コンビニで時間切れで廃棄処分にした商品(見切り品)についても、チャージ料をチェーン本部側に上納させていた問題で、最高裁が本部側の主張を認める判決。
しかし、問題は、商品の廃棄はお店の側が自分で自由に決められるのか、それとも事業本部の取り決めで廃棄せざるをえないのか、です。お店の側の判断で廃棄できるのであれば、それは、店側の仕入れの失敗ということで負担するのもやむを得ないかもしれませんが、事業本部との取り決めで廃棄せざるをえないのであれば、損金扱いされないと理屈が通りません。でないと、事業本部の指示で売れなくなったものについて、指導料の上納については、売れたものとして処理させる、ということになるからです。
廃棄品原価も指導料に算入 コンビニ店契約で最高裁(北海道新聞)
実は、うちの近所のコンビニ店がこの前閉店になりました。閉店になったお店には、「チェーン本部との契約解除につき、閉店します」の張り紙がありました。何があったのか分かりませんが、駅から僕のアパートまで歩いて15分ぐらいの距離に、同じ系列のコンビニだけでも3店、他系列のコンビニや24時間営業のスーパーを含めると、5店もお店があります。いったい誰がそんなに買いに来るのか? 過剰店舗もいいところです。
それにしても、いわゆる「見切り品」として廃棄されるコンビニ弁当やおにぎり。もったいないと思うのは、僕だけでしょうか? だいたい賞味期限を1分でも過ぎたら、もう売れない、売ってはならない、というのは、ちょっと異常。「もったいない」とか「省エネ」とか言いながら、その一方で、こういうことが続けられる。おかしな世の中です。
廃棄品原価も指導料に算入 コンビニ店契約で最高裁
[北海道新聞 06/11 15:16]コンビニ店が売上利益に応じてフランチャイズチェーン本部に経営ノウハウの指導料を支払う際、消費期限切れによる廃棄商品などの原価も含める算定方法の是非が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は11日、廃棄分の算入を認めなかった2審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。
契約の解釈についてチェーン本部側に有利な判断となった。
この方法は多くのコンビニチェーンが採用しているとされるが、店側の負担は重く、訴訟では契約時の書面や口頭で十分に説明されていたかが争点となった。
津野裁判長は「契約書の文面や事前の説明から、廃棄商品の原価も含める方式だったと解釈できる」と判断した。
1審判決では「算定方法は合意済み」と店側が敗訴したが、2審では「契約書には明示されていない」として逆転勝訴していた。
↓こちらの東京新聞の記事によれば、セブンイレブンの店舗が本部に納めるチャージ料(経営指導料)は、売上高から仕入れ原価を引いた額(つまり粗利)の55?80%にものぼる、ということです。なんというボロ儲け!!
