日経新聞の調査によると、上場企業1250社の3月期経常利益は前期比6.5%の伸びを示すことが明らかに。
ということで、企業の業績回復が、またもや確認されたことに。しかし、それが国民の暮らしにちっとも回ってこない…。ここに、一番の問題があります。
上場企業経常益、6.5%増・今3月期日経集計(NIKKEI NET)
ネットだとリード部分しか出てないので、紙面から引用します。
上場企業、経常益6.5%増 4期連続最高益確実に 円安など追い風――今3月期本社集計
[日経新聞 2007/2/10付朝刊]上場企業の2007年3月期の連結経常利益は4期連続の最高益更新がほぼ確実となった。日本経済新聞社が9日集計したところ、前期比の予想増益率は6.5%と中間決算発表直後の昨年12月から約1ポイント拡大。幅広い業種が円安効果の恩恵を受け、年末商戦が好調だったデジタル家電関連の利益上積みも目立つ。4?12月期の増益率は前年同期比14%増と2ケタを維持しており、通期業績は現時点の予想を上回る公算が大きい。
3月期決算の上場企業(金融、新興3市場除く)1250社が対象で、米国会計基準を採用する企業は税引き前利益を経常利益とみなした。
各社の通期予想などの集計が中間期時点(5.8%)を小幅ながら上回ったのは、9日までの四半期業績開示で上方修正した企業が増えたため。最大の要因が円安で、輸出企業を中心に幅広く増益に働いた。
(中略)
■トヨタ、円安で上振れも 価格下落を数量効果で補うデジタル家電関連企業も増益基調。松下電器産業はプラズマテレビの販売が10?12月で約7割増えた一方で構造改革費用が減り、税引き前利益(米国会計基準)を300億円積み増した。液晶テレビのパネル用フィルムが順調な富士フイルムホールディングスや、一眼レフデジタルカメラが伸びたニコンも上方修正に踏み切った。
通期6.5%の増益予想に対し「なお増益幅拡大の余地が残る」(第一生命経済研究上の熊野英生主席エコノミスト)との指摘は多い。今年に入り円安が一段と進行し、約4年ぶりに1ドル=122円台へ下落。4?12月期決算で見通しを据え置いたトヨタ自動車の場合、年明けの円安だけでも500億円程度の増益効果を生みそう。
■企業はなお慎重姿勢 企業は先行きについて依然慎重な姿勢だ。東京電力は4?12月期の経常利益が4165億円と通期予想(4100億円)を上回ったものの上方修正を見送った。全体の集計でも1年前の4?12月期時点では06年3月期の予想経常増益率が7%だったが、結局14%の増益を達成した。今期も最終的に増益率がさらにのびそうだ。
【追記】
その後も同様の記事をいろいろ見つけました。新光総研の調べでは、4-12期の経常利益は11.7%増。そのなかで、小売業の経常利益は同1%増というところに、個人消費が伸び悩むいまの景気が反映しています。
総合/上場企業、4?12月期の経常益11.7%増 通期は4年連続最高(FujiSankei Business i.)
上場企業、4?12月期の経常益11.7%増 通期は4年連続最高
[FujiSankei Business i. 2007/2/10]■新光総研調べ
3月期決算上場企業の2006年4?12月期決算発表が9日、ピークを迎えた。証券系シンクタンクの新光総合研究所が継続調査している東京証券取引所1部上場企業1139社のうち、前日までに発表を終えた企業(開示率76.4%)の決算を集計したところ、経常利益の合計は前年同期比11.7%増の23兆1090億円、最終利益は同7.6%増の12兆7580億円となった。
会社側が計画している07年3月期通期の経常利益予想に対する進捗(しんちょく)率はすでに約8割に達しており、4年連続の過去最高益の更新がほぼ確実とみられる。
北米事業の好調でトヨタ自動車の4?12月期の最終利益が初の1兆円台に達したほか、薄型テレビなどの海外販売が好調な松下電器産業が通期最終利益の予想を上方修正するなど、今回の決算では、外需の好調と円安の為替効果による海外利益の底上げが、企業収益拡大の牽引(けんいん)役となっている。
このため、新光総研が集計した主要業種別の経常利益状況では、輸出関連の電気機器が前年同期比27%増、精密機器が同33.6%増、輸送用機器が同13.2%増とそれぞれ2けた増の大幅増益を示している。
また、国内景気の底堅さや地価の回復を背景に、非製造業の経常利益も、不動産が同32.8%増、建設が同70.2%増と大きな収益回復をみせており、内需の改善も裏付けた。
ただ、小売業の経常利益は同1%増にとどまり、国内の個人消費には引き続き力強さが欠けることをうかがわせた。
一方、経常増益を発表した571社のうち、通期予想を上方修正した企業は今のところ18.7%の107社にとどまっており、為替や原油・素材価格の動向をにらみ、会社側は先行き見通しについて慎重な姿勢を保っている。
円安追い風、好決算 電機・自動車が軒並み増益
[asahi.com 2007年02月02日]上場企業の06年10?12月連結決算が、電機、自動車などを中心に好調だ。景気拡大に伴う需要増に加え、円安加速という追い風を受けて、鉄鋼や商社など素材関連も好業績をあげている。残り2カ月を切った07年3月期通期の業績予想の上方修正も目立っており、企業業績は「いざなぎ超え」が鮮明になっている。
松下電器産業は、為替が予想を超える大幅な円安に振れたことで、2500億円の為替効果を手にする。おかげで、製品価格は下落しているものの、07年3月期の売り上げ予想は9兆円と、昨年4月時点の8兆9500億円から500億円増。川上徹也副社長は「円安は総じてプラスだが、値下げ要求がきつくなる面もある」と複雑な表情だ。
ソニーも円安効果に後押しされた。液晶テレビやデジタルカメラなどが好調で、エレキ事業は四半期としては過去最高の1774億円の営業利益を記録。うち305億円が円安効果だ。
ホンダの06年10?12月期決算は北米などで乗用車が好調で売上高が7年連続で最高を更新。4?12月期でも売上高は6年連続で最高を更新した。営業利益も円安の増益効果が1020億円で2年連続の過去最高だった。
欧州向けを中心に「スイフト」などの小型車の輸出が伸びているスズキが1日発表した4?12月決算は、売上高、利益とも過去最高を更新した。営業利益の円安による増益効果は268億円。そのうち対ユーロ分が123億円と大きかった。
円安は、高止まりが続いている原油や鉄鉱石など資源の輸入価格を押し上げる面もある。東京電力は原油高の影響で4?12月の燃料費が前年比3.7%増えた。しかし、産業向けなどの大口の需要が伸びてコスト増の影響を打ち消す形になり、4?12月の連結経常利益は4165億円と、07年3月期1年分の予想を上回った。過去最高益だった06年3月期を上回る可能性もある。
鉄鋼も、鉄鉱石価格が前年度比19%上昇するなどのコスト増を自動車などの需要増がカバー。鉄鋼大手各社は増収を確保するなど活況が続き、新日本製鉄の宗岡正二副社長は「鋼材の国内需要の先行きは死角がない」と強気の見方だ。
油田や鉱山の権益をもつ商社も資源高で潤った。各社はそろって過去最高益を更新した。三菱商事は4?12月期までで、06年3月期1年分の連結当期利益をほぼ達成。原油価格は前年同期比で1バレル当たり約11ドル上昇し、100億円近い増収効果があった。
三井物産は1日、権益をもつ豪州の鉄鉱石鉱山の増産に備え、積み出しの港湾拡張に約340億円投資すると発表。鉄鉱石価格は、ここ数年で約2倍になっており、収益拡大への布石を打つ。