青年ユニオンなどが「ネットカフェ難民」の実態調査。10都府県34店舗で、8割近くの店に「長期滞在」客がいることが明らかに。
「ネットカフェ」暮らし、地方にも“常連”拡大(読売新聞)
「ネットカフェ難民」広がる 7割の店に「長期・常連」(朝日新聞)
「ネットカフェ」暮らし、地方にも“常連”拡大
[2007年4月27日23時1分 読売新聞]ネットカフェや漫画喫茶について、労働組合やNPO法人などが10都府県で行った調査で、8割近くの店に長期滞在の利用者がいることが確認された。
調査は、首都圏青年ユニオンなどの労組やNPO法人のメンバーらが今月、10都府県の34店舗で、利用者の若者らから聞き取りしたもの。それによると、8割近くの26店舗に長期滞在の利用者がいた。首都圏だけでなく、東北や九州の店舗にも長期にわたって寝泊まりする“常連”がいた。
アルバイト収入が不安定なため、2年間も宿泊している男性(24)(東京)や、労働時間が長く帰宅するゆとりがないため、ネットカフェに泊まることの多い男性(30)(奈良)などのケースがあったという。
首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「貧困だけでなく、過酷な長時間労働などにより、ネットカフェに寝泊まりする人が増えているようだ」と話している。
「ネットカフェ難民」広がる 7割の店に「長期・常連」
[asahi.com 2007年04月28日]2、3年前から暮らしている、仕事が忙しすぎて帰宅できない――。インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりする「ネットカフェ難民」の実態を知ろうと、各地の労働組合や民間団体が全国規模で聞き取り調査をし、27日に結果を公表した。調査した34店舗の4分の3に長期滞在者がいて、「難民」の広がりと深刻な実態が浮き彫りになった。
調査は宮城、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、奈良、大阪、兵庫、福岡の10都府県で今月実施。ネットカフェの店員に質問したり、利用者に年齢や泊まる頻度、理由などを尋ねたりした。
その結果、利用者84人が質問に答え、兵庫をのぞく9都府県の26店舗に「宿泊常連・長期滞在者」がいた。
利用者からは「2年間ネットカフェ。深夜のアルバイトをしているが、仕事が不安定でアパートを借りようと思えない。夕方から働き、朝6時にネットカフェに帰る」(東京都・20代男性)、「家がない。正社員になれず、職を転々として当座のお金を稼いでいる」(愛知県・40代男性)、「3年前から夫の暴力を苦にネットカフェ暮らし。パートなどで月収9万円」(東京都・30代女性)などの声があった。
「飲食店の正社員。家に帰ると寝る時間がなくなるので週6日はネットカフェに泊まり、日曜日だけ家に帰る」(東京都・20代男性)など、厳しい長時間労働が背景にある事例も複数あった。
調査をまとめた首都圏青年ユニオンは「若者の貧困が予想以上に広がっており、仕事と生活の困難さの縮図になっている」と、行政や政治による対応を訴えた。
厚生労働省も「ネットカフェ難民」に注目し、今年度中に働き方などの実態調査をする。今後の若年雇用対策につなげるため、ネットカフェで暮らす若者から直接話を聞くことも検討している。
業界団体の日本複合カフェ協会によると、ネットカフェや漫画喫茶は05年時点で全国に約2740店。