セブン?イレブン『指導料』訴訟 加盟店勝訴の二審破棄 最高裁が差し戻し 『規定、説明済み』
[東京新聞 2007年6月11日付夕刊]コンビニエンスストア最大手「セブン?イレブン・ジャパン」(東京)と契約した埼玉県の男性店主が、本部に支払うチャージ(経営指導料)の算出規定は契約書に定められていないとして、同社に約3400万円の返還を求めた訴訟の上告審判決が11日、最高裁第2小法廷であった。津野修裁判長は「算出規定は、契約書や事前の研修で説明されていた」と述べ、店主の主張を一部認めた2審判決を破棄。店主が説明を十分に理解できていたかどうかについて、東京高裁に審理のやり直しを命じた。
男性は1995年に加盟した。契約で毎月のチャージ額は、売上高から商品の原価(仕入れ値)などを差し引いた金額の55?80%とされた。
同社は消費期限切れの総菜など廃棄商品の原価については、売上高から差し引かないシステムを採用。廃棄分の原価を差し引いた場合に比べ、チャージ額が増えるこのシステムについて、訴訟では契約時に店側が合意していたかが争われた。
今井功、中川了滋両裁判官は補足意見で「契約書の記載は、明確性を欠き、問題がある。改善が望まれる」と述べた。
店主側は「本部の計算式はチャージ額を膨らませている。契約前の説明もあいまいだった」と主張。セブン?イレブン・ジャパンは「算出方法は契約前の研修などで十分説明しており、加盟店側も理解して契約した」と反論していた。
男性は2002年に提訴。1審東京地裁は訴えを退けたが、2審東京高裁は「店側が内容を十分理解しないまま契約していた」として同社に約2200万円の支払いを命じたため、同社が上告していた。主張認められた
セブン?イレブン・ジャパンの話 当社の主張が認められた妥当な判断と受け止めている。
◇
廃棄商品仕入れ費用の扱い焦点
コンビニエンスストアを展開する企業が、個人事業主と契約して店舗を任せる手法は「フランチャイズ・システム」と呼ばれる。店主は、店の名前や経営ノウハウを利用できる代わりに、チャージやロイヤルティーを支払い、それが企業側の収入となる。
1990年代にはコンビニ・ビジネスが急成長する一方で、チャージの計算方法など契約内容をめぐり、コンビニ各社と加盟店とのトラブルが表面化。訴訟に発展するケースも相次いだ。
訴訟の焦点は、チャージを算出する際、売れなかった廃棄商品の仕入れ費用をどう扱うかという点。チャージは、店の売上高から仕入れ原価などを差し引いた利益に、一定割合をかけて算出されるが、廃棄商品の仕入れは原価から除外される。加盟店側は「損失なのに売上高に含まれるのはおかしい。契約時にそんな説明は受けていない」と憤る。
最高裁判決の補足意見も、「店舗経営で生じた利益の一定割合をチャージとするのが一般的な理解」として、加盟店側の主張に理解を示した。
公正取引委員会は2002年、チャージについて、契約時に実際の内容よりも店側に有利と誤解させた場合は、独占禁止法に違反するとコンビニ各社に警告している。
コンビニチェーン大手のローソン(東京)の広報担当者は「公取委の警告から、契約時の説明には細心の注意を払っている」と話す。だが、別のコンビニ会社のある社員は「チャージの仕組みについて説明はするが、分厚い契約書で、店側が一度に頭に入る内容ではない」と言う。
セブン?イレブンの広報担当者は「売れても売れなくても仕入れた商品は加盟店負担が原則。チャージの算出は、廃棄商品を個々に計算する負担を軽くするために採用している」と説明する。
コンビニ問題に詳しい中野和子弁護士は「本部側にはリスクがなくて収入が上がる都合のいいシステム。加盟店の犠牲の上に成り立つ仕組みだ」と批判している。
フランチャイズ契約による事業本部側の横暴は、以前にも問題になって国会で取り上げられましたが、実態ははたして改善されているのでしょうか。
この問題に関連して、共産党の塩川鉄也衆議院議員の国会質問が話題になっています。
166-衆-経済産業委員会-15号 2007年06月06日
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
きょうは、コンビニフランチャイズの問題について質問させていただきます。
既存の商店街振興策をしっかりやっていくというのとあわせて、社会的に一定の地位を占めるようになりましたコンビニフランチャイズ事業の健全な発展のために、加盟店の権利の確立、ルールの整備が求められていると思っております。
