兵しなければならなくなり、イラクでの混乱状況はますます激化する」と述べている。ブッシュ米大統領はイラク経済政策、破綻した福祉サービスの再開、住宅再建など多様な政策を複合して行い、イラクに対するアメリカの政策を変更し、テロとの戦いで成功を収める計画を発表したが、軍事面から見れば、これまでと比べて大きな政策変更は見られなかった。
またブッシュ米大統領はイラク復興政策には米軍支援よりもなによりもイラク政府の役割が重要だとし、「イラク国民のみが宗派間紛争を終結し、治安を回復させることができる。イラク政府は治安回復のために積極的な政策に取り組まなければならない。長期に見れば、イラクに自由と民主主義の概念を導入していくことでテロ組織が所有するこれらに敵対する概念に代わる概念を築き上げていくことが最も現実的な方法だ」と述べた。