そこで、最初にフランチャイズチェーンの今の規模がどうなっているのかをお尋ねしますけれども、チェーン数、店舗数、売上高、過去10年前と現在と、この推移が、小売業のうち、コンビニそれから飲食、外食業とサービス、こういう区分でお示しいただけますか。○松井政府参考人 お答えいたします。
小売業につきましては、JFAフランチャイズチェーン統計調査の2005年度の調査によれば、344チェーン、8万5035店舗がフランチャイズ形式で運営されております。売上高は約12.8兆円でございます。1995年、10年前に比べまして、チェーン数で1.26倍、店舗数で1.53倍、売上高で1.46倍の伸びを示しております。
このうち、コンビニエンスストア業は、同調査で33チェーン、4万2643店舗、売上高は約7.4兆円でございます。これも10年前、1995年に比べまして、チェーン数で約4割減少しているものの、店舗数では1.35倍、売上高では1.43倍と増加しております。
次に、外食産業でございますけれども、同調査によりますと、467チェーン、5万6865店舗がフランチャイズ形式で運営されております。売上高は約4兆円でございまして、10年前、1995年に比べまして、チェーン数で1.43倍、店舗数で1.45倍、売上高で1.39倍の伸びを示しております。
また、サービス業につきましては、同調査で335チェーン、9万2589店舗がフランチャイズ形式で運営されております。売上高は約2.6兆円でございまして、10年前の1995年に比べまして、チェーン数で2.1倍、店舗数で1.45倍、売上高で1.77倍の伸びを示しております。○塩川委員 お答えいただきましたように、小売、外食、サービス、それぞれの分野で非常に大きく伸びているというのが今のフランチャイズの事業であります。
同時に、いろいろなトラブルも起こった。特に、90年代の末から2000年代の初めぐらい、2000年を前後しまして、コンビニの契約のトラブルが社会的な問題となりました。本部の情報開示の不十分さによるトラブルですとか、高過ぎるロイヤルティー、24時間年中無休、こういったやり方を押しつけるような不公正取引の問題、あるいは、多店舗展開の中で強制的に閉店に追い込まれるような状況などもございました。
我が党として、2000年にフランチャイズ取引適正化法に関する政策提言を行いまして、それについての国会の質疑なども行ってまいりました。その後、2002年に公正取引委員会として独禁法の運用に関するガイドラインの見直しや、また、経産省として中小小売商業振興法の規則の改正などが行われました。そういう点でも、改めて大きく伸びている業界、事業として、そのトラブルをきちっと解決するということが今日求められていると思います。
そこで、大臣に伺いますが、コンビニフランチャイズ事業の将来性についてどのようにお考えか、また現状の課題は何なのか、この点についてお尋ねいたします。○甘利国務大臣 我が国におけるフランチャイズ事業というのは、現在も着実に成長を遂げているものというふうに認識をしておりまして、このフランチャイズ事業は、加盟店にとっては、本部からすぐれた商品であるとか、あるいは経営ノウハウ等の提供が受けられる、一方で、本部にとってみますと、急速な多店舗展開が可能となる、加盟店と本部の双方にとってメリットを有しているわけであります。こうした長所が適切に生かされることによって、将来的にも産業の発展や雇用の創出に寄与するものと考えております。
他方で、フランチャイズ契約の締結や履行に関して、加盟店と本部との間で理解が必ずしも十分でない、トラブルが発生しているという事例もあるというわけでありまして、これらが課題となっていることは事実であります。
経済産業省といたしましては、中小小売商業振興法の適切な運用に努める、それから社団法人日本フランチャイズチェーン協会の自主的な取り組みを促すということを行っているところであります。
さらに、フランチャイズガイドラインの適切な運用を通じた公正取引委員会との連携も図りつつ、フランチャイズ事業の健全な発展を図るということに努力をしていきたいというふうに思っております。○塩川委員 長所を生かすと同時に、課題となっている問題について解決をしていく、健全な発展を図るということです。
資料を配付しましたけれども、先ほど経産省の方からお答えいただきましたように、1枚目、上がチェーン数、下が売上高の推移、それから2枚目の方に、上が店舗数の推移となっています。2枚目の下にコンビニ大手5社の出退店数の推移、それからあわせて3枚目に、業種別のチェーン数、店舗数、売上高の表をつけておきました。非常に幅広い分野で行われております。
今日、FC事業の柱でありますコンビニについても、セブンイレブンが今年度初めて減益ということで、業界としての成長の岐路にあるという状況があると思います。資料の2枚目の下、出退店数の推移を見ておわかりのように、出店も大きくふえていますけれども、一方で退店も非常に多いわけですね。これはやはり売り上げが伸び悩んでということもありますし、多店舗展開の中で売り上げの伸びない店舗を強制的に閉店させるような事例などが生まれているという点でも、かつて20年、30年とあったコンビニがそこからなくなるということなども生まれてきているわけです。
今、コンビニが置かれている地位を考えますと、公共サービスの提供場所になっているという面が生まれてまいりました。あわせて社会的なインフラとして機能しているわけです。お聞きしましたら、ある県では、大規模災害時に帰宅困難となった人、そういう人たちの帰宅困難者支援の拠点としてコンビニ加盟店との事前協定なども検討しているというお話などを伺っております。
税の収納ですとかローソンなどでの郵便の集配、これはポストよりもたくさん集まっているという話ですけれども、物販収入よりも、宅配ですとか公共料金の収納などの手数料収入が上回っている。こういう点でも、公共的な役割を担うコンビニが、もうからないからといって閉店させていいのか、地域における競合シェア争いを放置していいのかということも問われているわけです。
こういった本部による不公正取引、優越的地位の濫用など、いまだにさまざまな問題が発生している中で、健全な発展のためのルール整備が必要だと考えています。
そこで、幾つか具体的な事例を紹介しながらお尋ねしたいと思うんですが、日本フランチャイズチェーン協会へのトラブル相談件数でも、18年度が143件ということで、この間よりもふえているという話でした。訴訟件数なども、大手コンビニ4社の合計で、03年度が3件、04年度が4件、それが05年度は14件と急増しております。こういう事例というのも、いわば氷山の一角だと思っています。
トラブル事例の1つが、契約前の金銭の支払いの問題です。中小企業庁の方でつくっています「フランチャイズ事業を始めるにあたって」というパンフレット、この冒頭のところでも、「最近の主な相談事例」というのが紹介されています。「契約前の金銭の支払い」「契約締結前に申込金を支払ったが、返還に応じてくれない。」こういう場合がある、こういうことを紹介しています。
例えば、大阪を中心に知られるお菓子のマルシゲという事業者があります。中小企業庁に告発をされたある方の場合は、このマルシゲは、一定の説明をした後、これ以上の説明を求めるなら加盟金を払え、開業資金を振り込めと、次々とお金を払い込ませた。その後ようやく契約書を示して、その場での署名捺印を求めた。この方はその場での契約は拒否をし、数日後に契約しないと回答したそうですが、マルシゲは契約者とみなすとして、加盟金その他の返金に応じないという姿勢だったということです。
中小企業庁に告発をした事例ですけれども、この告発を受けて中小企業庁はどのような対応をしたのか、お聞かせください。○石毛政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の案件に関しましては、全国フランチャイズ加盟店協会から調査要請がございまして、それを踏まえまして、当該フランチャイズ本部について、平成18年度に調査を予定しておりましたほかのフランチャイズの本部と合わせまして、本年の2月に中小小売商業振興法第13条に基づく報告徴収を実施しております。
その調査を踏まえまして、さらに詳細な報告を求めるなど、引き続きその当該事案について調査検討を行っている、そういう段階でございます。○塩川委員 ぜひ適切な対応をお願いしたいと思っております。
今、報告徴収のお話がございました。そこでお聞きしますが、中小企業庁では、本部に対する情報開示、説明義務の確認のために、中小小売商業振興法の規定に基づいて報告徴収を継続的に実施していると聞いております。この報告徴収を継続的に実施している中身について御説明いただけますか。○石毛政府参考人 お尋ねのフランチャイズのチェーン本部についての報告徴収でございますけれども、平成14年の制度改正以降に集中的に実施をしてきているんですけれども、規模の大きいフランチャイズ本部、それからフランチャイジー、要するに、加盟店になった、あるいはなりそうな、そういう者から個別相談のあったフランチャイズ本部、そういうものを選定しまして、毎年、一定数について報告徴収を実施しております。
そういう調査の結果、問題があったフランチャイズ本部に対しましては改善指導を行っております。その結果、指導対象となったすべてのフランチャイズ本部について、今までのところ改善措置がなされたという状況でございます。○塩川委員 幾つぐらいの本部の報告徴収をこれまで累計で求めてきているんでしょうか。
○石毛政府参考人 累計で大体80数本部、調査をしております。
○塩川委員 80数本部ということでありました。
お話にありましたように、加盟店などから問題のある、そういう本部について報告徴収を求める、これはぜひ大いにきちっとやっていただきたいんですけれども、数そのものが、平成14年からでまだ80数本部ということですけれども、フランチャイズチェーン協会の統計調査で見ましても、05年度、先ほどお話がありましたように、振興法の対象としている小売と、それから飲食、外食につきますと、合わせて800強の本部があるわけですね。ですから、今のペースで行くと全部チェックするのに50年から先にかかるような状況にあるわけで、こういうのを、きちっと報告徴収を最低限求めるというぐらいはしっかりやる必要があるわけですから、これは抜本的にこの報告徴収の件数を引き上げるということが必要ではありませんか。この点、どうでしょうか。○石毛政府参考人 報告徴収の数をもう少しふやしたらという御指摘でございますけれども、私ども、先ほど申し上げましたように、一番、何といいますか、ある種の効率性を求めて、相談があった案件、その辺のところに問題がありそうだ、そういうところに絞ってまず調査をする、それから、大きな本部についてはそれなりの影響力があるわけでございますので、そういうところから手がけてやってきたつもりでございます。
今、確かに、もうちょっと広げたらどうかということについては、これ以上絶対ふやさないというあれでもないと思いますので、ちょっとどこまで、行政の効率性も考えながら、どうやって効果を上げるのか、考えてみたいと思います。○塩川委員 いろいろなトラブルの事例の中でも、多いのが中途解約をめぐる問題であります。この中小企業庁のパンフレットでも、「途中解約について」「経営がうまくいかないので解約を申し出たら、解約違約金を請求された。」こういう事例がトラブル相談の事例として多いということが紹介をされています。裁判となる場合も少なくありません。
このほどさいたま地裁は、サークルKサンクスのエリア支部である東埼玉サンクスが元加盟店を相手に行った提訴、中途解約違約金622万円余を支払えという提訴に、本部側の請求を退ける判決を下しました。本部側は控訴を断念し、この判決が確定をいたしました。
この判決では、契約してから5年以上も経過をしており、本部はロイヤルティー収入で初期投資は回収している。当該契約では、加盟店の経営の損失が続いても本部は利益を得るものとなっている。赤字経営にもかかわらず、経営の継続、不利益を強制することは公序良俗に反する。営業の自由は、その離脱を含めて、重要な基本的人権であり、中途解約違約金という契約でその権利に制限を加えるには、相当の事由が必要であると本部側の訴えを退けております。
ですから、本来、経営不振による中途解約には違約金は請求しないと契約書に明記をさせるべきもので、一方、本部都合による中途解約には本部が賠償金を支払うのが筋だと考えます。
そこでお尋ねしますけれども、中小小売商業振興法の規定に基づく報告徴収において、経営不振、売り上げ不振による中途解約の際の違約金支払い、こういう項目があるかどうかについて、開示事項となっているか、そういう確認というのはしておられますか。○石毛政府参考人 今お尋ねの違約金等についての項目は、開示事項ということで、この法律の対象になっているところでございます。
○塩川委員 一般的な違約金、中途解約の違約金というのではなくて、経営不振による、経営不振の場合での中途解約についての解約違約金、これについての有無、ある場合にはきちっとどういう内容かを見て書かれているか、そういうことは報告徴収されておられるんですか。
○石毛政府参考人 私どもは今、ただいま行っている調査につきましては、そういう理由についてまで明確にしてはございません。経営不振なのか何なのかということについてまで把握はしていないということであります。
○塩川委員 そこがやはり一番問われるところで、実際には、こんな膨大な契約書、やりとりの中で、事前の情報開示などといってもそこまで目が行き届かないという際に、少なくとも、開示項目として、中途の解約についての幾つかのバリエーションに沿った対応がどうなっているのか。特に、やはり経営不振という事情に対して今トラブルになっているのが多いわけですから、そういう点をきちっと確認するというところが必要じゃないですか。それはどうですか。
○石毛政府参考人 今後の調査の中で、今御指摘の点も含めまして、当然、経済の実態に合わせて改善すべきところは改善していくつもりでございます。よく検討させていただきます。
○塩川委員 中途解約をめぐるトラブルとして、あるファミリーマートの加盟店のお話も紹介したいんです。
開店から7年後に契約更新、再契約を行って、その1年後に中途解約を求めたところ、解約違約金等多額の請求をされた。この違約金の算定の基準日がスタートの開店日ではなくて契約更新日となっているために、違約金の額が非常に大きくなるといったことなんかもあった。あるいは、什器などリース物件のリース料の残金も全部上乗せをされるといった形で、要するに、本部側に都合のいい契約の内容となっている。こういったことを含めて、契約内容の適正化が求められていると思います。
ですから、本来、経営不振による中途解約の場合の違約金はやめさせるべきですし、先ほど紹介した判決を重く受けとめた対策をぜひとも検討していただきたいと思っています。
もう1つ、トラブル事例として紹介し、お聞きしたいのが、コンビニにおける見切り販売の制限問題についてです。
弁当とか総菜などの売れ残り商品の販売、見切り販売について、本部から、値下げ販売せず廃棄処分しろ、こういった指導が行われる。これが本部側の収益が膨らむというからくりになっているものですから。
こういったやり方について、公正取引委員会にお聞きしますが、独禁法のフランチャイズガイドラインで、見切り販売の制限は優越的地位の濫用に該当するとしています。しかし、こういう違法な実態が広く存在をし、残念ながら、多くの加盟店の方は、こういうことについても御存じない場合が多い。そういう意味でも、見切り販売はできるんだということをきちっと周知徹底を図っていただきたい。その点をお伺いします。○竹島政府特別補佐人 平成14年にフランチャイズのガイドラインを改正いたしまして、今御指摘のような点も含めて、ガイドラインで公正取引委員会の考え方を明らかにしております。
おっしゃるとおり、見切り販売を制限しておいて、それで、あとは、ロスはおまえが持てというようなことでは、独禁法上の問題が生じ得ますよということを申し上げているわけでございまして、これからも中小企業庁とよく連携を図りながら、その点についての説明が不十分であれば我々としてPRにさらに努力したいと思います。○塩川委員 要するに、一般的に、見切り販売はできますよ、それはそのとおりですということでよろしいですか。そのことだけ。
○竹島政府特別補佐人 それは、個別の契約をよく見なければいけないわけで、一概に、あらゆる場合にできますと今断言するだけの情報を私は得ておりませんが、さっき申し上げたとおり、正当な理由がないのに見切り販売を制限して売れ残りとして廃棄することを余儀なくさせることを本部がした場合には、独禁法上、優越的地位の濫用に当たる場合がありますよということでございます。
○塩川委員 今紹介をしましたようないろいろなトラブル事例について、ぜひきちっとした実態調査を行ってほしいというのが私の思いです。
平成14年の10月に経営実態調査が行われて、これは加盟店の方の調査も行っておりますから、それなりに中身としてこういう実態かというのがわかるんですけれども、これから五年もたっておりますから、現時点に立った実態調査というのをぜひお考えいただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。○石毛政府参考人 先ほどの法13条に基づく調査以外に広くどういう実態にあるかを調査すべきであるという御指摘だと思いますけれども、私たちは、そういう御意見をよく勘案して、調査を適切に実施していきたいというふうに思います。
○塩川委員 そこで、こういったトラブル事例の解決のためにも、ふさわしいルールの整備が必要だと思っています。
そういう点で、最低限の措置として、小売商業振興法で報告徴収など情報開示の義務づけなどを求めている業種というのが、小売業と飲食業に限られて、サービス業が対象になっておりません。
その点について大臣に伺いたいと思うんですが、資料の四枚目に総合規制改革会議の規制改革推進三カ年計画の抜粋を載せておきました。
その中に、横側に線が引いてあるところですけれども、「サービス業など小売業以外のフランチャイズに関する実態把握と情報開示を含めた制度の在り方の検討」ということで、「近年、フランチャイズ・システムを採用する企業群は、小売業だけでなく、サービス業などの幅広い産業分野に広がっているが、前述の中小小売商業振興法は、中小小売商業の振興を目的とした法律であるため、同法に定める契約締結の際の情報開示、説明義務は、小売業以外の産業分野には適用されない。 したがって、近年、小売業以外のフランチャイズ産業のウェイトが高まっている実態にもかんがみ、フランチャイズ・チェーンシステムの普及促進等による中小企業・ベンチャー企業の健全な発展を図るため、サービス業などの小売業以外のフランチャイズについては、その実態把握を十分に行い、上記の現行法制上のルールに加え、契約締結時の情報開示を含めた制度の在り方について、早急に検討する。」となっています。
これは5年前です。この検討がどうなったのか、宿題になっているんですけれども、大臣、いかがですか。○甘利国務大臣 委員御指摘の点につきましては、私もこの質問で初めて承知をしたところでありますが、さらに実態把握をしっかりと行って、制度上の対応について関係省庁とも協議しながら検討を行いたいと思います。
○塩川委員 その後の規制改革会議の報告書を見ても、検討、検討でずっと来て、今5年もたっているわけです。さらに検討というのではなくて、そろそろきちっとした措置が求められているんじゃないのか。
今お話ししたように、小売商業振興法に基づく措置といっても、違反はしても契約の効力には影響がないという代物というのは、ザーの側、本部側も紹介しているぐらいの話ですから、実効性としてどうなのかという、不十分なものだと思います。しかし、それはそれとしてあることが、いろいろな手がかりとして、力になる部分がありますから、その点について、同じようにルールの整備を考えた際に、小売とか飲食には適用するんだけれどもサービスには適用しませんよと。これはやはりルールのあり方としてアンバランスだ、バランスを欠いているんじゃありませんか。その点は、そのようにお考えになりませんか。○甘利国務大臣 先生の御指摘はよくわかります。受けとめさせていただいて、検討させていただきたいと思います。
○塩川委員 あわせて、公正取引委員会としても、ガイドラインについても、その見直しも含めて、この取引適正化のための強化策、ぜひもう一歩踏み込んでやっていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○竹島政府特別補佐人 具体的な事例もよく検討させていただいた上で、ガイドラインの見直しに対しては弾力的に対応してまいりたいと思っております。
○塩川委員 新規参入を促すことにおいても適正なルールの整備が不可欠でありまして、本部の乱立やトラブルの発生に対応するためにも、私どもは、フランチャイズ事業は登録制にして、行政による監視と指導体制、そういうのを確立、強化することが必要だと。例えば、海外のカリフォルニアの場合におきましては、州法でフランチャイズ投資法という形で登録を義務づけている例があるそうであります。
ぜひ、こういったフランチャイズ取引の適正化を図る法律の制定を求めると同時に、冒頭言いましたように、既存商店街の振興策と一体に大きく前進させることを求めて、質問を終わります。